アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『ザ・クレーター』/手塚治虫

2012-04-30 | 少年漫画
 
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 六角堂(茨城県)の再建に関するニュースを見た時に、不思議な既視感を覚えた。
「手塚治虫のまんがに、こういうのが出てきたはずだ」と。確か、どこまでもどこまでも車を走らせると、人生をやり直せる館(やかた)があり、主人公が破滅してしまう物語だった。
 私の手元にある、少年チャンピオンコミックスの『ザ・クレーター』第2巻に、その物語は採録されていた。単行本の表紙にするほど、作者にとっても思い入れのある作品だったのかもしれない。
 この漫画を初めて読んだ時、ものすごく衝撃を受けたのを覚えている。この本を古本屋で買った時の値段まで、私は覚えている。近所の店に第2巻の在庫がなく、本店から取り寄せてもらい、それは「200円」という、小学生にとってはかなりの大金だった(当時、新品の漫画単行本の定価は320円だった)。

 確認のために読み返してみたら、私は覚え違いをしていた。作品名は『八角形の館』で、主人公は東ではなく西へ向かっていたけれど、この作品の、目も眩むような神秘性は、今でも色あせない。
この2巻に採録されている14の物語(この全2巻は、3編を欠いている)は、どれも衝撃的だ。
妄想と現実の混同、過去からの伝言、歴史の「if」、一つの肉体に二つの人格が共存、パラレルワールド、タイムパラドックス、宇宙人の侵略、前世、人類の滅亡…。物語の面白さもさることながら、「現在の作品で使われる設定」のほとんどを網羅していると言っても過言ではない。

 今頃になって気付いたけれど、これらの作品が「『ブラック・ジャック』よりも前」に描かれた物であることに、更に驚かされた。私には手塚治虫に関して語れるほどの知識はないけれど、あらゆるジャンルの漫画を描いていた、あるいは描こうとしていたその足跡(そくせき)は、正に「天才」の物だと思う。


お薦め度:★★★★★


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『別冊 花とゆめ』2012年6月号

2012-04-29 | 少女漫画
 
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『マダム・プティ』第1話/高尾滋
この新連載が、たまらない。最高だ。興奮を鎮めてから、冷静な感想を書こうと思ったけれど、やはり興奮はおさまらないので、箇条書きに。

1. 舞台は、一九二〇年代末である。第一次大戦の後であり、第二次大戦の前。さらに言えば、ロンドン軍縮会議よりも前。つまり、日本は敗戦国ではなく、戦勝国であり、欧米列強は、日本を恐れていた。

2. 主人公は、十六歳の"やまとなでしこ"である。現時点で既に、もう「日本人代表!」ってくらい、重要な役割。新婚で、夫は年上。

3. 列車に乗り合わせているのは、イギリス人、フランス人、ドイツ貴族の出の夫人、そしてインド人。行く先はパリである。

4. 唇を夫ではない男に奪われてしまい、万里子は激怒。しかも、彼女は相手を「虫」扱い。

5. そして、私が最も興奮してしまったのが、万里子の
「糖の過剰摂取は帝国の驕(おご)りよ!!」
という、日本茶をいれた時の台詞。
それを聞いて、インド人(独立前)は暖かく、どこか寂しそうに微笑む。この時、万里子は初めて、ニーラムがインド人(=帝国の人間ではなく、帝国に支配されていた国の人)だと知る。
(アヘン戦争だって、極論すれば「イギリス人がお茶を飲みたがった」から起こったような物だ。)

アングロサクソン(戦勝国)は、万里子に対して、おおむね友好的。逆にドイツ(敗戦国)の貴族出の夫人は、万里子を敵視して侮辱する。

読んでいて、うきうきワクワクと、胸騒ぎがおさまらなかった。もう既に、来月の26日が待ち遠しくて、たまらない。


 以下、面白かった作品を羅列します。

『オレンジ チョコレート』第37回/山田南平
梨絵が、本気で日舞を始める。それでも、律の所作には適わないし、ちろのような存在にもなれない。
「"美しい"ってどういうことなの?」と、三人三様に追求しながら悩む様が、やはりとてもキレイ。


『ボクを包む月の光』いれぎゅらーばうんど#7/日渡早紀
あの時は何も出来なかったコウが、刑事として経験を積んだ今、とうとう輪の力になれる。もちろん「物理的(あるいはESP的)に」何か大きなことをしてくれるわけではないんだけど、嬉しい。


『執事様のお気に入り』第53話/伊沢玲・津山冬
紗英が、意外と無邪気な理由で双星館に来ていて、ちょっと安心。彼女は良ちゃんとも意気投合。
そして、考え始めるのは、「進路」のこと。


『オトメン(乙男)』第65話/菅野文
飛鳥ママの「陰謀」と「圧力」。
「お昼を食べながら ひとりでプリントを読んで」を、説明会だと思い込んでいた都塚さんの天然ぶり(笑)!


