チームはなぜ7人必要か。
もしぼくが何らかの理由で、金庫破りとか現金強奪とか人質奪還といった作戦行動をとらなければならないハメに追いこまれたなら、手始めに6人のプロフェッショナルを集めるつもりだ。
なぜって? だって映画の中では、無敵のチームというものは常に、必ず、「7人」と決められているからだ!
最新映画で言えば、こちらのヒーロー大集合ドリームチーム。
アベンジャーズ(2012)

とはいえ、映画史の中で最高の7人組と言えば間違いなく、この連中だろう。
七人の侍(1954)

内田樹さんは"『七人の侍』の組織論"という文章の中で、「リーダー」勘兵衛(志村喬)「サブリーダー」五郎兵衛(稲葉義男)「イエスマン」七郎次(加東大介)「斬り込み隊長」久藏(宮口精二)「トリックスター」菊千代(三船敏郎)「苦しい時には重宝な男」林田平八(千秋実)「生き残り、伝説を語り継ぐ者」岡本勝四郎(木村功)と見事に7人のキャラクターを分析し、この7人を「考えられる限り最小の数で構成された『高機能集団』」と評している。的確な表現と言わざるをえない。
で、この映画の、音楽で言えば「カバー・バージョン」にあたる作品がこちら。
荒野の7人(1960)

ハリウッドでリメイクされたこちら、ストーリー的には「7人の侍」を踏襲しているものの、ハリー(ブラッド・デクスター)やリー(ロバート・ヴォーン)といった今ひとつキャラの弱いメンバーも在籍するため「考えられる限り最小の数で構成された『高機能集団』」までは至っておらず。
続篇がこちら。
続・荒野の7人(1966)

リーダーのクリス(ユル・ブリンナー)以外メンバー総入れ替えで、残念ながら正直、ほとんど印象に残らない作品でした(笑)
さて、これら東西「7人映画」にヒントを得たというか、流行りに乗ったとしか思えないタイミングで作られたのがこちらのイタリア映画。
黄金の7人(1965)

「教授」と呼ばれるリーダーのもと、奇想天外な作戦で銀行強盗を企む7人組の話だが、教授の情婦(ロッサナ・ポデスタ)の艶やかな悪女っぷり以外、メンバーの性格描写はどーでもいいような、これはB級コメディなのでした。
お次は戦争映画。7人でナチス・ドイツに闘いを挑むのがこちらの作品。
暁の7人(1975)

ナチス高官暗殺計画という史実に基づく映画らしく、メンバーの末路は哀れなものでしたが…
闘う7人、こんな映画も。
地獄の7人(1983)

ベトナム戦争で敵地に残された息子を救うため、7人の私設軍隊を編成して闘う大佐の話。…ってどこかで聞いたような。「ランボー/怒りの脱出」を始め、この手の映画では実にありきたりなプロットだが。やはり7人チームというところが大事!
エクスペンダブルズ(2010)

私設軍隊と言えば、今のところ「最強無敵」なのがこちら。スタローン、ブルース・ウィリス、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ジェイソン・ステイサム…チョイ役でシュワルツェネッガー…とまあ、よくもこれだけの漢(おとこ)を集めたものですな。ポスターは大勢いますが、傭兵部隊「エクスペンダブルズ」のメンバーは、マネージャー(ミッキー・ローク)を含めてちゃんと7人。
他にも「7人」映画、まだまだありますぜ。
汚れた7人(1983)

未見。リチャード・スターク『悪党パーカー』シリーズが原作ということなので、いわゆるハードボイルド犯罪映画と想像がつきますが。個人的にはツラがまえが大好きな漢の中の漢=アーネスト・ボーグナインが出演しているので、いつか観てみたい。
宇宙の7人(1980)

ポスターを見ただけで悪い予感がしたアナタは正しい。「スター・ウォーズ」の大ヒットに乗り遅れまいと、あのロジャー・コーマンが製作総指揮したB級スペースオペラ。『七人の侍』における「村」を「どこかの惑星」に、「野武士」を「悪の宇宙人」に、単に置き換えただけという安易な設定が逆にすがすがしい。ていうかポスター見てもおわかりの通り、チームメイトは人間だけじゃないし。「7人」っていうか「7宇宙人」だし。
どんどん、わからなくなってきました。
死霊の7人(1971)

