アルバニトハルネ紀年図書館

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草凪みずほ『黒檻姫と渇きの王』(「ザ花とゆめ」6/1号)

2009-04-30 | 読書
 


巻頭カラーで草凪みずほ『黒檻姫と渇きの王』60ページ、これが目当てでした。
100%異世界のファンタジーです。なかなか良かった。一回限りの読み切りでここまで充実していて満足させてくれたんだから、ほぼ文句なしです。
奪うことしか知らず、しかし決して欲望の満たされることのない暴君・アジュライト王と、彼に拾われた、小さな村の小さな民族の生き残りの少女・セティアのお話。
セティアのこれ↓でもうたまりませんわ。


事の発端はセティアの住んでいたウルファ族の小さな村が盗賊に襲われたこと。唯一人生き残った彼女の前にアジュライト王の一行が通りかがり
「そこの娘 アジュライト王の御前であるぞ」
「墓を掘っているの 用があるならそこで待ってて 王様」
あらゆる土地を征圧し奪い気に入らぬ者は即刻処刑し反乱の兆しあれば村ごと焼き尽くす、そんなアジュライト王に怖れず口をきけるセティア。今は王に気に入られて城の黒格子の檻の中に閉じ込められている「黒檻姫(くろおりひめ)」。
あらゆる国、あらゆる街から集めた財宝が揃っている宝物庫。しかし常に飢えた瞳をしている王を、自分と同じく孤独で不器用な存在なのだと、セティアが「…本当に酷い王様 だけど 変われない人ではない と 思う」とだんだん放っておけなくなる過程が読んでいて楽しい作品でした。
「お前さえいればいい」と言う王を「私には婚約者が待っています」と拒む黒檻姫。しかし自分のことを捜していると思っていた、会ったこともない婚約者が王の御前に呼ばれ、その男は「王が拾われたのでしたら 彼女は既に王のものです」と。
毒を盛られ失明した王はセティアを「もうお前に用はない」と突き放す、自由になれたセティアですが、村はもう無く、待っている婚約者もいない。奪うことしか知らない王様の「お前さえいればいい」という言葉が、たとえ気まぐれでも本当は嬉しかった。

目が見えない状態で剣で斬りつけられる王を庇って「私は 貴方の…」
その言葉の続きを聞かせてくれと言う王。
「私は 貴方のそばに いたい」

草凪みずほさんはデビュー前に同人誌もやっていたそうで、残念ながらその頃の作品は私は知らないんですが、今の実力で『夢幻スパイラル』を描いたらあの作品ももっと完成度の高い物になっていたんじゃないでしょうか。

勝手に採点:★★★☆☆

『NGライフ』の華やかさがまだ記憶に新しいので。その先入観がなければ星4つだったと思います。あと、王にセティアのことをずっと「黒檻」と呼ばせ続けて、最後の最後にやっと「セティア」と名を呼ばせればもっと盛り上がったかもしれません。


『NGライフ』は本誌7号で完結。今夏発売の最終巻が待ち遠しいです。前世編の描き下ろしがあるようです(今それを描いてるらしい)。


新連載が今夏から本誌で始まるそうです。楽しみだ。


6月号のその他の作品。
南マキ『アネ☆モネ生花店』。
本誌で連載していた『S・A』に私はどうしても熱中できなかったんですが、こちらは小学生なのに高校生顔の男の子と、高校生なのに小学生のような見た目の女の子の逆年の差。
そこそこ楽しめました。

新人さんでなかなか「これは!」という人が出てこないんですが、まず、
ミユキ蜜蜂『姫君と三匹の獣』。前回の人気を受けて扉カラー100ページで再登場です。
バイオレット(お姫様)の満面の笑みにどうも見覚えがあるような気がして、探してみたらミユキ蜜蜂さん、去年の「ザ花」9月号に『嘆く死神』を描いていた人でした。この読み切りは気に入ってます。
今回は100ページという長さで途中で飽きさせずに読ませてくれました。箱入り王女のバイオレットが三匹の獣=三獣士と旅をしながら外の世界、自分に出来ること、恋、色々なことを知っていくお話です。

空安宿(そらやすか)『なんにも知らない』。この人はちょっと楽しみです。「花とゆめ」2008年12号の別冊付録で『背中の君』を読んだのが最初です。あれから3本くらい読み切りを読んだけど、繊細なタッチとちょっとエロい雰囲気が好きです。
今回は大会社の令嬢と雇われ運転手の身分差ものです。十色社の令嬢・九条周(くじょうあまね)15歳、一年半ほど前に誘拐されかけてから車に拒否反応。葦原新(22)の運転する車なら大丈夫なので彼をおかかえ運転手に。歳の差、身の程、色んな困難が立ちはだかる中で年上の雇われ運転手への想いを募らす周。レディコミに行かずに「少女漫画」で頑張って欲しいです。

アテナ新人大賞とHMC(花とゆめまんが家コース)の受賞作が4作。
どれもかなり拙いんですが、実際に漫画を読んでから巻末と本誌2号の批評の方を読むと、かなり甘口の評になってます。

『悪魔とドルチェ』が無かったのが少し残念です。続き描いて欲しい…。第12話まで描いてくれないと第3巻が出ないじゃないか。

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