『パタリロ!』子猫物語/魔夜峰央
地球と火星、そしてもう一つの惑星の謎に、マリネラが挑む。出生の秘密が分からない、英雄の子供。壮大なSF大作の幕開けだ!(嘘です。単なる金儲けの話です。)


マダム・プティ、オレチョコ、執事様。



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【検索用】別冊花とゆめ 白泉社 201206
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『ビッグコミック』2012年9号

2012-04-28 | 青年漫画
 
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『ゴルゴ13』第521話「ストック」/さいとう・たかを
今回は、一回で完結の短編。これが、すごくいい。
孤独なプロと孤独なプロとの、出会いと別れ。こういう話、大好きだ。彼は職人を高く評価しているが、用心深い。彼は職人の腕を信頼し、職人は彼の「魂」を削り出す。ちょっと泣けた。
この話が単行本に採録されるまで、この9号は大切に保管しておこう。


『憂国のラスプーチン』第38話/伊藤潤二・佐藤優・長崎尚志
憂木の夢に出てきた、猫の言ったセリフが重々しい。「異例」の取り調べで検事に伝えられたことを、憂木はどう捉えたのか。既に判決が決まっている、法廷でのやりとりも楽しみだ。


 以下、面白かった作品を羅列します。

『ゲゲゲの家計簿』第24話/水木しげる
結婚しても、すぐに仕事。そのくらい苦しかった。
ページ数が少ないけれど、この作品は毎回、衝撃的だ。私の戦後漫画史に関する知識というのは、ほぼ藤子不二雄A先生の『まんが道』とその続編がベースなので、「"トキワ荘"と"劇画工房"」という図式でしか捉えていなかった。
水木しげる先生が、「自分の知らなかったこと」を教えてくれる、語り部のように思えてくる。


『S-最後の警官-』episode.066/小森陽一・藤堂裕
中丸隊長が、縁上に言い放った言葉が素晴らしい。
「SATは世界を変える存在に非ず、変えようとする者と闘う為にある。」
幼稚な革命思想を一刀両断してくれる強さだ。私は見通しもついていないのに「日本を変えます」と言う政治家は、あまり好きじゃない。「日本を維持し、衛(まも)る」ために働いている人々に敬意を払っている。


『星を継ぐもの』第29話/星野之宣・J.P.ホーガン
この展開が読みたかった! 「星野之宣によるオリジナル」の部分が、とにかく素晴らしい。原作を「そのまま漫画で再現」するのではなく、新たなストーリーで「原作者が描いたテーマ」を現代に伝えてくれる所が、この漫画の最大の魅力だ。


『そばもん』第85話/山本おさむ
機械打ちの中編の2。稜が語る、二八(にはち)そばの「値段説」と「配合説」の解釈が面白い。手打ちと謳いながら手打ちではないそばや、手を一切使っていないのに実質的に手打ちであるそば。「職人の技」と「業界の規格」は、全く別物。


『総務部総務課山口六平太』第622話/林律雄・高井研太郎
どんなに屁理屈をこねても、「サボってただけ」。六平太のその言い切り方が、清々しい。


『江戸の検屍官』女地獄 第3話/高瀬理恵・川田弥一郎
予想外の面白さ。単なる「殺人とその検屍」ではなく、「江戸時代の女性の生き方」にまで迫っていて、引き込まれる。


『兵馬の旗』第二十八陣/かわぐちかいじ
下総に向かう伝習隊、それに合流する新撰組。この物語の中で「架空の人物」である、兵馬と松蔵との交わした約束に、息を呑まされる。
司馬遼太郎は「実在の人物」に肩入れして書いたけれど、かわぐちかいじは逆に、「架空の人物」の描写に力を注いでいる。そこも対照的だと思う。


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『純情ドロップ』/中原アヤ

2012-04-27 | 少女漫画
 
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あの舞台でおまえは輝いてた
あれはおまえにしかでけへんことや
好きなんやったら続けたら いい
いつか みんなにも伝わるやろ

(赤居から茶山へ)


 中原アヤの漫画はどれも、"YES"と奏(かな)でて全てを肯定してくれるような、素晴らしい漫画だ (私はこの作品に惚れ込んでしまっているので、「そんな大層な物じゃないよ。ちょっとセンスが良いだけのフツーの漫画だよ」と冷静な指摘をされても、耳を貸さないw)。

 はじめに、私の好きな、イエス(yes)というロックバンドのことに触れたい。CDによる再版(再プレス)が始まり、周囲でプログレッシブ・ロックが流行っていた二十年前、博識ぶりたい年頃だった私たちは、1970年代のロックミュージックから深遠な哲学を感じ取ろうとしていた。"Close to the Edge"や"Awaken"のような名曲に、高尚な文学などを勝手に重ねて悦に入っていた。しかし今になって思う。"I've Seen All Good People"や"Roundabout"の、聴いてワクワクする「楽しさ」こそが、イエスの真骨頂だったのかもしれない。ステージの上でボーカルのジョン・アンダーソンを始め歴代メンバーが、観客に最も伝えたかったのは、「音楽っていいよね。みんなで楽しもう」ということだったのだと思う。

 という前置きをした上で、中原アヤの新刊『純情ドロップ』を買ったという本題。別冊ふろくの読み切りと、その後始まった連載を読んでいた時から、私はこの漫画が大好きだ。
 ロックを聴きながら小賢(こざか)しい哲学のことを考える必要などないのと同様に、中原アヤの漫画を読みながら難しいことを考える必要はないのだ。世の中には深い漫画もあれば、難解な漫画もあるけれど、中原アヤの漫画は良い意味で、そういう物に分類されない。早希ちゃんが可愛い、赤居くんがかっこいい、そして読んで「面白かった」。誤解されるのを承知で断言すれば、それが全てである。
 時に見失われがちな真理だが、「面白い」というのは、漫画に於いて最大の価値である。

