「熱闘」のあとでひといき

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大学選手権セカンドステージ第3戦(2012.12.23)の感想

2012-12-26 02:00:31 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
大学選手権のセカンドステージが終わった。今シーズンから試合方式が変わり、関東リーグ戦グループから参加した5チームはそれぞれ3試合ずつ試合を行うことができた。地盤沈下が囁かれるグループを応援している身には、なんだか各チームが「追試」を受けさせられているような感覚でもあったのだが、何とか全チーム勝利で終わってよかったと思う。ついでに言えば、リーグ戦5位の日大が頑張って最下位にならなかったことも幸いだった。なにせ、「最下位として認定されたリーグのチームは、翌年度ファーストステージから参加する」という、とても重い条文があるので。

しかし、この「罰ゲーム」みたいな制度は、考えてみるまでもなく恐ろしいシステムと言える。当該リーグが第1ステージの開幕までに全試合を終えるという過密スケジュールを強いられることがひとつ。また、その他の選手権出場4チームは第2ステージが始まるまでに何をすればいいのか?ということにもなる。通常ならチームの仕上げの最終段階に肝心な公式戦がなくなってしまうわけだが、それが前年度5位チームの選手権での不成績で決まってしまうわけだ。これだと当該チームは後ろめたさを感じながらレギュラーシーズンを過ごすことになってしまわないだろうか。

もっとも、ファーストステージから大学選手権に参加できることになったチームの所属リーグにだって日程面他のしわ寄せはあるはずだ。ごくごく一握りのエリートチームには歓迎されうるシステムが、実は大学ラグビー全体にとって歓迎すべきものなのだろうか?という疑問を抱かざるを得ない。関東リーグ戦グループ目線(とくに今期)だと1位から5位までのチームが満遍なく3試合できるのは確かに意義がある。でも、優勝争いを最優先としたいチームとしては、できるだけいい状態で一気にファイナルまで行きたいはず。「大学ラグビーの常識」が他の大学スポーツにとって非常識とは見られていないだろうか?

◆東海大vs明治大

関東リーグ戦グループの関係者にとって、残る最後の希望の星となった東海大が見事に期待に応えてくれた。やっぱり、最低でも1チームは年越しをして欲しいし、リーグの覇者が簡単に沈んでもらっては困る。直前の第2戦(日大戦)での失点の多さなど、気になる点がいろいろあった東海大だが、持ち前のFWの強さを活かした戦いができていたように感じられた。東海大FWの持ち味は大学最重量の8人でありながら、不思議と「重さ」は感じさせないところ。FWで行き過ぎず、テンポを落とさない状態のいい形でBKに展開して取るのが理想的だし、そんなラグビーができたらいい結果に結びつくように思う。ようやくFWとBKのコンビネーションに磨きがかかってきたといったところだろうか。セミファイナルの相手となる筑波は攻守ともバランスが取れた難敵だが、自分たちの目指すスタイルで攻め続けて欲しい。

◆流経大vs天理大

流経大の早稲田戦での敗戦ははっきり言ってショックだった。それは勝てなかったことではなく、相手を意識しすぎたのか、相変わらずよそ行きラグビーになっていたように感じられたこと。とくに前半の前半はまるで別のチームを観ているかのようだった。そのショックを引きずっていなければいいがと思っていたが、杞憂だったようだ。戦力ダウンはあったにせよ、関西1位チームに負けなかったことは大きい。と同時に、チームとして2つのオプションを並立させることの難しさを感じずにはいられない。とくに今シーズンはFWのメンバーが殆ど入れ替わるなど、チーム再構築の年だっただけにそう思う。今となっては遅いが、「SOのオペティ」はあと1年早く発見されて欲しかった。もっともその頃は優れたスキッパーの宮脇が居たからそんな巡り合わせもなかったわけだが。毎年この時期になると思うことだが、来シーズンこそは盤石のチームを作って欲しい。今後が楽しみな選手が多いだけに、よけいにそう思ってしまうのだ。早稲田との戦いについては別途感じたことを綴ってみたい。

