藤娘的 2

お出かけ記録を更新中。

仙台市戦災復興記念館

2008-11-21 | 仙台
 仙台市戦災復興記念館へ行ってきました。
 だいぶ前からここの存在は知っていたのですが、広島平和記念資料館のようなイメージがあり、軽々しく行っちゃいけない場所のように思っていてなかなか入る事が出来ずにいました。

 資料室には明治期から昭和60年代までの仙台市の移り変わりを写真パネル等で、特に戦時下の市民の生活の様子は防空壕の模型・配給切符や千人針等実物の展示でクローズアップされて展示されています。
 仙台の町並みが大きく変化したのは明治期に鉄道が出来たときと、やはり1945年7月10日の仙台空襲、復興事業のとき。

 母は東京から家族で疎開してきたものの家財が一切届かず「たけのこ生活って言っても交換するものが無かった」戦中戦後を体験していたり、祖父母の従軍体験(祖母は赤十字の看護婦長として従軍しています。)等をよく話してくれるので戦時下や終戦直後の展示は生々しく感じられ見ていてつらかったです。(それ以前時代の写真や地図なんかは「洋風建築だ♪」「小田原遊郭って、仙台にも遊郭ってあったの?」って感じで見ていただけに) 

写真は入口のタペストリー「フェニクス」(原画:宮城輝夫) 

ああしんど

2008-11-13 | 猫←実家+α
 青空文庫で公開されている文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 池田蕉園「ああしんど」

 よっぽど古いお話なんで御座いますよ。私の祖父の子供の時分に居りました、「三(さん)」という猫なんで御座います。三毛だったんで御座いますって。
 何でも、あの、その祖父の話に、おばあさんがお嫁に来る時に――祖父のお母さんなんで御座いましょうねえ――泉州堺から連れて来た猫なんで御座いますって。
 随分永く――家に十八年も居たんで御座いますよ。大きくなっておりましたそうです。もう、耳なんか、厚ぼったく、五分ぐらいになっていたそうで御座いますよ。もう年を老ってしまっておりましたから、まるで御隠居様のようになっていたんで御座いましょうね。
 冬、炬燵の上にまあるくなって、寐ていたんで御座いますって。
 そして、伸をしまして、にゅっと高くなって、
 「ああしんど」と言ったんだそうで御座いますよ。
 屹度、曾祖母さんは、炬燵へ煖って、眼鏡を懸けて、本でも見ていたんで御座いましょうね。
 で、吃驚致しまして、この猫は屹度化けると思ったんです。それから、捨てようと思いましたけれども、幾ら捨てても帰って来るんで御座いますって。でも大人しくて、何にも悪い事はあるんじゃありませんけれども、私の祖父は、「口を利くから、怖くって怖くって、仕方がなかった。」って言っておりましたよ。
 祖父は私共の知っておりました時分でも、猫は大嫌いなんで御座います。私共が所好で飼っておりましても、
「猫は化けるからな」と言ってるんで御座います。
 で、祖父は、猫をあんまり可愛がっちゃ、可けない可けないって言っておりましたけれど、その後の猫は化けるまで居た事は御座いません。

底本:「文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会」ちくま文庫、筑摩書房
   2007(平成19)年7月10日第1刷発行
底本の親本:「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂
   1911(明治44)年12月
初出:「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂
   1911(明治44)年12月
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2008年9月26日作成


 我が家の猫も猫又(9才)を過ぎた頃からいつ人間の言葉をしゃべりだすかと待っているのだけど、いまだしゃべっているところは家族の誰も見ていない(聞いていない)。
 いま17才だから、来年になったらしゃべるかな?

ところで作者の池田蕉園は画家の池田蕉園

瀬戸内寂聴展

2008-11-09 | 仙台
 仙台文学館に「作家生活50周年 源氏物語千年紀記念 瀬戸内寂聴展 ~生きることは愛すること~」を母と見に行ってきました。入場料ですが65歳以上は半額とのことで、母は免許証を見せて350円で入館。
 寂聴さんの現代物・時代物・伝記物は大好きでわりに読んでいるほうだと思うのですが、展覧会のタイトルに付いている源氏物語は寂聴さんの現代語訳を読んだきりで、他にも寂聴さんは源氏物語についてはたくさん書いているのですが、ほとんど読んだことがありません。それと仏教関係のものも。。。
 逆に母は、仏教関係のものと源氏物語関係のものが好きで、岩手県浄法寺町の天台寺に寂聴さんの法話を聴きに行った事もあったりと、同じ作家が作り出す世界でもそれぞれ好みが違ったりしています。

 展示室を入ってすぐ、京都の寂庵の書斎を再現したブースでは写真撮影が出来るのですが、母の様子を見ていたら、次回おばちゃん好みの展覧会で撮影可ブースを設けるときは作家の等身大写真パネルを用意するともっとおばちゃんたちに喜ばれると思いました。
 寂庵の門のレプリカをくぐり次の展示室へ。横尾忠則の「寂庵ポスター」がすごくかわいい♪横尾忠則らしさはあってクドさは無くて、ポスターの中央に使われている寂聴さんの写真がまたいい味出してる。
 それにしても法衣姿の寂聴さんって、サンリオキャラクターにいそうな可愛らしさ。チケット売り場横に展示してあった、専属カメラマン斉藤ユーリの食事をする寂聴さんの連作なんか、めちゃくちゃ可愛い。伝記小説の硬い雰囲気や現代物の恋愛小説の暗い雰囲気なんて感じさせない、余裕の有る人なんだなぁ。
 
 奥に進むと小説「おだやかな部屋」を書くきっかけとなった四谷シモンの「おだやかな部屋」が展示してあります。たしかに物語の最後、主人公が夢で"男"の部屋を訪れるとそこは人形師部屋だったという場面がありますが、このコルセットの少女と半そで短パンの少年の人形から既婚男性との恋愛小説物語を作り上げてゆく作家の感受性や物を作り出す能力を目の当たりにした感じがしました。
 それと、この小説の中には今回展示してある「私小説」の表紙にもなっている熊谷守一の裸婦の事ではないかと思われる絵の話も出てきます。 

 書簡の展示では平野啓一郎からの手紙のチョコレートのくだりとかラブレターみたいで素敵でした。(自分だったら小田仁二郎からの「aitai!aitai!aitai!」よりか、こっちのほうがもらいたいな)