 それでも敢えて、この漫画に奥深い「何か」を求めるならば、赤居をアニキと慕う、茶山が組むバンドにそれはある。例えば贔屓(ひいき)のバンドのライブを見に行って、「深く考えさせられました」などという感想を持つ者は極めて少数だ。人は「楽しかった。見に行って良かった」と感じるために、チケットをもらったり買ったりするのだ。

 そしてやはり、中原アヤの漫画は、私の中で、イエスの名盤と同等の輝きを放っている。「過大評価だ」と突っ込まれそうだけど、「少女漫画に於ける中原アヤ」と「ブリティッシュ・ロックに於けるジョン・アンダーソン」は、私の中では多くの面で重なる。イエスの音楽が素晴らしいのは、神業のような卓越した演奏技術を持つメンバーが、「聴いて楽しいロック」を奏でていたからだ。中原アヤの漫画もまた、確かな実力を持つ作者が、「読んで楽しい漫画」を描いている所が最も素晴らしいのだと、私は思う。


第1話扉カラー(別冊マーガレット平成24年1月号)



お薦め度:★★★★☆


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Fate

2012-04-24 | Weblog

 たまには、「僕は国際情勢にもちゃんと関心があるんです」という感じのカッコイイことをブログに書きたいので、シリアのことに触れてみる。

 やや長い前置きをするけれど、私が海外で暮らした中学生時代、現地の学校で「ギリシャ神話」という科目があった。その学校では、「作文(エッセイ)を書きなさい」と言われることが多かった。ある時、そのギリシャ神話の授業で、"Fate"とは何かを作文にしなさいという課題が出た。しかもそれは、
「辞書に書いてあることを写してはいけません。ストーリーを読んで、Fateが何なのか理解しなさい」という物だった。
 日常会話すらおぼつかない私にとって、それは難問だった。でも書き終えないと休み時間に遊べないので、とにかく書いた。

 教科書(といっても「絵本」のような物)に載っていたお話は、Fateに逆らおうとする人間の物語だった。
とりあえず、Fateという名前の神がいて、それは同時に、人々が逃れられない何かだというふうに理解できたので、まずこう書いた。

"Fate" is the name of goddesses, and it is also something we cannot escape from.

そして、fateとfortuneとは違うようだったので、
Fate is not same as fortune.

神が決めている物ではないけれど、それは既に決まっている物のようだった。
Gods don't decide fate, but it is already decided.

Fateのせいで死ぬことがあるけれど、そのお話の主人公はfateと戦っていたので、
People sometimes die because of the fate, but they fight against it.

 その先もこんなふうに書いて、私はとにかくノートを1ページ埋めた。小学生レベルの幼い英文だったけれど、「ちゃんと自分で考えましたね」と言って(内容は所々間違っていたけれど)、先生は点をくれた。

 たまに、「帰国子女だった人は英語が上手いんでしょ?」と言われるけれど、私はあまり上手くない。上手い人もいるが、私は演説をしたり論文が書けるような英語力は持っていない。
 自分を弁護させてもらうと、政治家にでもならない限り、日本の中学で習う英語が分かればそれで十分だ。テストに出るような「道を尋ねられる会話」の回答で、「この道をまっすぐ行って、二つ目の角を左に曲がって、30メートルほど進むと右手に見える建物です」という程度のことが言えれば、不便はしないと、私は思う。

 何故こんなことを書いたかというと、テレビで「アサド大統領の妻」に宛てたビデオメッセージのことを知って、ネットで動画を見てみたからだ。音声は簡単で分かりやすい英語で録音されていた(字幕まで付いていた)。
 シリアが今後どうするべきなのか、私には断言できない。夫人は、大統領である夫の政策に口出しができないのかもしれないし、行動が制約されている可能性もある。しかし、彼女は過去にイギリスで暮らしていたようなので(それに動画の中に彼女が英語で喋っているシーンもあった)、あのビデオに吹き込まれている程度の英語は、確実に理解できるはずだ。少なくとも、「見たけれど内容が理解できませんでした」という言い逃れはできない。
 このように、ファーストレディと呼ばれる女性が「色々な意味でものすごく大変」なのも、"fate"なのかもしれない。


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『月刊少女野崎くん』第1巻/椿いづみ

2012-04-22 | 青年漫画
 
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告白したんだけど気付いて貰(もら)えなくて
でも そのおかげで話す回数は増えたんだけど
便利屋くらいにしか思われてないような…

(佐倉から野崎へ)


 ネットで連載されている、俺ティーの椿いづみさんの漫画。その存在をとのすけさんに教えてもらい(感謝!!)、げらげら笑い転げながら読んでいた、大好きな四コマ。
 作品は大好きなんだけど、「パソコンで漫画を読む」のがどんどん億劫になってしまったので、本が出て嬉しい。

