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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

なぜ勉強するか

2019年12月06日 | 学年だよりなど
2学年だより「なぜ勉強するか」


 期末試験おつかれさまでした。明日のGTEC、週明けからの冬期講習もがんばっていこう!
 現代文の試験範囲「動的平衡」の著者である福岡伸一先生は、青山学院大学で生物学を講じられている。学生から「なぜ勉強しないといけないですか?」と尋ねられることが時々あるという。
 たしかに大学での講義では、社会に出て直接役に立つような中身は、ほとんど教えられていない。 学生たちは、決してさぼりたいからではなく、真剣に疑問に思って質問に来るようだ。
 そんなとき福岡先生は、「それは○○になるためだよ」と必ず答えることにしているそうだ。
 さて、「○○」には何が入るだろうか。
 「成績を上げるため」「難しい大学に入るため」といった答えが、皆さんならすぐ思い浮かぶだろう。「いい会社に入って安定した生活を得るため」ぐらいまで考えている人もいるかもしれない。
 「勉強そのものが楽しい」「教養を高めて成長したい」などと言えば、大人はより喜ぶだろう。
 そもそも、人はそんなに勉強しないといけないのだろうか。
 数十年後にはAIの能力が人間を追い越すという。難しい問題は、すべてAIが膨大なデータにもとづき答えをだしてくれるはずだ。
 しかし、AIの勉強と人間の勉強とは質が異なると福岡先生は述べる。


 ~ AIの「勉強」は知識を貯めるだけでしょ。その中で思考するのがAIの限界。人間の「勉強」は知識を貯めて、その中から最適解を選ぶことじゃない。むしろ人間の勉強は自分自身を壊すことに意味がある。当然だと感じてきたこと、あたりまえのルール、知っていると思ってきたこと、そういった一切の常識や既存の知識を壊し、自分自身を作り変えるために勉強が必要なのだ。生身のからだは1年も経てば、物質レベルでは、全くの“別人”になる。動的平衡が分解と合成を繰り返し、生命のあらゆる構成成分を入れ替えてしまうから。久しぶりに会った時の挨拶は「おかわりありませんね」ではなく「おかわりありまくりですね」が正しい。それと同時に、自分自身の精神も作り変えていく必要がある。なぜなら私たちの心はすぐに、右とか左とか上とか下とか、日本とか米国とか、ありとあらゆる既成の言葉に絡め取られてしまうから。そこから脱して、いつも新しい自分を作り出すことが人生で一番大切なことのはず。なので最初の○○にはこう入ります。勉強するのは、自由になるためだと。 (福岡伸一「パンタレイ・パンタグロス」週刊文春2019/11/28号) ~


 自分自身を変えたくない、今のままで問題はない、変わらなくても特に不自由を感じないという人は、勉強する必要はないのだ。そんな大人はたくさんいる。
 せっかく身体の分子ががんがん入れ替わってくれているのだから、精神もどんどん入れ替えていこうではないか。
コメント
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