総天然色日記

映画、怪獣、プリパラなど好きなものについて色々書いていきます。

芸術大学発の文芸誌「文芸ラジオ」のお話

2015-06-11 20:32:30 | その他
 私の通う大学の文芸学科から、文芸誌が5/28に全国発売されました。


その名も文芸ラジオ。
執筆陣の多くは在学生と教授です。

まだ全然読めていないのですが、現時点で好きな作品をいくつか紹介します。

まず、小説家であり学科長の山川健一先生5年ぶりの新作「老いた兎は眠るように逝く」。
実は山川先生の作品を読むのは初めてで(「ここがロドスだ、ここで跳べ!」は先日買いましたがまだ数ページしか目を通していません)、
作風を全く知らなかったので、難解な内容だったらどうしようとか、教養がなくても読めるかな、とか不安が多少あったのですが、
読んでみるとそんな心配は全くの無用だったことがわかりました。
今回の「老いた兎は眠るように逝く」はとても優しさを感じる文章で、
今の自分をここに存在させてくれている他の存在への敬意や感謝の気持ちがあるから生まれた作品なのではないかな、と思います。
また、小説というと私は完全にフィクションの世界を想像してしまいがちなのですが、
こちらの作品は、映画でいうとドキュメンタリー作品に近い内容であり、
文芸学科の教授陣など、自分も知っている方が作中に登場するため、そういった意味でも入り込みやすく読みやすい作品でした。
学科長の作品に関して批評のようなことをしてしまい、失礼なことを言っていないかとても不安なのですが、
私はこの作品を読んで不思議なあたたかさを持つ気持ちを感じ、
それを多くの人に知っていただきたいと思ったために感想を書かせていただきました。

そして次に紹介するのは、永尾天晴さんの「鬼と縁日」。
こちらは600字程度の短編をいくつも書き連ねるといった手法をとっています。
また、こちらは2015年2月に開催された卒業制作展にも「散文 五十編」というタイトルで出されていた作品で、
当時からとても気になっていた作品だったので、今回この文芸ラジオで再び出会うことができてとても嬉しいです。
>2015年6月現在、卒業制作展HPで作品解説を読むことができます<
この「鬼と縁日」は、例えば伏線とかどんでん返しだとかメッセージ性のような、
大抵の小説にはあるだろうといったような要素はありません。
整合性だとかしっかりとしたストーリーを求めるようなものではないので、
私は、たった600文字の中に詰め込まれた、濃厚な世界に浸るという読み方で楽しんでいます。
そしてこの作品を読んでいくうちに気がついたのですが、
この「鬼と縁日」の短編すべてに共通する不思議な空気の流れは、
睡眠中に見る夢にそっくりです。
現実の出来事のようでどこか現実離れしている気がする話や、
悪夢にうなされているときの感覚に似た雰囲気をもつ話、
夢独特の理不尽さをもつ話。
どれも夢の中の世界にとても似ています。
夢だったら、伏線がしっかり張られていなくても、理不尽なことが起きても、特に教訓的なものがなくても納得できます。
一般的な「小説」とは全く違う作風でありながら、そのようなことにも納得できる説得力をもっているのは、
この作品がとても完成度が高いものであるからでしょう。

最後に紹介するのは、大学入学当初からの友達の作品です。
今回の「文芸ラジオ」唯一の詩、
サクマカエデさんの「8畳間の宇宙」です。
永尾天晴さんの「鬼と縁日」さんのように、沢山の作品を一度に楽しむことができます。
この「8畳間の宇宙」として載せられている詩は、文芸ラジオのために書かれたものではなく、
彼女が日々感じたことをノートに書き溜めていたものだそうです。
一人の人間として生きていくうえで生まれた言葉たちが、何よりも正直に感情を語ってくれています。
また、ちょうど一年前に私は彼女と展示をしたことがあり、
今回収録されている詩「無題」「執着」「日本」から着想を得て作品を制作し、
フライヤーの制作もやらせてもらいました。

(「テキ」とは「美術科テキスタイルコース」のことです。
美術科と文芸学科のコラボ、というのもこの展示のテーマのひとつでした)

「無題」

「執着」

「日本」

どれも同じタイトルで詩が載っているので、文芸ラジオをお持ちの方は是非写真と詩を一緒に見てみてください。
文芸と美術のコラボというのは、私にとって人生初の試みで、とても楽しかったのを覚えています。
またこの展示は「ネガティブな感情を否定されるのはおかしくないか」というカエデさんの意見により生まれたもので、
そのコンセプトにとても共感できたために、真剣に向き合い制作することができました。

今回紹介した以外にも、大変魅力的な作品が詰まった「文芸ラジオ」創刊号は
全国の書店以外にもAmazonでも販売されています。
本当に1人でも多くの方に手にとっていただきたいので、みなさんよろしくお願いします。


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