 マンガ(の仕事)で一番大変なのが「人間関係かな」と答えてしまう野崎くん。この本に詰め込まれているネタは、作者が「ラブ」を描かないことへの照れや自虐であったり、漫画制作の舞台裏のようにも思えるけれど、何もかも忘れて大笑いできる所がやはり、最大の魅力だ。
 そして、作者はおそろしく頭の良い人だ。「頭の良さ」というのは、「知識の多さや学歴の高さ」とは本質的に違う。頭が良くなければ噺家になれないのと同様、頭が良くなければギャグ漫画は描けない。

 あと、「もっとネットを使いこなせるようになるぞ」という、前向きな目標を私は持つことにしたので、Innocent-Bの夕花さんの記事にトラックバックを送ります。


お薦め度:★★★★☆


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『花とゆめ』2012年10号

2012-04-21 | 少女漫画
 
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『リーゼロッテと魔女の森』第14話/高屋奈月
人格まで変わっている淵月。それすらも受け入れて、リーゼはこれからの彼を「知っていく」と言う。
この「知る行為」というのが、本作のテーマかもしれない。リーゼは先入観を持たず、物事を最初から善悪や好き嫌いに分類せず、対象を「知る所」から始めている。そして、淵月がリーゼを「魔女みたい」と形容する所が、なんだか印象的。この作品の中の「魔女」が、単に「魔術」を使えたり「人間の知らないこと」を知っている存在なのか、それとも…。というのが、気になる。


『LOVE SO LIFE』第59話/こうち楓
学生時代の松永さんの、過去編の始まり。「家」が何なのか、おそらく彼は実体験として知らない。もうこれは、絶対に詩春ちゃんに結婚してもらって、幸せにならなきゃダメだよっ。
今まで、どちらかというと詩春のほうが多めに遠慮していた感じなので、プロポーズの時は松永さんがかなり下手に出るかもしれない。


『はじまりのにいな』/水森暦
「変わんないねっ」と言われて、少しだけショックを受けてしまう篤郎。「実は2回生きている」新菜が、ふとした時に見せてしまう「大人の顔」が、すごくいい。


『月刊なかとば』/山口舞子
猫はトーンも貼れないしベタも塗れません。役に立たないのです(笑)


『暁のヨナ』第54話「幻でしょうか」/草凪みずほ
テジュン様、賊を知るために、とうとう身分を隠して村に潜入。マヌケな男が失敗を重ねるというギャグの展開でありながら、彼は村人たちのつらい暮らしを身を以て知っていく。泥水のような食事、明かりの全くない夜、凍えるほどの寒さ。全てが都とは正反対。


『いわくのローズ』/堀古みやこ
再登場。一歩間違えば、「どんな美術品よりもローズが美しいよ…!」となってしまいそうな危なさが、好き。


『モノクロ少年少女』#60/福山リョウコ
「口にしたら本当になってしまう」。茅と蝶々は、「こわいゆめみたんだ」の頃から、(気付いていなかっただけで)互いに惹かれ合っていたのかもしれないと思えるような、嬉しい展開。


『神様はじめました』第80話/鈴木ジュリエッタ
これは…とうとう悪羅王すらも従えてしまうのかもしれない!
ミカゲ様に頭を下げながらも、奈々生一筋の瑞希もいい。


『俺様ティーチャー』第81回/椿いづみ
馬を走らせるための人参(にんじん)…! あの緑ヶ丘に「修学旅行」が復活。
しかし、まふまふも番長も、「ケンカ」と「正座」の記憶しかなく、何をするのか知らない(笑)
私服、学校名を言うな、まではともかく、「生徒手帳をわざと忘れろ」…。それって海外旅行で「パスポートを持たずに出かけろ」ってくらい無茶だ…。


『女王様の白兎』episode.14/音久無
地球人でなくとも「白兎」になれると知らされる雪兎。彼が初めて覚える「執着」の感情。レイシーも、いちいち不器用で、一つ一つの言動が可愛い。


ヨナ、神様、女王様。



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『MEMENTO(メメント)』

2012-04-18 | daily

 先日借りたDVD。面白かった!
メメント - goo 映画
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 私は映画にあまり詳しくないので、どれが面白いのか、人に薦めてもらうことが多いけれど、中でもこれは特に面白かった。
「そうかっ。そういうことだったのかっ!」と納得して、スカっと爽快感を味わえる作品が、私は好きなようだ。

 この映画の主人公・レナードは、妻を殺された時に自身も負傷して、「新しいモノや事を全く覚えられない」という症状を患っている。記憶喪失や認知症とは異なり、事件の直前までの記憶はあり、思考する能力にも問題はない。ただし、今は10分前の出来事も会話も人の顔も、自分の感情すらも、完全に忘れてしまう。そんな彼が、妻を殺した犯人を見付けて復讐しようとしているが、常に10分前のことを忘れてしまう。

