空を見上げて

いつも空を見上げてる。
毎日毎日見上げてる。

思いがけないこと

2006-09-10 03:49:36 | ブログ

いつもブログを拝見している方が思いがけぬ事に遭われたという話を読んで思い出した

二十歳くらいの頃

一人暮らしがしたくて杉並にある木造のアパートにいた
1Kでお風呂無し
二階建てで4世帯

その頃のドアは内側のノブの真ん中に押すところがあり
そこを押してから外に出て閉めると鍵がかかる仕組み

ある晩、ゴミを出しに行って戻って来ると・・
ドアが開かない

無意識に内側のボタンを押してしまったらしい

当時は携帯電話などないし
(あっても携帯持ってゴミ出しには行かない)
公衆電話で誰かを呼ぼうにも10円玉も無い

深夜である

どうしようもなくボーゼンと立っていた

すると向こうから千鳥足の若者
私の隣の部屋へ入った

話したこともない隣の男性

意を決してドアをノック

斜めになりながら男性がドアを開けた

馬鹿なことと思いつつも私
「ドアが開かないんですけど
 お宅の鍵では開かないですよね」
(開いたら大変)

男性が鍵を持って来て試したが開かない
「やっぱり開きませんね」

窓は?と聞くので鍵を閉めてしまったと言うと
男性はサンダルをはいて窓の方へ

当時のアパートはまだサッシではなかった

窓の前で男性はサンダルをぬぎ小さなベランダへ乗った
そして何と鍵のかかった二枚のガラス戸を一枚の様にして
はずしてくれた
さすがに男性だと感心しきり

「今ドアを開けますよ」と中に入って行ったので
サンダルを持ってドアのところへ

中から開けてくれたのでサンダルを置くと
中に引き返して又窓へ行く

あわてて私も外から窓の方へ行くと
窓を乗り越えて外にでて来た
そして又はずした窓をはめ直していた

お礼を言ってる間に男性は自分の部屋へ帰った

ホッとしているとドアをノックする音が
隣の男性だった
手に焼き芋を持って差し出す

男性
「僕、山口県から出てきたばかりなんです。
 誰も知ってる人もいなくて・・
 さっき、僕を頼ってくれてすごく嬉しかった」

そう言って自分の部屋に戻った

その時は「ふ~ん」と思っただけだったが
今思うと心情がわかる気がする

大変なことになったと思ったが
思いがけずに助けられというお話

プレミアム10「渥美清の肖像」を見て

2006-09-06 03:09:58 | ブログ

NHKプレミアム10「渥美清の肖像」を見た
昨夜のことだがとても印象に残っている

昔の浅草は今では想像できない様なところだった

そこで若き渥美清がヨタモノみたいなことをしていた時
芝居小屋から幕引きでもしないかと誘われたという

それが俳優へのきっかけになるのだから人生はわからない
或いは運命の様なものだったのか

当時の浅草でヨタッていれば、若くても人生の裏側を見る
それは後の俳優人生にかなり影響していたはずだ

浅草のフランス座からは多くの実力ある喜劇俳優が出ている
それだけ厳しくもあり、人情もあり、力のつく舞台だったのだろう

渥美清は喜劇もやったが、悲しい映画もあった
切ない悲しさも素晴らしい演技だった
演技ではなかったのかもしれない、とさえ思える

「寅さん」は浅草の時代そのものだ

青春を、青年期を、浅草で身につけて
見事に見せてくれた

日本人なら嫌いな人はいないと思うほど
いい人で、どこか哀愁漂う「寅さん」

癌になった時、すぐ映画を中止し
一流の医師団にかかればまだ生きていただろう

最後の「寅さん」は痛々しかった
それでもやり抜いたのだから
本人は本望かもしれない

それならそれでいい
尊敬できる生き方だった