総天然色日記

映画、怪獣、プリパラなど好きなものについて色々書いていきます。

パチ怪獣という、救いようのない文化

2015-12-28 23:59:04 | 特撮
「パチソン」という昭和の文化をご存知でしょうか。
パチンコの筐体音楽のことではなく、パチモン、バッタモンの曲のことです。
子ども向けアニメや特撮番組の主題歌のニセモノ音源をカセットテープなどに録音した状態で、商品として売られていたもののことです。
どうしてそんなことをするのかというと、まぁ説明するまでもありませんが、有名番組の名を借りて、無関係の個人が、できるだけ楽をしてお金を儲けるためですね。

例えば水木一郎さんや子門真人さんなど、本来の歌手が歌っているのではなく、売れないミュージシャンか暇な一般人のおっさんかわかりませんが、とにかく全く無関係の、歌唱の技術も微妙な人が歌っているものです。バックの演奏も、チューニングやリズムが微妙に狂っていたり、変なアレンジが入っていたりして、怪しさ満点です。
要するに今で言う「歌ってみた」の音源を本物だと偽って、無許可で販売していたわけですね(と書くと、歌い手のファンの方などに怒られそう)。無許可なので当然、番組制作側や本来の歌手の方には1銭も入りません。
実際に子ども時代にパチソンを"聴いてしまった"方の体験談などをネットで調べてみましたが、
「大好きな曲が聴ける!と思って自分のお小遣いで買ってワクワクして聴いてみたら、全然知らないおっさんの残念な歌声が流れてきてがっかりした」
という被害報告がそこそこ見つかりました。現代でも、似たような現象がありますよね。好きな歌手の曲を動画サイトで探して、再生してみたら素人の「歌ってみた」だった、というあるある現象にそっくりです(だからこういうことを書くと怒られる)。

このパチソンという文化、特に特撮マニアの中ではそこそこ知名度があります。中でも、スーパーロボットマッハバロンのパチソンは一部で"伝説"として語り継がれており、知っている人は知っている、みたいな存在になっています。気になる方は是非調べてみてください。
マッハバロンを知らない方は、是非、すぎうらよしひろ氏の歌う最強にカッコいい原曲を聴いてから、パチソンのほうを聴いてください。

しかしこのパチソン(「歌ってみた」文化など類似のものは現代にあるので、『お金を儲ける』目的で、『本物と偽って』販売しているものと今回は定義します)、著作権など厳しくなっている近年では存在自体ほとんど知られていません。著作権などがユルかった時代特有の文化なのでしょう。
実際、平成生まれの私は、特撮マニアの大人になるまでは、パチソンなんて全く知りませんでした。それこそ自分の生まれる前にかつて存在していたが今はもうない、伝説みたいになっています。こんな伝説いやだ...。



と、前置きが長くなってしまいましたが、今回のメインはパチソンではなく、タイトルにある通り、「パチ怪獣」です。
今と比べて色々とユルかった時代、そしておそらく第二次怪獣ブームによりキャラクターものが一気に世の中にあふれた時代、そのどさくさに紛れて、パチソンと一緒に生まれたのがパチ怪獣です。
怪獣というとやはりウルトラシリーズやゴジラなど、映像作品を想像しますが、パチ怪獣は基本的に駄菓子屋のトランプやカードなど、絵が多いです。
というのも、元々ウルトラシリーズなどの正規のグッズとして売られていたトランプなどのアイテムをパクって、それっぽいニセモノを勝手に作って子どもを騙して儲けようぜ!という経緯で生まれたためです。
さすがに、パクリ映画を作って儲けるのは手間もお金もかかりますし、何よりリスクが高すぎるし。

そしてパチ怪獣はパチソンとはまたちょっと違って、よりパクリ手のオリジナリティに溢れています。便乗パクリの癖に
そこがまた魅力なんです。本来の制作会社の方や、本物だと思って買ったらニセモノでガッカリした当時の子どもにとっては、とてもそんなふうには思えないかもしれませんが。
しかしパチソンにも一定のファンがいるように、パチ怪獣にもカルト的な人気があります。
私の知っている中でその道のプロと思われるのは、パチモン怪獣図鑑というサイトの方と、あべとおる先生のTwitterです。
特に、パチモン怪獣図鑑さんのサイトの熱量は凄まじいです。私のパチ怪獣の知識の半分以上はこちらのサイトから学びました。



また、こんな恐ろしい本も出ています。

「目で見る駄菓子屋グッズ大図鑑DX〜パチ怪獣ブロマイドからガチャガチャまで〜」(扶桑社)
なんとこの本、気がついたらうちにありました。
元々私の家族に、私のように特撮には特化していませんが、昭和レトロが好きな者がいて、資料として手に入れたそうです。
ちなみに昭和レトロ好きな家族というのは、父や母などではなく妹のことです。高校生の妹です。多分これは中学生くらいのときに手に入れた本だと思います。
なんというか、この姉にしてこの妹...。

こちらの図鑑、中身はこんな感じです。

パチ怪獣のブロマイドが、会社ごとに(パチ怪獣はパチモンの癖にいっちょまえにいくつかのメーカーに分かれている)何ページにも渡って紹介されています。もう既にお腹いっぱい。

プラモデルなんかも載っています。
元々怪獣映画のブームに便乗して作られた日活の「大巨獣ガッパ」を更にパクった「かいじゅう子ガッパ」。もう意味がわからない。こわい。誰か助けて。



ということでなんとなく、パチ怪獣という文化のノリが皆さんも掴めてきた頃かと思います。
ここからが本番です。
入門にピッタリのパチ怪獣4体を紹介します。

1.わかりやすさが大事「がいこつバルタン」


まず最初に言っておくことがあります。
彼、バルタンのふりをしているけど、よく見ると身体はアントラーのトレースで、ハサミに隠れていますがアントラーの手が見えています。

