La Terrasse

カフェ文化、パブリックライフ研究家 飯田美樹のブログ。著書に『カフェから時代は創られる』

人をやる気にさせる秘訣とは

2021-01-25 16:56:16 | 英文記事読解
 
釣りをするとき、自分がイチゴが好きだからといってそれを魚の餌にする人はまずいません。それなのに、なぜ人間を相手にするとその原則を忘れてしまうのでしょうか。人はいつだって自分のことで頭が一杯で、他人の話になんて興味をもっていないのです。だからこそ、人に影響を与えるたったひとつの方法は、その人が欲しいものについて語り、それが手に入る方法を教えることなのです。人を説得する立場にある人は、人の心に火をつけることが何よりも重要です。それができる人は世界を手にすることができ、できない人は孤独の道を歩むことになるでしょう。
 
アメリカで大成功した人の代名詞、鉄鋼王カーネギーは、もともとは貧しい若者でした。しかし、彼は人生の早い時期に、人を動かす唯一の方法は、他人が欲しいものの観点からものを語ることだと学んだのです。「どうすれば彼はそれをやりたい気持ちになるのか?」を考えて行動することが非常に重要です。
 
自分に不利なことを突然要求された時も、感情にまかせて怒ってはいけません。それでは破綻するのが目に見えています。一度相手の立場に立ち、なぜ相手がそんな要求をするのか考えてみましょう。ヘンリー・フォードは自分の成功は「他人の観点からものを見る能力、そして物事を相手の観点と自分の観点の両方から見ること」だと述べています。毎日何千人もの営業マンが売れないといって嘆いているのは、彼らが自分の売りたいもののことだけを考えているからです。人は何も買いたいなんて思っていないのです。欲しければ自分で店にいくでしょう。けれども誰しもが自分自身の悩み、問題を解決することにずっと興味をもっています。その商品がいかにその悩みを解決するかに役立つか伝えることができたなら、それを売りつける必要などありません。人は自らその商品を選んで買うからです。
 
こうした視点は子育てにも役立ちます。偏食で痩せていた子供に親が何を言っても効果はありませんでした。そこで両親はどうすれば息子のしたいことと、自分たちの望みを結び付けられるか考えました。その子は毎日、自分の三輪車をいじめっこに乗っ取られて泣いていました。彼のくやしさといったらありません。そんな彼に父は言いました。「お母さんが食べなさいといったものを全部食べれば、身体も大きくなって、あいつをギャフンと言わせることができるんだ」と。それから彼の偏食はピタリとなおり、全てのものを食べるようになったのです。このように、相手のプライドをくすぐり、心に火をつけること。そしてそのための方法が、あたかも相手が自分で選び、考えたもののように感じさせること。「人の心に火をつけることができる人は、世界を手にすることができる。そうでない者は孤独の道を歩むことになるだろう。」
 
名著カーネギー"How to win friends and influence people"Chapter3の要約でした。
カーネギーの『道は開ける』と『人を動かす』原文読解は引き続きWorld News Caféにて開催します。

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