アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『MEMENTO(メメント)』

2012-04-18 | daily

 先日借りたDVD。面白かった!
メメント - goo 映画
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 私は映画にあまり詳しくないので、どれが面白いのか、人に薦めてもらうことが多いけれど、中でもこれは特に面白かった。
「そうかっ。そういうことだったのかっ!」と納得して、スカっと爽快感を味わえる作品が、私は好きなようだ。

 この映画の主人公・レナードは、妻を殺された時に自身も負傷して、「新しいモノや事を全く覚えられない」という症状を患っている。記憶喪失や認知症とは異なり、事件の直前までの記憶はあり、思考する能力にも問題はない。ただし、今は10分前の出来事も会話も人の顔も、自分の感情すらも、完全に忘れてしまう。そんな彼が、妻を殺した犯人を見付けて復讐しようとしているが、常に10分前のことを忘れてしまう。

 まず面白いのは、この映画が少しずつ過去に遡る構成になっている所だ。
 「自分が現在置かれている状況」というのは、現在より一段階前の過去に、どこで・誰と・何故に・何があり・何を感じ・どう行動したかで、決まる。その一段階前の過去も、さらに一段階前の過去に由来する。「世界」とは、そういう物だ。しかし、レナードは常に現在を忘れてしまうので、己の筆跡でメモを取ることで「世界」を認識している。
 記憶(メモリー)と記録(リコード)とは、本質的に違うという真理は、脳の損傷のあるなしにかかわらず、全ての人間に共通だ。レナードの信条は、主観に影響される「記憶」ではなく、揺るぎない事実である(はずの)「記録」の積み重ねによって真実を突き止めるという物だ。だから彼は、主観や一時的に抱いた感情に左右されず、事実(ファクツ)を整理して、そこから結論を導き出そうとする。
 私が特に印象深かったのは、事件の後に彼が知り合った人間を撮った写真が、二枚並ぶシーンだ(彼は新しく知り合った人の顔も名前も忘れてしまうので、その場で写真を撮って名前をメモしている)。両方の写真に、「こいつを信じるな」と書いてあるが、レナードはある時点で、その片方のメモに線を引いて消してしまう。
「えっ? そっちを消しちゃうの?」と、思わず身を乗り出してしまった。

 そしてついに、「現在の状況」を招いた発端と経緯が明らかになる。映画を見ている私は、
「そうかっ。そういうことだったんだ!」と納得するが、レナードはそれを忘れている。しかも、彼は単に忘れたのではなく、彼自身が生きる意味を持ち続けるための、「意図的な忘却」がそこに存在していた。
 この、「意図的な忘却」が、私は最も面白かった。レナードは脳の損傷ゆえに「意図的な忘却」を己の意志で選ぶが、脳に損傷のない者は逆に、無意識に「意図的な忘却」をしていることがあるはずだ。
 どこまでが真実で、どこからがウソなのか、彼は覚えていないし、観ている私にも断定はできない。そういう面白さに満ちている。


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