ベルギーの総選挙は13日の午後1時(日本時間午後8時)に投票を締
め切り、開票作業に入っている。
同国の選挙制度は基本的に比例代表制。
単独で過半数をとる政党はなく、複数の政党による連立政権がこれま
で一般的。全国政党はほぼ存在しないという。
昨今の金融危機で政権交代が各国で起こっているのだが、ベルギーの
場合、次期政権が事実上できるには数カ月かかるとみられる。
当面はルテルム現首相が率いる現内閣が継続するが、新たな政策は
ほとんど決められず、EU運営の足を引っ張る恐れがあるという。
実はベルギーの財政赤字は意外に高い。
私は以前のブログでも掲載したが、もしかするとユーロ導入国の中で、
PIIGS諸国の次に問題が起こりそうな筆頭国だと考える。
1人当たりのGDPは世界最高クラスであるが、オランダ同様小国で
あるため貿易(輸出)への依存傾向が強く、とても経済が安定している
とまでは言えない。
ちなみに隣国オランダの輸出の割合はGDP比で7割を超えている。
ベルギーも同じようなものだ。
08年後期に起こった世界的金融危機で、ベルギーの輸出は大幅に
後退した。GDP成長率をみても06年、07年は2.8%。
08には0.8%に大きく下落した。
そして09年はマイナス3.01%まで墜ちた。
失業率も今年4月時点で8.2%と、この1年間で8%台が続いてい
る。
そんな中多くの工場を抱える同国ではあるが、今年1月に米GMが、
子会社のドイツ自動車大手オペルの経営再建を加速させていくため、
北部フランダース地域にあるアントワープ工場を2010年内に閉鎖
すると発表したのだ。
これにより同工場に勤務する2600人が、失業の危機にさらされて
しまうことになった。
下請けといった関連会社も甚大な被害を受けることになる。
ベルギーの人口から考えても、この数字は大きい。
一家で4~5人の家族を持つ生活が今後心配される。
ユーロの価値が下落していき、欧州全体の消費不況が一層収縮して
いく中、輸出に大きく頼ってきたベルギーやオランダの経済は、これか
らもますます深刻化していくに違いない。
★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者