未見。どうせ誰も観ないだろうから結末まで書いておくと、7人の旅人が山の中で城に迷いこみ、悪霊によって次々殺されていく…そして最後まで残った主人公も殺されて終わり。という話らしいです。…ひどい。
ドラゴン VS 7人の吸血鬼(1974)

ホラー映画で一世を風靡したハマー・フィルムと、東洋のハリウッドとまで称された香港のショウ・ブラザーズがタッグを組んだら、こんなにも残念なことになってしまったという例。ドラキュラの好敵手ヴァン・ヘルシング教授が中国に渡り、カンフーの達人と組んで吸血鬼退治に向かう…というプロットを聞いただけで頭痛がしてきます。
ウォーリアーズ(1979)

ストリート・ギャング少年チーム「ウォーリアーズ」が罠にハメられてNYじゅうのチームに狙われるハメに陥る…という話。
ウォーリアーズのメンバーは9人だけど、ポスターは7人。
レザボア・ドッグス(1992)

いわずと知れた、クエンティン・タランティーノ監督の出世作。それぞれ色の名前で呼び合う6人組の銀行強盗が主役だけど、彼らが歩き出すあの有名なオープニング・シーンは7人なので、ついでに載せてみました。
ところで7人の映画、日本にもありますぞ。
7人のおたく(1992)

この手の「7人チーム映画」自体をパロディにしたような日本映画。ミリタリー、格闘技、フィギュア、アイドル、無線、Mac、レジャーという7分野のおたくが集まり、それぞれの得意技を駆使して、母親から引き離された赤ん坊を救出するというお話。
ドラえもん のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~(2007)

そういえば本作に限らず、このシリーズのレギュラーチームはドラエもん・ドラミ・のび太・しずかちゃん・スネ夫・ジャイアン・出来杉…と、はやっぱり7人…か…!
男女7人夏物語(1986)

こんなのもありましたなー。6人だと男3女3でカップルになってめでたしめでたし…だから物語が進展しないわけですね。だから奇数の7人、という設定か。
テレビ番組といえば、刑事モノで群像劇になると「7人」これまた多い。その手の元祖がこれ。
7人の刑事(1961-69)

まだまだあります。
東京警備指令 ザ・ガードマン(1965-71)

太陽にほえろ(1972-87)

Gメン75(1975-82)

大都会 - 闘いの日々(1976)

特捜最前線(1977-87)

日本の警察、見事に7人でチーム組んでらっしゃいます。
そして7人と言えばやはり…
ワイルド7(2011)

これ、原作ファンとしてはキャスティングに違和感がありすぎ、結局観てないのですが…。
ちなみにこちらは旧テレビシリーズ。
ワイルド7(1972-73)

服装的には原作に忠実です。やぼったいけど…
というわけで、これだけのポスターなどを閲覧した結論としては
「整列した時に見ばえが良い」
リーダーを中心に、やや後方の右3人左3人という配置。これが偶数ではセンターがキマらない。3人や5人では少なすぎてカッコがつかない。映画の中でなぜか7人でチームを編成することが多いのは、これが一番の理由ではないでしょうか。
それだけかい!
ちなみに、2010年に明和電機が「理系のエクスペンダブルズ」を目指して作ったポスターがこれ。

惜しい。もう2人メンバーを増やしていたら、もっと強そうに見えただろうに!
言われてみるとそんな気もしますね!
七つ道具といい七福神といい、7ですもんね。
5人(ガッチャマン、東映戦隊シリーズ)
9人(サイボーグ009)
…と結構いろんな組み合わせがあるわけですが、それにしても7人組はズバ抜けて多いですよね。いずれにしてもチームは奇数、これが基本かと。
この秋公開の『エクスペンダブルズ2』に至っては11人に増えていますが…これまた奇数、そして主役がセンターのシンメトリカルな構図! 律儀にお約束通りです。
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