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地域別の回収率がなければそんな集計は無意味である

2007年04月30日 | 時事
「国家公務員不信」近畿7割 東北4割、関東5割(産経新聞) - goo ニュース

 統計ってのは報告のしかたでその意味するところを恣意的に操作出来るもんである。例えばオレの調査によれば,都民の80%はイシハラ都知事が嫌いだという結果が出たが,これはオレが手近な5人に訊いてみたら4人がそう答えたに過ぎない。……ちなみにオレにとっては残りの1人が「大好きだ」と言ったことの方が驚きだった。なんでこんなヤツとつきあいがあるんだろ(笑)。

 冗談はさておき(冗談だったのか)この記事である。回収率60.5%のアンケートで,近畿圏の人7割,関東圏の人5割が「け,国家公務員なんて信用できないぜ」と言っている,という話だ。ほんまかいな。オレの調査によれば,東京都民100%がそう思ってるという結果なんだが(また5人だけどさ)。

 不信のタネは回収率だ。念のためにこの記事の元ネタである内閣府の資料も当たってみたが,都市規模別,地域ブロック別,性別,年齢別,果ては職業別に分けて「信用出来ないぜ比率」は報告されているが,その各分類別の回収率はないのである。いやもちろん答えない人の性別や職業は分かんないに決まってるんだけど,調査票を配ったんだから地域ブロックごとの回収率はわかるはずでしょ?

 あの,言ってること分かりますか? 関東圏の5割が「国家公務員はよくやってる」と答えたと言うが,もし関東圏における回収率が全体の60%に対して例えば30%程度しかないとしたらどうですか? 関東圏の人はとことん国家公務員を信じてないので内閣府がやる調査なんかには30%しか協力しない,そしてその30%のそのまた半分だけが愚かにも国家公務員を信じてる,ということかも知れないではないの?

 これはこないだ可決された憲法改正のための国民投票法案にも通じる話で,その投票を有効とする最低投票率の規定がないってのはどう考えてもイカサマである。極端な話ナチスが作ったSSみたいな機関を組織して反対しそうな奴には投票させなければ憲法改正は成るではないか。

 もちろん自公の皆さんは「そんなことはしませんよ」と言うだろうが,自分たちがする気がないのとそういう可能性を排除しておくのは別次元の話である。前にも書いたようにオレは別に護憲派というわけではないが,民主主義を標榜するならいかなる場合においてもそれが機能するよう配慮しておくべきであって,そんなところで「良識」なんてものを期待すべきではない。

 こんなことを言ったら怒る人がいるか知らんが,ニンゲンの本性が真実「善」であるならば共産主義こそ理想の社会形態なのである。でも,あなたもオレもあれが上手くいかないことはよく知ってる。そうでしょ? 国民投票法案に最低投票率の規定が必要なのは,あれが上手くいかないのと全く同じ理由からなのだが,それが分からない振りをするようでは「スキあらばオレもスターリンのように……」と思ってると疑われても文句は言えないのではないか。



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