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だらだらぼちぼち

野音唄の市

2020年03月21日 12時42分51秒 | 盤棚一覧

40年以上前に買ったLPレコード。

野音唄の市 / 生田敬太郎、ケメ(佐藤公彦)、古井戸、泉谷しげる、ピピ&コット




(表ジャケット) 

 


(裏ジャケット)




(見開き)



1972年エレックレコード ELW-3002  
録音 1972年5月6日 日比谷野外音楽堂

Side A 生田敬太郎&マックス
1. 僕の歌      (作詞・作曲 生田敬太郎)
2. 生活       (作詞・作曲 佐藤公彦)
3. ひとりごと     (作詞・作曲 生田敬太郎)
4. あの頃       (作詞・作曲 生田敬太郎)
5. この胸の中の   (作詞・作曲 生田敬太郎)

Side B ケメ(佐藤公彦)
1. 海         (作詞 岡戸郁子 作曲 佐藤公彦)
2. 母から娘に     (作詞・作曲 佐藤公彦)
3. 今日の僕明日の君  (作詞・作曲 佐藤公彦)
4. 通りゃんせ     (作詞 門谷憲二 作曲 佐藤公彦)
5. 夕暮れ       (作詞 門谷憲二 作曲 佐藤公彦)

Side C 古井戸
1. 通り雨       (作詞・作曲 仲井戸麗一)
2. ごろ寝       (作詞・作曲 仲井戸麗一)
3. 冬の夜       (作詞・作曲 仲井戸麗一)
4. ろくでなし     (作詞・作曲 仲井戸麗一)
5. あした引越します   (作詞・作曲 加奈崎芳太郎)

Side D 泉谷しげる
1. 戦争小唄      (作詞・作曲 泉谷しげる)
2. 街はぱれえど    (作詞・作曲 泉谷しげる) 
3. 黒いかばん     (作詞 岡本おさみ 作曲 泉谷しげる)
4. 鏡の前のつぶやき  (作詞・作曲 泉谷しげる)
5. 春夏秋冬      (作詞・作曲 泉谷しげる)

Side E さなえちゃんシンガーズ(全員)
1. さなえちゃん

Side F ピピ&コット
1. 哀れな男のブルース  (作詞 金谷厚、沢とおる 作曲 金谷厚)
2. 目覚めよ       (作詞 不詳 作曲 早川隆)

純真な中学生だった時、生まれて2枚目に買ったレコードがこのアルバム。

さほど、いや、全く裕福ではなかった家庭の中学生のワタクシの小遣いでは、レコードを買う事もままならなかったため、しばらくは、これともう1枚のLPレコードがワタクシの貴重なコレクションとなり、我が家のヘビーローテーションと化したのだった。
LP2枚組のうえに、33回転シングル(CDしか知らない世代には、この言葉の意味がわからないだろうが)がオマケとして付いている、言わば、2.5枚組で、価格は¥3,000というエレックレコードの良心価格。
何度も言うが、さほど裕福ではなかったワタクシにとっては、例えLPレコードを1枚買うだけでも、コストパフォーマンスを計算しなければならなかった。
エレックレコードは他のレーベルの物よりも安かったとはいえ、1枚買うと¥1,900も飛んでしまう。
だが、このアルバムなら、4人プラス1グループの演奏が聴ける上に2枚組プラス33回転シングル1枚で¥3,000。
このアルバムを買った背景には、こういう切ない事情があったわけだ。

1972年5月6日、10,000人(主催者発表)を集めて日比谷野外音楽堂で行われたコンサートのライヴアルバム。
ワタクシは、『野音』こと『日比谷野外音楽堂』にはいまだに行った事が無い。

『唄の市』というのは、エレックレコードがらみの複数のミュージシャンが入れ替わり立ち代り出演するオムニバス形式のコンサートの名称だったと理解している。
この『唄の市』というイベントは、元々は、門谷憲二(この頃、泉谷しげるやケメ等に詞を提供していた人で、現在でも作詞家として活躍中。代表作としては、布施明「君は薔薇より美しい」、木の実ナナ「うぬぼれワルツ」、西武ライオンズ応援歌「若き獅子たち」他がある。ウィキによるとこれまでに1,000曲以上を作詞したという)が中心となって運営してみたものの経済的には全く上手く行かなかったのが、エレックレコードのプロデューサーの目にとまった事から軌道に乗ったといったいきさつがあり、これは門谷憲二自身がライナーノーツに書いている。