 まず面白いのは、この映画が少しずつ過去に遡る構成になっている所だ。
 「自分が現在置かれている状況」というのは、現在より一段階前の過去に、どこで・誰と・何故に・何があり・何を感じ・どう行動したかで、決まる。その一段階前の過去も、さらに一段階前の過去に由来する。「世界」とは、そういう物だ。しかし、レナードは常に現在を忘れてしまうので、己の筆跡でメモを取ることで「世界」を認識している。
 記憶(メモリー)と記録(リコード)とは、本質的に違うという真理は、脳の損傷のあるなしにかかわらず、全ての人間に共通だ。レナードの信条は、主観に影響される「記憶」ではなく、揺るぎない事実である(はずの)「記録」の積み重ねによって真実を突き止めるという物だ。だから彼は、主観や一時的に抱いた感情に左右されず、事実(ファクツ)を整理して、そこから結論を導き出そうとする。
 私が特に印象深かったのは、事件の後に彼が知り合った人間を撮った写真が、二枚並ぶシーンだ(彼は新しく知り合った人の顔も名前も忘れてしまうので、その場で写真を撮って名前をメモしている)。両方の写真に、「こいつを信じるな」と書いてあるが、レナードはある時点で、その片方のメモに線を引いて消してしまう。
「えっ? そっちを消しちゃうの?」と、思わず身を乗り出してしまった。

 そしてついに、「現在の状況」を招いた発端と経緯が明らかになる。映画を見ている私は、
「そうかっ。そういうことだったんだ!」と納得するが、レナードはそれを忘れている。しかも、彼は単に忘れたのではなく、彼自身が生きる意味を持ち続けるための、「意図的な忘却」がそこに存在していた。
 この、「意図的な忘却」が、私は最も面白かった。レナードは脳の損傷ゆえに「意図的な忘却」を己の意志で選ぶが、脳に損傷のない者は逆に、無意識に「意図的な忘却」をしていることがあるはずだ。
 どこまでが真実で、どこからがウソなのか、彼は覚えていないし、観ている私にも断定はできない。そういう面白さに満ちている。


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『ときめきトゥナイト』新装版 第12巻/池野恋

2012-04-16 | 少女漫画
 
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 月に2冊ずつ刊行されていた新装版が、この第12巻で、第1部完結(とにかく大好きな作品なので、冷静な感想とかは書けない)。

 もう何度も何度も読んでいるのに、「新品を定価で買い揃える」のは、今回が初めてだ。借りては読み、借りては読み返し、古本屋で買った物を引っ越しの時に手放したりを繰り返していた。今回購入した物は、ずっと手放さないつもり。

 「このまんがを読みながら育った」という特別な思い入れは、私の中ではきっと永遠に消えない。「ずっと読み継がれてほしい昭和の名作」の中の一作だ。
 両親が『サンデー』や『マガジン』を読んで育ち、その子供が『コロコロ』や『ジャンプ』を読んで育ったという、戦後日本史のもう一つの側面を感じている人は、少なくないと思う。そして、自分が(借りて)読んでいた1980年代の『りぼん』がどういう漫画雑誌だったのかと問われれば、私はまず第一声で、「『ときめきトゥナイト』と『星の瞳のシルエット』でした」と即答してしまう。あと、私は『有閑倶楽部』も第19巻まで持っている。
 たとえシリーズ全作を持っていなくとも、夢中で読んだ(観た)ことを決して忘れないという意味では、私の中で『ドラえもん』や『機動戦士ガンダム』と同格だと言っても過言ではない。

 1980年代に小中学生だった私たち(の世代)の熱狂やノスタルジーを差し引いても、今読んでも必ず、とても、ものすごく面白いと、自信をもって断言できます。


お薦め度:★★★★★


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『別冊 マーガレット』2012年5月号

2012-04-14 | 少女漫画
 
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『アオハライド』PAGE.16/咲坂伊緒
洸が、とうとうあの猫を飼うことになる、双葉にとっても嬉しい展開。好きな人の、今までとは違う笑顔も、見られるようになる。「あと一ミリ」を無くすという、双葉の意気込みもいい。
ふられたと言って笑う槙田さんの頭を、無言でなでてくれた村尾修子がやっぱり好きだ。


『360°マテリアル』#27-絶対に…/南塔子
しーちゃんの、自分が告られるとは少しも思っていない、にぶい所がなんだか可愛らしい。彼女は自分の美しさをあまり自覚していないのかもしれない。スポーツに長けている女性ほど美しいものはないというのは、私の主観だけど。


『俺物語!!』/アルコ・河原和音
もう、面白くてたまらない。猛男と砂川それぞれの熱さやかっこよさが、全く違う形なのが、作品の魅力を倍増させている。
嘘がつけない極限状態で砂川が言った、「……おまえいないと オレもつまんないし」という本音が最高。


『君に届け』episode 67/椎名軽穂
やのちんが、こんなに哀しい憧れを胸に秘めていて、それを爽子に打ち明けた今回。この作品には、いつもいつも引き込まれる。


『orange』LETTER 2/高野苺
ぐっとくる。悲しくて泣けるというより、嬉しくてじんわりと感動する。儚さが漂っていても暖かいという、不思議な魅力がある。
「お弁当を渡す」というありふれたシーンを、ここまでドラマチックに描くセンスを、さすがだと思う。


『青空エール』38TH YELL/河原和音
大介のおかげで立ち直れるつばさ。「水島なんか」と言い返されて、露骨に不機嫌になる水島の反応も、甘やかさず見捨てず、つばさを支えていて、金管パートの結束が強まる様が熱い。


