今日の社内連絡(ブログver)

sundayとかオリジナルテンポとかの作・演出家ウォーリー木下のつれづれなるままのもろもろ。

夏を閉じる

2005-08-31 | Weblog
洗濯物を取り込もうと思ったら、ベランダで蝉が死んでいた。
近付いて拾おうとしたら、そいつはまだ生きていた。
ひっくり返ったまま、足をじりじりと動かし、何かをつかもうとしていた。
僕はその哀れな姿をじっと眺めていた。
そいつは自力で起き上がることもできずに、ただじたばたと足をかき回すだけだ。
羽根も動かない。何も考えられない。ゆっくりと死に近づいていた。
このまま僕は目の前でそいつが死ぬのを見取ることになりそうだった。
蝉の臨終にたちあう。なんて夏の終わりに相応しい出来事だろうと思った。
僕はそいつをひっくり返して遊んだりした。
もしかしたら飛ぶんじゃないかと思ったのだ。でももちろん飛ぶわけはなく、ゆっくりとベランダのはじっこまで歩を進めただけだった。もう息耐える寸前だ。
僕はぼんやり眺めていた。
その時、ベランダの端からその蝉は落っこちた。
一瞬の出来事だった。
僕はベランダから顔を出して、下の道路を見た。
けどそこには蝉なんていなかった。
あいつはどこにいっちまったんだろう。