きのつらゆき(Kino_Tea)

紀貫之のごとく、気の向くままに、つらつらと、(書いて)ゆきましょう。
ブログというより備忘録。スケート関連多い。

ロシアジュニア選手権2018

2018-01-29 | Skating

ロシアジュニア選手権を制したのはアレクサンドラ・トゥルソワ。ジュニアGPファイナルと同様にコストルナヤとの勝負を僅差でかわしての優勝。3位はコンスタンチノワ。

(Thanks, Mihail!)

大会結果

順位名前NT区分所属得点SPFS
1 アレクサンドラ・トゥルソワ N J1 モスクワ(エテリ) 212.09 1 74.25 3 137.84
2 アリョーナ・コストルナヤ N J1 モスクワ(エテリ) 211.51 3 69.88 1 141.63
3 S・コンスタンチノワ N J4/S サンクト 206.27 12 66.40 2 139.87
4 アナスタシア・グバノワ N J2 サンクト 205.92 2 72.10 4 133.82
5 ダリア・パネンコワ N J2 モスクワ(エテリ) 201.48 7 68.34 5 133.14
6 ビクトリア・ワシリエワ N J1 モスクワ 198.90 5 68.93 6 129.97
7 アナスタシア・タラカノワ N J1 モスクワ(エテリ) 198.38 4 69.74 7 128.64
8 アリョーナ・カニシェワ A2 モスクワ(雪豹) 195.12 9 67.94 8 127.18
9 クセニア・シニツィナ   A2 モスクワ(雪豹) 191.91 10 67.46 10 124.45
10 アナスタシア・グリャコワ N J2 モスクワ 191.87 6 68.88 11 122.99
11 エリザベータ・ヌグマノワ N J2 サンクト 191.65 11 66.41 9 125.24
12 アナスタシア・コスチュク   J1 モスクワ(雪豹) 181.25 13 64.07 12 117.18
13 アンナ・シェルバコワ N J1 モスクワ(エテリ) 179.19 8 68.19 16 111.00
14 ビクトリア・サフォノワ   J2 モスクワ 177.34 15 60.40 13 116.94
15 クセニア・チビノワ   J1 モスクワ(雪豹) 174.32 14 61.22 14 113.10
16 ソフィア・モロス A2 サンクト 164.79 16 52.08 15 112.71
17 アレクサンドラ・チェルパコワ   J1 サンクト 142.65 18 43.22 17 99.43
18 マリア・パブロワ   A2 ソチ 139.81 17 50.95 18 88.86
NT項目の「N」はナショナルチームのメンバー、「前」は昨季のメンバー
マリア・パブロワはウルマノフに教わる選手。モスクワからソチに移籍。


大会結果サイト

世界ジュニア選手権(および世界選手権)のロシア代表は2月下旬頃に発表されると予想されるが、上位2名は世界ジュニア選手権への出場が確実と思われ、3位のコンスタンチノワは平昌五輪の補欠(ロシア選手権4位)でもあるので、世界ジュニア選手権ではなく世界選手権への出場の可能性もある。この場合、4位のグバノワ(おそらく補欠)が繰り上がりで世界ジュニア選手権に出場するかもしれない。


ショートプログラム
TESが唯一40点を超えたトゥルソワは会心の演技で74.25点を獲得。その一方でコストルナヤは珍しく3Lzで転倒し、キスアンドクライで涙を流したが、それでも3位69.88点となる。もっとも美しいといわれるコストルナヤのFSSpは健在だった。この大会と相性の悪いグバノワはジンクスを打ち破り2位となった。連続ジャンプの3Fで転倒したコンスタンチノワは66.40点でやや出遅れた。
ショートでセカンドループを試みたのはトゥルソワ、ワシリエワ(3F+3Lo)とヌグマノワ(3Lo+3Lo)の3名。ステップがレベル4だったのはトゥルソワ、グバノワ、コストルナヤ、コンスタンチノワの4名。12名が66点以上となるハイレベルな戦いとなった。大御所タラソワも特別席で見守っていた。


アレクサンドラ・トゥルソワSP
トゥルソワにとってショートは鉄板。後半に観客の手拍子を誘う音楽もよい。

ヴィクトリア・ワシリエワSP

スピードと勢いがあるヴィーカ。3F+3Loを跳ぶ。JGPに派遣されなかったのがもったいない。


フリースケーティング

コストルナヤFS
コストルナヤは前日の落胆を引きずらず会心の演技で1位。シニアに上がり背が伸びた時、トゥルソワは高難度ジャンプに今以上に苦戦するかもしれないが、コストルナヤはそれを乗り越えメドベージェワ並の活躍をするかもしれない。アイスダンス出身のエテリコーチがメドベージェワ同様に気に留めているのがこの選手だ。