全国に唄の市をたてよう
新しい唄を生み出そう
コンサートでの金儲けはやめよう
新人を発掘しよう

というのが、唄の市のモットーだったそうだ。

この日のライヴは2部制で、第1部の出演者が、「マギー・メイ」「ヤングタウンシンガーズ」「ドクター・イカキンレイとヒズ・カマック」「野沢享司」「斉藤哲夫」「ピピ&コット」他。(最初に挙げた3組については全く知らない)
このアルバムは、そのうちの第1部に出演した『ピピ&コット』と、第2部に出演した『生田敬太郎』、『ケメ(佐藤公彦)』、『古井戸』、『泉谷しげる』のステージを収録した物だ。

『ピピ&コット』は、アルバム構成上は33回転オマケシングルのラストのF面に収録されているが、実際は第1部での演奏だったため、演奏順で言うと、F面→A面→B面→C面→D面→そしてアンコールのE面となる。
メンバーの金谷厚は、最近、大森風に吹かれていうフォーク酒場を経営している。

メインイベントの第2部に入って、




まず、A面に収録された生田敬太郎が登場。
バックバンドの『マックス』は、萩原暁(ギター)、萩原克巳(ドラム)、山口剛(ベース)からなるバンドで、吉田拓郎のデビューアルバム『青春の詩』でも演奏しているらしい。
生田敬太郎は、拓郎、陽水、泉谷といった流れとは違うロック寄りのシンガー・ソングライターだったようだが、メジャー度においては、このアルバムで共演しているケメや古井戸や泉谷しげるほどではなかった。
が、ギターやピアノにも長け、編曲もできるミュージシャン。
この頃のフォークソングブームでのヒット曲には恵まれなかったようだが、子門真人が唄って大ヒットした『およげたいやきくん』がレコード化される前のデモ盤の段階では、この生田敬太郎が唄っていたのだそうだ。




続いて、B面は、ケメこと佐藤公彦。
ケメは、元々は、第1部に登場してこのアルバムのF面に収録されている『ピピ&コット』のメンバーだったのだが、中性的なルックスに目を付けたエレックレコードの戦略のため、ソロシンガーとして独立してフォーク界のアイドル的な存在として人気を集めた。
クラスの女の子達に人気があったため、ワタクシとしては、そのアイドル的な人気が気に入らなかったので、特に興味があるシンガーでもなかったというのが申し訳ない。
音楽活動を再開していたのだが、残念ながら2017年6月に65才で死去している。




C面には、金崎芳太郎と、チャボこと仲井戸麗一のデュオ、『古井戸』が登場。
2人して、トレードマークのギブソン・ハミングバードをかき鳴らす姿がカッコ良かった。
この頃から忌野清志郎率いるRCサクセションも、泉谷しげるや古井戸とっ交流があったようで、仲井戸麗一は後にRCサクセションに加入して、カッコ良いブルース、ロックギターを聴かせてくれる。
C面5曲目の『明日引っ越します』という曲のアレンジは、とてもアコースティックギター2本のライヴとは思えない斬新な演奏だ。




そして、D面、トリは、泉谷しげる。
デビューから1年経っていないというのに、既に、現在につながるキャラクターを確立している。
客席からの声援(ヤジ?)も、ケメに対する時とは打って変わる。
先に述べたコストパフォーマンス問題もあるが、実は、放送禁止となった『戦争小唄』がD面冒頭で聴けるというのも、ワタクシがこのアルバムを買った大きな動機である。
5曲目の『春夏秋冬』はスタジオ盤の『春夏秋冬』とは全く違い、ガチャガチャとしたストロークでギターを弾きながら唄うなかなか迫力のある演奏で、このアルバムからもシングルカットされた。

アンコールは、33回転オマケシングルに収録された『さなえちゃん』。
古井戸のヒット曲を、おそらく全員が登場して唄っている。
こんなコミカルな曲がヒットしてしまったのが、古井戸にとっては幸せな事だったのかどうか、、、、?

で、このアルバムはCD化された事があるのだろうか?


2006年8月18日にアップした記事を再編集した。
以前の記事は削除した。