ヲノサトル責任編集・渋東ジャーナル 改

音楽家 ヲノサトル のブログ

『イングロリアス・バスターズ』

2009年11月30日 | 映画/映像

イングロリアス・バスターズ


夏前から待ちに待ったタランティーノ新作、ついに行ってきました!

複数の筋が交錯して怒濤のクライマックスになだれ込むストーリーテリングの巧みさ、照明や撮影のセンスの良さ、既成曲の「こう使うか!」的な当てはめ方。そしてお約束の血みどろ悪趣味も、本筋と関係ないウンチクの挿入も健在だが、それらを映画として統合する「術」の洗練っぷりはこれまでで最高。

「戦争映画」というフレームを使って作られた、これは実にクラシックな西部劇だ。冒頭の音楽(『遥かなるアラモ』!)やヒロインが"出陣"する前の化粧シーン(頬紅がネイティヴ・アメリカンのフェイスペインティングを思わせる)など、随所にそのことをわからせる記号が盛り込まれている。

ブラッド・ピット演じる主人公(インディアンの血をひいてる設定)の首に傷跡があるのがやたら目立つが、映画の中では何の説明もないけれど、これはクリント・イーストウッド主演の西部劇映画『奴らを高く吊るせ』(1967) へのオマージュだと思う。(未見の方はこの予告篇で確認を。)

そしてもちろん、タランティーノ映画が常にそうであるように「"映画"についての映画」。直接的には、映画館を舞台にナチスを殲滅させる「オペレーション・キノ(映画館作戦)」が物語の主題になっている。ドイツ映画のうんちくもたくさん出てくる。レニ・リーフェンシュタールの山岳映画とか…(渋い!)



既にウェブ上にも大量のレビューが溢れているこの映画についてこれ以上、ここで書く必要もなさそうだが、ひとつだけ触れておきたいのが「酒」の扱い方。

前作『デス・プルーフ』でも前半のバーのシーンが印象的だったけど、今回は一段とたシャレた酒描写があちこちにみられる。

独軍に化けてフランスに潜入する英軍兵(従軍前は映画評論家!ドイツ映画の知識を見込まれて作戦に参加)。チャーチルがいる上官の執務室に呼び入れられ、飲み物を勧められて、迷わず「ウィスキーとプレーン・ウォーターを」と答える(もちろん氷など入れない)。酒呑みたるもの、こうこなくては!

そしてこの兵士、中盤の行き詰まるバーでのシーンでは、ナチの将校が勧める年代物のスコッチウィスキーを飲む。そのせいで変装を見抜かれてしまうのだが(詳細はバラさないでおくが)ナチと銃を突きつけ合って「生きてここを出ることはできんぞ」と脅され、にっちもさっちも行かなくなったところで、それまで偽装していたドイツ語から英語に戻り「最後にこれだけは言っておこう。確かにこの酒は美味い」と呟く。かっこいい。酒呑みたるもの、こうこなくては!

他にもビール、シュナップス、ワイン、シャンパン…と飲酒の場面が多いこの映画、観に行く時はワインかウィスキーをご持参なさることを強くお勧めします。酒呑みの方には。



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