「・・・・わたしも何百組という夫婦を見てきている。ひどい背信をとりつくろったのも見たし、・・・・殺人のような犯罪まで夫または妻が許しをあたえた例を見てきている。不治の病、盲目、不幸―こういうものはみな乗り切れる。ところが、夫婦の共通した人情というものがどちらかのなかで死んでしまった場合、これはどうにもならない。わたしはこんなことを考えて、人間関係のこの基本的条件にちょっと大げさな名前を発明した。慰藉の量の法則と呼んでいるがね」
(「ナッソーの夜」007/薔薇と拳銃 イアン・フレミング 井上一夫訳 創元推理文庫 1964年)
(「ナッソーの夜」007/薔薇と拳銃 イアン・フレミング 井上一夫訳 創元推理文庫 1964年)