◆拓殖大vs福岡工大

この試合は過去2戦とはうって変わって拓大が爆発してくれるはずという期待があった。果たして、得点を見ると期待以上の結果。だが、録画放送で闘いぶりを観て、ちょっと歯がゆい感じもした。福岡工大の頑張りもあったが、攻守ともにやや生彩を欠いていたようにも見えたのだ。連戦の疲れもあっただろうし、チームの柱パトリックが負傷で交代を余儀なくされたことも響いたと思う。岩谷がSOのまわり、SHは昨シーズンのレギュラー江頭が務めることになったが、パスのタイミングとコースが合わずにチャンスを逃した場面が多かった。あとひとつ感じたことは、攻撃のテンポがほぼ一定で相手に止めやすい形になっていたこと。今シーズンはチームとしての意識統一と個々の身体を張った頑張りでここまで来た拓大だが、大勝の中にも課題が見えたのがこの試合だと思う。来シーズンもおそらく地道な積み上げで勝負の拓大だが、コンビネーションに磨きをかけ、メリハリをつけたスタイルに進化を遂げて欲しい。同じ日に同じ場所で戦った日大のラグビーを観てそんな思いを強くした。

◆法政大vs慶應大

法政が最後にしてようやくだが(今シーズンとしては)会心の戦いができたのではないだろうか。と同時にどうして春シーズンの段階でここまで仕上げられなかったのかという疑問も湧いてくる。そのチャンスは十分あったはずなのだが、謎のスタメン、謎の選手交代で何度もリセットしてしまっていたように感じられたのが残念。キャプテンが対戦相手の監督に熱心に教えを乞うていたと思しき場面に妙に納得させられてしまうのだ。それはさておき、多少組織はガタガタでも、前に出る気持で意思統一が図られたときの法政は最高に輝いて見える。たぶん、対戦相手の慶應としても、こんな(スクランブル気味の)法政はもっともやりにくい相手になっていたはず。とにかく法政にはテンポ良くスピードに乗ったランニングラグビーを思い出してもらわないと、リーグ戦Gの発展はないのだ。そのことを肝に銘じて、来シーズンこそは真の復活を果たして欲しいところだ。

◆日本大vs近畿大

近大附属高校のジャージは日大とそっくり、というような話はさておき、1年生を多く含みながらも日大はいい形でチームを仕上げることができたのではないだろうか。おそらく、3試合やれるチャンスを最大限に活かすことができたチーム。拓大の一本調子に近いラグビーと比較すると、深めのラインを活かしたタメのある攻めがとても魅力的だった。キープレーヤーは残念ながら今シーズンで卒業の小川だが、もう一人上げるとNo.8にコンバート?されたマイケル。ようやく彼の絶好の働き場所が見つかったようだ。マイケルの強みはもちろんサイズを活かした突破力だが、むしろ大きな壁として相手に立ちはだかるディフェンスでの貢献度が大きいような気がする。アタックではちょっと物足りない部分が多かったのだが、神出鬼没のリベロのような形で自然にライン参加ができるNo.8というポジションがフィットしているような気がする。だから、FLに回った高橋の存在が大きい。案外、小川と同じで将来的にはマイケルはNo.8でという構想があったのかも知れない。リーグ最終戦の法政戦では今シーズン最悪の日大を観たわけだが、3試合を有効活用して最高の日大で終わってくれたのが嬉しい。他のチーム以上に来シーズンの飛躍を期待したい。

◆最後のつぶやき

対抗戦G優位がはっきりしたセカンドステージだが、天理だけでなく、立命館や近大も侮り難い力を持っていることがよく分かった。両チームが関東で揉まれたらさらに強力なチームになるはず。現行の大学選手権のシステムが続く限りは(続かなくても)、関東リーグ戦グループ校は心して精進に励まなければならないと強く感じた。
コメント (1)
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