『オオカミ少女と黒王子』第11話/八田鮎子
この、まるで「ごほうび」のような嬉しい展開に、エリカと一緒に飛び上がって喜びたくなってしまう。日下部くんが最後まで前向きでいてくれた所にも、救われる。クライマックスに向かっている気配だけど、単行本は3巻を超えそうで、それも楽しみ。


『クジャクの教室』第3話/高梨みつば
「立ったあ」「歩いたあ」が、あまりにも失礼な反応で爆笑。周りに失礼な奴しかいなかった設楽が、普通に接してくれる人を好きになるという展開に期待。


『color』#6/美森青
菫が寛大で、そういうふうにできない橙太がすねてしまう。杏ちゃんに説教されて、橙太は何かを決心した模様。
なんだかこの二人、結婚しても菫が「先日はうちのバカな夫が看板を壊してしまって、本当に申し訳ございませんでした。責任を持って修理させますのでお許し下さい」なんて、近所をお詫びして回りそうで微笑ましい(笑)


『虹色デイズ』最終話/水野美波
完結して、ようやくこの作品の良さが理解できた。誰かと誰かが結ばれるまでのラブストーリーではなく、「大切な友達と過ごしたかけがえのない日々」の眩しさを描いた作品だったのだと思う。ベタなんだけど、やはり大切なことを思い出させてもらった気分。





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『イワンのばか』

2012-04-12 | 読書

 十数年ぶりに読み返してみたら、とても面白かった。読みやすいのに何だか深い。
 実は、思い出すと少しいたたまれない気持ちになる、苦い記憶も蘇った。どういう物かというと、十代の頃に「自分はものすごくバカだ」と、身にしみて知った時の恥ずかしさだ。

 「無知の知」と呼ばれる考えは、倫理の授業で聞いて何となく知っていたけれど、中学や高校の頃、私は心のどこかで「自分はそんなにバカじゃない」と自惚れていた。そして私大の付属校に通っていた僕は、受験勉強をせずに進学してしまった。高校時代に「古代史ってわりと面白いなあ」と思っていたので、「何かそれっぽい講義も取ってみよう」と、軽い気持ちで日本史の授業を選んでみた。その最初の授業で、いきなり僕の知らない単語が繰り返された。
「まるくすしかん」
その言葉を知らなかったのは僕だけだったらしく、教室の皆は当然のように授業に参加していた。僕は動揺し、「その『まるくすしかん』って何なの?」と尋ねるのを、ためらってしまった。一年生だった僕は慌てて、図書館で「マルクス史観」が何なのかを誰にも知られないようにこっそり調べた。そして翌週から、「オレは『マルクス史観』が何なのか、前から知ってましたよ」と装いながら授業に加わり、自分の無知を隠し通してしまった。

 それは僕にとって、二重の意味で恥だった。受験勉強をせずに入学してしまった自分が、きちんと受験勉強をした生徒と比べて明らかに劣っていたのが、小さい方の恥。「マルクス史観」が話題となった時に、「僕それ、何なのか知りません」と正直に質問せず、こっそり調べてから知ったかぶりをしてしまったのが、大きい方の恥。「オレってこんなに無知で無能でバカだったんだ…」と、密かに落ち込んで己の愚かさを恥じた。

 『イワンのばか』に描かれている兄弟や国家の在り方には、現代でも学ばされる物があるような気がする。
 「私はバカです。バカなので、お金を稼ぐ方法を一種類しか知りません。そして、いつかは大病をするか老人になるので、お金が稼げなくなります。イワンの妹のように、障害を持って生まれてくる人もいます。だから年金とか社会保障とか、そういうのを国はちゃんと整えておいて下さい」
 そんなふうに解釈するのは、飛躍しすぎかもしれないけれど。

 現在の日本に当てはめてみれば、原発の再稼働や消費税増税の是非に関して、「断固反対」または「速やかに実施せよ」と断言するのは、私には難しい。感情によって「嫌です」と反対するのは容易くとも、実際には「私はバカなので、電力需給や経済の仕組みについて、隅々まで全てを自分で理解することはできません。専門知識を持っている人の指摘を参考にしながら、バカな私が納得できる政策を掲げている党や候補者に投票します」というのが、本音だ。裏返せば(あるいはイワンが老悪魔に尋ねたように?)、政府に「そんな言い方じゃ全然わかりません。オレにも理解できるまで、もっとちゃんと説明して下さい」といって教えてもらう権利が、私たちにはあると思う。


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『ビッグコミック』2012年8号

2012-04-11 | 青年漫画
 
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『ゴルゴ13』第520話「未病」後編/さいとう・たかを
会長である金(キム)の本質を知り、彼に「未病」の何たるかを説かれ、ひざまずいて詫びる朴(パク)。そして金は、朴があの男の前に姿を見せた時の態度を聞いて、プロの姿を称賛する。依頼は遂行され、金もまた、彼のように強くしたたかであろうと、会議に臨む。


 『憂国のラスプーチン』はお休み。以下、面白かった作品を羅列します。


『獣医ドリトル』カルテ107/夏緑・ちくやまきよし
表面では犬猿の仲のドリトルと土門が、共にライナを救おうと、根本の部分で同じ思いを抱いているのがすごくいい。「奇跡なんて起こってませんよ。」と土門が言い切るから、逆にとても感動する。ちょっと「うるっ」とくる展開。