がいこつという怖いモチーフと、バルタン星人のハサミがくっついてるからがいこつバルタン。また、一部では「ガルタン」とも呼ばれているとか。
名前と見た目が結び付きやすいので、初心者の方はまずはここからパチ怪獣の世界に入っていくと良いと思います。
こんなにわかりやすいキャラクターもなかなかいないですよね。やっぱりわかりやすさは大切です。問題はこいつが無許可のパチモンだということだ。


2.いや、どこが?「亡霊怪獣トーボーズ」


よくその見た目で亡霊怪獣を名乗ろうと思ったな。


3.パチ怪獣ならではの表現「水素獣エッチ」


水素獣エッチくん。パチ怪獣ならではのド直球かつ斜め上のネーミングです。
更に彼、怪獣らしからぬスラっとした脚を生やしながら、着ぐるみでは絶対に実現不可能なプロポーションをしているんですよね。
このデザインの怪獣は、おそらくこのトランプが売られていた時代の特撮技術では映像化不可能です。
時代の先を行っていた水素獣エッチ。
まぁ、たとえ再現する技術があったとしても、こんな胡散臭いデザインの怪獣、見たくないんだけど...。

と思ったら彼、なんと映像作品に出演している。
川崎実監督の「電エース」に登場しているらしいです。
えぇ、どうしよう、すっごい見たいけど、見たくない...。


4.これぞパチ怪獣「大怪獣ダイゴラス」


人気怪獣を堂々とパクる、しかもデザインの元ネタはウルトラセブンのエレキングでありながら、名前はどう考えても「ダイゴロウ対ゴリアス」。そして裏面の解説では堂々とテツゴラスと名乗る。ご丁寧にオリジナルの設定まで書いてあるけど、「からだがすべててつでできて」いて、「手がじしゃくの手でてつをすいつける。」なら、生活困らない?
このガバガバ感。
パチ怪獣のお手本のような存在。



以上です。全体的に解説は軽めにしておきました。パチ怪獣はその存在自体が闇が深すぎるし、ツッコミどころが多すぎて、真面目に解説していると気が狂うので。

そして今回紹介したものは、パチ怪獣の中ではどちらかというと有名どころかと思われます。パチ怪獣に有名も無名もない気もしますが...。
ちなみにパチモンが作られたのは怪獣だけでなく。パチ怪人や、パチヒーローも勿論います。
その中でおそらく一番有名なのが、怪傑透明ウルトラエース。先程紹介しました「パチモン怪獣図鑑」さんでも大々的に取り上げられており、あの円谷プロのウルトラマンエースとも因縁のある存在なのです。
怪傑透明ウルトラエースに関してはかなりネット上に情報があるので(パチモンとしては情報がある"ほう")、気になった方は調べてみてください。

しかしパチモン文化って、昭和特有のモノで、現代日本ではもうそういうのは無いと思っていたんですよ。
思っていたんです...。

と思ったらあったよ。なんであるんだよ。絶対これ青春スイッチオンしないでしょ。宇宙来ないでしょ。

こちら、かなり前にTwitterで見かけた画像です。そのため詳細などは全くわからないのですが、これが仮面ライダーフォーゼのパチヒーロー、つまり古くても2011年以降に生まれたものであることは間違いないということであり。平成になってもまだ、パチモンキャラクターは、この日本で生まれているということです。
しかしおとなりの国とかではおそらく日常茶飯事でしょうし、このフォーゼモドキだってもしかしたらおとなりの国で描かれたものかもしれないのですが、これに日本語が添えられて日本で日本人の子ども向けの商品として存在している、その事実に大変感動をおぼえました。
まだあったんだ。パチ文化。

あのパチモンキャラクターが最後の一匹とは思えない。
人類が今後も特撮作品を撮り続ける限り、
第二、第三のパチ怪獣、パチヒーローが現れるかもしれない。

-終-

(ここから追記)
で、いくつか見ていただいてお分かりとは思いますが、
パチ怪獣のイラストは、水素獣エッチのような完全オリジナルも時々ありますが、ほとんどの場合円谷さんや東宝さんなどから勝手に拝借した元ネタがあり、スチル写真や絵本のイラストを勝手にトレースしています。
その上で余計なものをオリジナルで付け足したり(亡霊怪獣トーボーズ)、大事なパーツをもぎ取ったり、模様を描き変えたり(大怪獣ダイゴラス)、複数の怪獣のパーツを合成したり(がいこつバルタン)して、新たなる残念キャラクターを次々と生み出しているわけです。手間を加えているのに、そのせいで逆に残念な絵面になってしまっているんです。
ここまで書いて、もしかしたら勘のいい方はお気づきかもしれません。
私は気付いてしまいました。

これ、現代でいうクソコラ文化なんです。

パチソンが「歌ってみた」なら、パチ怪獣は「クソコラ」なんです。
クソコラと違うところは、何度も言いますがこれが本物ですよというツラをして堂々とお金をとっているところなのですが。
そう考えてから、がいこつバルタンなんか見てみてください。「#特撮クソコラグランプリ」みたいなハッシュタグで、いかにもTwitterなんかに居そうじゃないですか。「ちょwwwアントラーの腕消せてないwww」とか引用RTで突っ込まれていそうじゃないですか。

私はこれが一番言いたかった。これに気がついたから、パチ怪獣の記事を書こう!と思ったのに、ツッコミと解説に白熱するあまり、本来伝えたかったことを完全に忘れたまま投稿してしまいました。
いやー、パチ怪獣こわい。あと、今後ブログを更新するときは、プロットを書いてから執筆に取りかかろうと思います。

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