トゥルソワFS

SP首位発進のトゥルソワは残念ながら冒頭の4Sは回転不足で転倒。さらに最初の3Lzは単独ジャンプとなり2つ目の3Lzに「+3Lo」をつけてザギトワと同じようにリカバリーに成功したが、フリーは3位、しかし総合1位となった。今回も愛犬ティナ(チワワ)を連れてきた。

コンスタンチノワFS

ディープエッジなスケーター17歳。メドベ先輩と同様アンナカレーニナを舞う。さっさとシニアに移行してジュニアの大会に出て来ないでね!と言いたい選手。ショートのミスを挽回しフリー2位、総合3位で表彰台へ。

アナスタシア・グバノワFS

FSも良い演技をしたが、3F+3T<+2Tの回転不足により僅か0.35点及ばず表彰台を逃したグバノワ。いつも陽気なナースチャがキスアンドクライでさめざめと涙を流す姿に心を痛めた。ジュニア2年目の正念場であり、世界ジュニア代表に選出してほしい選手だ。

パネンコワFS

ミスのない演技で201.48点となった。大人な選手なのでSNSでは冷静に見えるが表彰台を逃したのは悔しいはず。四大陸選手権のさっとんのように人目を憚らず涙を流すなど感情をあらわにするダーシャが見たい。

タラカノワFS

冒頭の3Lzが単独ジャンプになり5つ目の要素を3F+3T、7つ目を3F+2Tに変更し、インテリジェントなリカバリーをした。野生馬の演技も健在だが、スコアが伸びず総合200点を超えなかった。本人も意外と言う表情だったが、各選手の実力に少しノービス時代と違った地殻変動が起きているのだろうか。

ヌグマノワFS


ミーシンのもとからダイネコ(モスクビナ)のもとに移籍した今シーズンはやや苦戦。つなぎを増やしてエテリ組に対抗してほしい。ノービス時代抜きん出ていたが競争が激しくなってきた。

アリョーナ・カニシェワFS

タラカノワがエテリの元へ移籍した後のスノーレパードのエース。すべての要素も滑りもそつなくこなすが、もっと個性的でインパクトのある演技が見たい。しかしノービスA2年目ながら195.12点(=全日本ジュニア優勝の紀平梨花の193.46点より高い!本当か!?)を獲得したのは立派。ナショナルチームへの返り咲きと来季JGP派遣の可能性が高くなってきた。内弁慶にも見えるがこの年齢で女王様の雰囲気を持つ選手。

クセニア・シニツィナFS

カニシェワに隠れて目立たない(?)選手だが、ステップ、音に合わせた動作、滑りはシニツィナのほうが魅力的かもしれない。もう少しPCSに反映されても良い気がする。

グリャコワFS

ソツコワなどと同じ背の高い選手。ジャンプも高くリッポンジャンプを多数跳ぶ。体が柔らかくレイバックスピンはきれいだ。直近の練習では3A+3Tを跳ぶ動画をSNSにあげていたが今回は着実な演技をした。

シェルバコワFS

フリーではエテリ組では珍しくジャンプミスが4つあり、良い結果を出すことができなかった。ケガからの完全復活はもう少し先のようだが、2月末のロシアカップに出場して復活してほしい。

ソフィア・モロスFS

冒頭にジャッジ至近でカメラ撮影のマイムをするソーニャ。ショートのようにジャンプの転倒はないがつなぎが薄い、ノービスらしい演技であまり点が伸びない。陽気なピサレンココーチの薫陶を受け明るい性格であるが、同期の成長に比べ少し足踏みしている印象を受ける。来季はジュニアになりナショナルチームに復帰してほしいが、練習環境が少し心配だ。

200点以上が6名。11位以上が190点台の戦い。ミス1つで大きく順位が変動する大会だった。フリーでステップがレベル4だったのはショートと同じ上位4名。エテリ組(5人出場)はやはり強い。サンクトペテルブルク勢も健闘。スベトラーナ・パノワコーチが率いるスノーレパードも4人出場した。この選手がこの順位なのかと驚く選手もいるが、表彰台は予想通りではないだろうか。来季のジュニアGPシリーズ派遣もし烈な争いになりそうだ。

修羅の国ロシア、君は生き延びることができるか?


大会の動画(ロシアスケ連)


ロシア選手はドローの時におめかしする選手とカジュアルな格好をする選手に分かれる。今大会のベストドレッサー賞は青いドレスのタラカノワ。


エテリが選手を膝に乗せた珍しい写真。メドベージェワに続きコストルナヤは移籍間もないとはいえ、特別な思いを持つ選手のようだ。

 

TulupRu_officialさん(@tulup_ru)がシェアした投稿 - 1月 27, 2018 at 10:31午後 PST


スノーレパードの4人娘。2枚目の写真が面白い。(カニシェワのママのSNSより)