こんばんは。 人事コンサルタント・社会保険労務士 内野光明です。
厚生労働省は、9月12日、
「平成26年版労働経済の分析」(通称「労働経済白書」)
を公表しました。
「労働経済白書」は、雇用、賃金、労働時間、
勤労者家計などの現状や課題について、
統計データを活用して経済学的に分析する報告書で、
今回で66回目になります。
平成26年版は「人材力の最大発揮に向けて」を
テーマとし、企業における人材マネジメントや労働者の
職業生涯を通じたキャリア形成に着目した分析を行いました。
(1)労働経済の推移と特徴
景気回復過程における雇用、賃金の現状について分析
■完全失業率は 2014年1~3月期には 3.6%となり、
有効求人倍率も2013年11月に6年1か月ぶり
に 1倍を超え、2014年1~3月期には1.05倍となるなど、
雇用情勢は着実に改善しており、人手不足感が高まっています。
なお、2014年7月の有効求人倍率は 1.10倍と 6月に続き 22年ぶりの
水準となっています。
■過去の景気回復期と比較して、今回は、
所定外労働時間だけでなく、就業者数が増加したことが大きな特徴です。
その内訳をみると、非正規雇用労働者が大きく増加する一方で、
正規雇用労働者は減少しました。
■2014年の春季労使交渉では、景気回復に伴い企業収益・雇用情勢の改善がみられたこともあっ
て、多くの企業でベースアップを含めた賃上げの回答が行われました。
■経済の好循環の実現に向け、企業収益の拡大を持続的な賃金上昇につなげていくために、労
働生産性を高めていくことが重要です。
(2)企業における人材マネジメントの動向と課題
企業を成長させる人材マネジメントについて分析
■グローバル化や ITを始めとする技術革新の進展、
経営の不確実性の増大など、企業を取り巻く競争環境が
変化する中、正規雇用労働者のみならず、パート・アルバイト、
契約社員など様々な雇用形態で働く労働者が増加しています。
■就労意欲を引き出し、競争力を高めることが企業に
求められています。労働者の就労意欲が高いと考えている企業では、
労働者の定着率が高くなるとともに、労働生産性や
売上高経常利益率も高い傾向にあります。
■このような企業では、就労意欲が低いと考えている企業
と比べ、雇用形態にかかわらず、積極的な雇用管理に取り組んでいます。
■多様な労働者に対して積極的な雇用管理を行い、
就労意欲を引き出す人材マネジメントが、
企業を成長させるとともに、我が国の経済成長を高めていきます。
(3)職業生涯を通じたキャリア形成
我が国の職業キャリア形成について分析
■我が国における職業キャリアの現状をみると、
男性では初職から離職せずに就業し続ける割合が高いが、
女性では男性に比べその割合は低くなっています。
■一方、職業生涯の中で転職を繰り返す者が一定割合存在し、
高所得者層では積極的に転職を行っている層がみられます。
■非正規雇用から正規雇用への移行においては、年齢が若い
ほど正規雇用への移行可能性が高くなっています。
■持続的な職業キャリアを通じた人的資本の蓄積によって
職業能力を高めることが、人々の職業生活を安定させるとともに、
我が国の経済社会の基盤を強固にしていきます。
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workup人事コンサルティング
社会保険労務士 内野 光明
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