『星を継ぐもの』第28話/星野之宣・J.P.ホーガン
地球から「巨人たちの星」へ向けて第一報が送られる。返信かもしれない信号には、「祖先」と聞き取れる一節がある。
ガニメアンが去った後の地球で、武器を放棄したはずの宇宙軍や、大胆な予測をするハントの姿が頼もしい。


『総務部総務課山口六平太』第621話/林律雄・高井研一郎
少し前に、霊能力者にマインドコントロールされている芸能人の記事を読んだので、こういう内容がちょっと怖くて面白い。占いに依存し過ぎてどうしたら良いのかわからなくなって、どうすれば良いのか「占って」もらうとか…シャレにならん(笑)


『兵馬の旗』第二十七陣/かわぐちかいじ
江戸城明け渡しが決まる。日光をお守りするために出陣する伝習隊。兵馬は、行き先を告げずに、勝総裁においとまを申し上げる。


『ゲゲゲの家計簿』第23話/水木しげる
大あわてで挙行される結婚式。「カネが無かった」という理由が、重々しい。


『江戸の検屍官』女地獄 第2話/高瀬理恵・川田弥一郎
死体に湧いた蛆(うじ)を煮て、正確な死亡日を突き止める玄海。さらに、「鼠の腑分けを禁じた法はない!!」との北沢の一言で、鼠の本当の死因を突き止めてしまう。


『そばもん』第84話/山本おさむ
「バラガケ」を説明する稜。その話に若者は「俺たちが主流だぜぇい!!」と大喜びしてしまうが、大滝は不味い蕎麦への怒りが高まる。終戦後の大きな変化の中で、そばの伝統が破壊されていった経緯が、悲しいけれど興味深い。


『和算に恋した少女』第五話/中川真・風狸けん
前にも増刊号で読んで、とても面白かった作品。律が、祈祷(きとう)師のイカサマを算術で暴いてしまうのが痛快。祈祷の効果がなかった場合、客に祈祷料に「慈悲」を上乗せして返金しても、祈祷師は必ず儲かる仕組みもずる賢くて面白い。
 こういう作品を読んでも気付かされることだけど、学生時代に好きでもない数学や物理や生物を学ばされたことには、一応は意味があったんだな。ああいう科目が好きな子もいたけれど、私は数学や物理の授業が嫌いで退屈で、眠かった。思うに、ああいう退屈な科目は、物理学や生物学に興味を持たせることだけが目的ではなく、大人になってから「変な宗教に騙されない」ようにするという目的もあったのかもしれない。
 「神通力で物が空中に浮いたりはしない」とか「水晶玉を覗いても未来を予知なんかできない」とか、常識で考えれば当然のことなのに、ウソを信じ込ませてしまう宗教も狡猾だ(笑)


『S-最後の警官-』episode.065/小森陽一・藤堂裕
「俺を撃ってください…」と、中丸隊長を挑発する縁上。その中丸を止めようとする香椎隊長。自分が選んだ男(神御蔵)を信じている香椎隊長がかっこいい。


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【検索用】ビッグコミック 小学館 201208
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『シドニアの騎士』第7巻/弐瓶勉

2012-04-08 | 青年漫画
 
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ガウナは今 私に
すごくひどい事をしました
私の友人や仲間にはあんな事させない

(白羽衣つむぎ)


 やっぱり凄い漫画だ。狭義の「萌え」を期待していると、ことごとく裏切られるので、逆に(あるいはマゾヒスティックな意味で)心地よい。
 おそらく作者は、萌え漫画でありながら、読者が「従来の意味の萌え」の感情を抱けない作品を、確信犯として描いている。もしくは、この漫画は、「萌える」という感想を意図的に封じている。
 読者はこの作品を読みながら、作中の異性にも同性にも中性に対しても、その肉体にも属性にも惹かれることを拒否される。融合個体は「機械」ですらないので、「メカフェチである」という逃げ道も断たれてしまう。この巻の主役である融合個体、白羽衣(しらうい)つむぎは、少女の名を持ち、その行動にも言葉にも、いわゆる「萌え属性」が満ちている。彼女が奇居子(ガウナ)との融合個体であるという一点だけを除いて。

 "白羽衣つむぎは、オタクが求める「萌え属性」を全て備えている。ただし、この子は奇居子(ガウナ)である。さあ、萌えられるものなら萌えてみろ!"
そんな、作者からの「挑発」のような物も感じられる。

 それでもこの漫画が凄いのは、弐瓶勉が描いている物が決して「萌え」の否定や冒涜(ぼうとく)ではなく、定義が曖昧でその実態が掴めない「萌え」という概念の「本質」に迫ろうとしている所だと、私は思う。融合個体に惹かれる時、読者は性嗜好ではなく、自身の内のマゾヒズムを刺激されているのかもしれない。


お薦め度:★★★★★


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【検索用】シドニアの騎士 弐瓶勉 7
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『花とゆめ』2012年9号

2012-04-06 | 少女漫画
 
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『スキップ・ビート!』ACT.187/仲村佳樹
キョーコ、久々に学校へ行く。そして授業を聞いていなかったことを後悔してしまう。もうプロの役者なんだから、「学校のお勉強」なんかする暇があったらもっと有意義な、例えば演技力を磨くとかすればいいのに(笑)


