春も近づいていた頃、そこをクルマで通りがかった時に、なんか沿道の風景に違和感を感じた。
その時はちょっとばかり急いでいたので、通り過ぎてしまったのだが、4月になって再び、同じ道路を通る機会に目を凝らして走行してみたら、
あった。
この辺りにクルマを置いて、
小さい川の小さい橋の向こう側、
田んぼのあぜ道沿いに、彼らが集合していた。
シャツの袖やズボンの裾のゆったりした部分が、弱い風にひらひらと揺れていて、いかにも楽しそうに手を振っているように見えた。
一体誰に手を振っているのだろうかと彼らの視線の先をたどると、少し離れた小高い場所に線路が通っていた。
電車の窓から見えるのだろうか。
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