アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

感想

2019-03-12 | 読書



 たまには本のことでも書こう。(電子版だけど)

 最近、ネットで誰も傷つけない表現云々というのが話題になっていたけれど、この本は「表現行為の加害性、暴力性」というものをしっかりと自覚し、そのことに真剣に悩みながら表現を続けている人の著書である。

 森達也を知ったのは、『別冊マーガレット』で知った豊島ミホの作品にその著書が登場していたからだ。試しに一冊読んでみて抱いた印象は、「ものの見方がとてもユニークな人」という表面的なものだったけれど、面白かったので著者の名前を覚えた。
 その後、オウム真理教を扱った作品に触れて衝撃を受ける。作者の言う、真に「公正中立」であることなど不可能、無作為な映像など存在しない、等々の視点がとても刺激的だった。

 そんなわけでこの本はずっと読んでみたかったので、セールを待たずに定価で買ってしまった。
 多くの人が似たような感想を抱くだろうけれど、「自分は今まで<ドキュメンタリー>が何なのかを勘違いしていたんだなあ」というのが私の第一印象だ。

 カメラ(「キャメラ」と表記している著者のこだわり?)の開発から素人がデジタルカメラを買えるようになった現代までの歴史を概説してくれる所だけでも、かなりの発見と読み応えがある。
 真実と虚構との境目はあやふやであるという内容は、押井守のアニメが好きだった元・中二病の私にはすんなり受け入れられる。
 そして、先の大戦で日本軍が如何に非道だったかという内容には共感できない。というか、正確には共感することを感情が拒否する。「自分の国が過去に悪事を働いた」という不都合な情報を、積極的に肯定するのがイヤなのだ。

 著者は、自作を非難する人の多くが内容をきちんと理解していないと嘆いているけれど、私にもそういう側面はある。
 例えば、「喫煙する奴はクズだ、タバコに存在意義などない」という趣旨の文章を目にしたら、私はカチンときて途中で内容を理解することを放棄する。人には自分の信じたいものだけを信じる傾向があるし、自分の意見と異なる内容を理解することに抵抗感があると思う。

 邪推かもしれないけれど、森達也を攻撃する一部の論客は、内容を「読み間違えている」のではなく「意図的に曲解」しているのではないだろうか。

 撮るという行為がエゴであるのと同様に、見たり読んだりする側のエゴイズムも大きい。
 私だったら、自分の生き様や価値観を否定する表現に触れたら、「理解しよう」という姿勢よりも「反感」が勝ってしまう。
 見たくないものを直視し、聞きたくない意見に耳を傾けることの大切さを頭では理解していても、感情が拒絶してしまうのだ。

 それではいかんので、「タバコはすごく有害なので今すぐ禁煙しなさい」という趣旨の記事を何か一本、しっかりと内容を噛み締めながら読んでみようかなーと思ったけれど、やっぱり面倒くさいから明日にしよう(笑)


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