『暁のヨナ』第53話「逝きたがりのテジュン様」/草凪みずほ
賊討伐の任を帯びてカン・テジュンが遣わされるが、現場では賊の実態が正確に掴めていない。側近のフクチは、納税は民衆の義務だと言い、ユンは食糧不足と病人を何とかするのが国の役割だと言い返す。どちらも正論だし、実際にスウォンには国を憂える「優れた王」の一面もある。衰退している王国に於いて、「何が正しいか、何を優先すべきか」という問いかけは重い。
緑龍に足蹴にされていたテジュンは、自分が死なせてしまったはずの姫の声を一瞬耳にするが、やはり哀れな目にあってしまう。
テジュン様がお可哀想で  …腹筋が痛い(笑)


『モノクロ少年少女』#59/福山リョウコ
ケダ高祭2日目。恋をしたらみんな馬鹿だと指摘され、「狡(ずる)く」なろうとする茅がついてしまう嘘が、悲しい。


『リーゼロッテと魔女の森』第13話/高屋奈月
アイヒェと取り引きするリーゼ。エゴだと居直るリーゼの姿は、正に高屋奈月の本領発揮だと思う。
髪も声も目も要らぬとひるまなかったリーゼからは何も奪わず、おそらくエンの記憶を奪ったアイヒェの仕打ちも、これから物語を面白くしてくれそうな予感がする。


『それでも世界は美しい』第10話/椎名橙
今回、題名の意味を掘り下げる内容だった。
「シーラの生きた世界は 悲しいだけの物じゃなかったと」
「偉大」と言われて照れてしまうニケが、とっても良い。


『神様はじめました』第79話/鈴木ジュリエッタ
この9号で、一番の読みごたえ。二十年前にミカゲが社を去った理由が何なのか、とても気になる。
ミカゲが巴衛に与えた、「人を好きになることで解ける暗示」が素敵だ。


『月刊なかとば』/山口舞子
取材開始! …でも、逆に春がマッパにされるほどの取材をされてしまう。
もうすぐ第1巻が出る。増刊に掲載された回で私が読んでいない物も採録されていると思うので、楽しみ。


『俺様ティーチャー』第80回/椿いづみ
酔った鷹臣くんの口から出た、生徒会はネバーランドという喩え。確かにそれっぽい。その図式で言うと、
生徒会長=常識が通じない独裁者=永遠にコドモ。
というか、鷹臣くんが苦労して用意したカツラが、校長室からの盗品というのがツボって、涙を流して大笑い。


『女王様の白兎』episode.13/音久無
レイシーの焼くヤキモチ。仲さんに言った、「雪兎が私だけのものになったらいいのに」が、もう最高。


『忘却の首と愛しき姫君』/惣司ろう
ザ花に掲載されたデビュー作を、加筆しての本誌掲載。ザ花を買っていないので初めて読んだけれど、上手い、面白い、かわいい。「首(から上の頭)がない」ことで生じるすれ違いや、「城壁」を贈られて姫が王を好きになったという想いにキュンとさせられる。


『ろっぱん!!』Trick 13/トビナトウヤ・ハラダカケル
日本一の番長の、日本一の子分を目指す渡哲。哲の正体がばれないようにずっと助けてくれていた番長が、最後に言ってくれた「大事な友達だ」が、とっても嬉しい。


ヨナ、神様、俺ティー。



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【検索用】花とゆめ 白泉社 201209
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『color』第1巻/美森青

2012-04-04 | 少女漫画
 
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…なにそれ…
とーたのいいところは
自分に素直で嘘がないとこでしょ?

(星野菫)


 単行本が出たので、嬉々として購入(おそらく、完結するまでずうっと買い続ける)。単行本では、#1から始まって、連載開始前の前後編は巻末に採録。
 主役の二人を見ているだけで楽しくて幸せという、わりとしょうもない理由で私はこの漫画が大好きだ。「ものすごく面白い」とか「心を動かされる」というような、いわゆる名作や傑作に触れた時のような感動はあまりないけれど(失礼)、やはり何度読み返しても楽しい。
 特に上手いと思うのは、菫(すみれ)と付き合う以前の橙太(とーた)の「テキトーさ」が、かなりリアルな所。とーたの恋の仕方は、とても正直で、男の目線からだとついつい共感してしまう。以前のとーたの本音を、露骨な言葉で言い換えてしまえば、こうなるかもしれない。
「告って付き合ってもらったけれど、やっぱ飽きちゃったんで別れて下さい」
言葉にしてみると確かに最低だけど、こういう感情を多かれ少なかれ、男は抱くことがある。高校生の男に「誠実さ」や「一途さ」のような理想を押し付けない、率直な(率直すぎる)描き方に惹かれる。
 とーたがしてきたような恋愛を許し難いと反感を買うのも計算ずくで、「木内橙太」というキャラを魅力的に描いている。だからやはり、美森青先生は上手いと思う。


前編カラー扉(別冊マーガレット平成23年8月号)


#1カラー扉(12月号)



お薦め度:★★★☆☆


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【検索用】color 美森青 1
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