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在職老齢年金見直し案を提示/厚労省

2024-12-02 13:08:40 | 高年齢者雇用



こんにちは。 社会保険労務士法人workupです。

厚生労働省は、
一定以上の賃金を得ている65歳以上の就労者の老齢厚生年金を支給停止する在職老齢年金制度について、
支給停止基準額(支給停止が始まる賃金と年金の合計額の基準)の引上げなどの見直し案を
社会保障審議会年金部会に11月25日に提示しました。
具体的には制度自体の撤廃のほか、
支給停止基準額を現在の50万円から71万円または62万円へ引き上げる案を示しています。
高年齢者が同制度を意識して就業時間を調整しているケースがあることから、
見直しによって、就業抑制を招かない仕組みをめざしています。

同制度は、現役世代の保険料負担が重くなるなかで、
報酬がある者は年金制度を支える側に回ってもらうという考え方に基づく仕組みです。
賞与込みの賃金月額と老齢厚生年金月額の合計が基準額を超える場合、
超えた部分の半額の厚年給付を支給停止されます。
基準額は、現役男性被保険者の平均月収を基に設定されており、
賃金変動に応じて毎年度改定してます。

令和6年度の基準額は50万円で、
停止対象者数は在職中の受給権者の16%に当たる約50万人、
停止総額は約4500億円に達するとのことです。

同制度については就業意欲を阻害するといった問題が指摘されていました。
内閣府の調査によると、
60歳代後半の高年齢者の3割が「年金額が減らないよう時間を調整しながら働く」と回答しています。
厚労省が業界団体に行ったヒアリングでも、
スーパーマーケット業界から
「地方の中小企業で就労抑制が増え始めている。人材確保が課題の中小企業には死活問題」
との声が挙がっています。

これらを踏まえて厚労省は、制度撤廃案や基準額引上げ案を提示しました。

基準額の引上げ案では、71万円と62万円の2つの案を示しています。
71万円案は、
同一企業における勤続25年以上の労働者が現役期に近い働き方を続けた場合の賃金(61.7万円)と、
25年以上の厚年加入期間に基づく年金収入(9.7万円)を得ても支給停止にならない水準とするものです。
この場合、停止対象者は約23万人、停止総額は約1600億円に減るため、
新たに2900億円の財源が必要になります。

62万円案は、
平均的な収入を得る50歳代の労働者が、60歳代で賃金月額の低下なく働き続けた場合の賃金(52万円)と、
25年以上の加入期間に基づく年金を得ても停止されない水準とするものです。
停止対象者は約30万人で、停止額は約2900億円となります。
新たに20万人が満額受給できるようになり、追加で1600億円の財源が必要になります。

制度を見直した場合、将来世代の給付水準は低下する見込みとなっています。
制度撤廃なら所得代替率が0.5%減、71万円案で0.3%減、62万円案で0.2%減となります。

在職老齢年金について

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