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[映画] 少女は自転車にのって

2014年01月22日 | 映画/映像
『少女は自転車にのって』
(2012年 ハイファ・アル=マンスール監督)




映画の舞台はサウジアラビア。ちょっと前にドバイを訪れた時、現地のガイドさんからイスラム社会の様々な風習について伺っていただけに、たいへん興味深く観ることができた。

 + + +

この国では女は、家族以外の男と接触してはならない。「外で顔は見せるな」「男に姿を見られるな」「大声を出すな」「歌うな」と、二言めには戒律を持ち出す母親や学校。主人公の少女はそれが嫌でたまらない。

母は、いつも父の意向を気にして「パパはどう思うかしら」と、彼の好みに合わせる事ばかり考えている。だがその父は既に次の女性へと心離れしつつあり、家にほとんど寄りつかない。

街には女性の姿が見当たらない。外出する時は目以外の全身を黒布で覆い隠し、よその男に見られないようにそそくさと送迎の車に乗り込まなければならないからだ。

その車を運転するのは男。男がいなければ、女は仕事に出かける事すらできない。それに比べて男たちは、工事現場でも商店でも政治集会でも生き生きと働き、軽口を叩いている。

子供の世界も、男の子はみんな自転車で自由に走り回っている。だが自転車の女の子などどこにもいない。

主人公の少女は、いつも自転車でからかってくる幼なじみの少年を、自分も自転車に乗って負かしたくてたまらない。しかし自転車はとても高価だ。母に頼んでも「女のくせに自転車だって?冗談じゃない」と、まともに取り合ってはくれない。

そんな時、学校でコーラン暗唱大会が開かれるという。高額の賞金つきだ。

これだ!とひらめいた彼女は、自転車を買うために、今までの反抗的な態度を一変させて宗教クラブに入部。優勝めざして暗唱に打ち込み始める。果たして結果は……?

という、ちょっとしたスポーツ根性ドラマ的な展開。

印象的な場面がある。

内心では少女の事を好きな少年が、自分の自転車を貸してくれる場面だ。自転車に補助輪がつけられているのを見て少女は激怒し、泣き出す。少年は「初めてだし、乗れないだろ?」と、なぜ彼女がそんなに怒るのかわからない。

彼女にとって自転車は「自由」そのものなんだ。自転車に乗るのは単なる移動ではない。かごの中の鳥が空にはばたくように、自分を解放する行為にほかならない。補助?庇護?そんなものいらない! 少女の心の叫びが伝わってくる場面だ。

さて彼女は、念願の自転車を手に入れることができるだろうか……

 + + +

まだ観ていない方のために、結末は書かないけれども。

ラストシーンの疾走感と爽やかさに、にっこりしながら映画館を出た事を報告しておこう。なによりも、少女と少年のみずみずしい表情が素敵な映画だ。

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