【書評】全国見積事情(プロトリオス社出版)
今回は書評といっても、一般的な本というより、特定業社のアンケート集約報告書というべき体裁の書だ。出版は、予て自動車板金業界紙としてBSR(ボデーショップリポート)などの出版をして来たプロトリオス社が出版している税込み¥5500と結構高価とも感じる書だ。高価な理由は、販売数にあり、特定業社向けの少量出版だから割高になるということが想像できる。なお、出版社にはこういう云い方は失礼となるが、こんな内容で¥5500を取るのを、到底その価値を認められず、自らら購入することは考えられないが、たまたま知り合いの板金事業主より借りて見ることができた次第で、その中で感じたことを記録したい。


1.こういう集計行為を行うことの意義
業界団体相手にする出版社として、何かと全体が俯瞰しにくい中で、この様なアンケート集約を行うことの意義はあると思うところで、賛意は感じるところだ。ただし、その集約内容とかについて、あえて読者が望んでいたり、業界として現実を知らしめる意味での集計を意図的に避けているという偏向を感じてしまう。
この意図的な集計を避けているの具体例は、良い悪いではなく、板金工場の置かれた事業環境として、旧来から知られている形態として下請け体質と云うことがある。つまり、工場の工員別の分布を集計するだけでなく、ディーラーおよび中古車事業者、整備工場等の下請けとしての依存性とか、損保指定工場の依存性を示す集計が何故なされていないか。この前提を基本に据えて、各種分析が初めて意味を持ってくると思うところだ。
2.対応単価全国事情
そもそも私が知る現状として、損保と対応単価で個別協定しているのは、各国産車ディーラーおよび指定工場くらいだと認識している。輸入車については、対応単価では異なるが単価として事実上認めているは老舗Y社だけだろう。しかも、近年、国産ディーラーについて、トヨタおよびダイハツ以外のディーラーでは、明らかにトヨタ協定単価より高い対尾単価の要求を損保は受けており、このことは必ずしも金額協定ができていないことを証明しているだろう。つまり、各県で、トヨタダイハツ以外の多くのディーラーでの単価は、大雑把ではあるが1千円程度高い相場感で請求がなされており、それについて、損保側は必ずしも容認している訳ではない様だが、かなり歩み寄った個別事案の損害見積として金額協定を行っているのが現状だろう。プロト社はこのことを知らない訳もなく、あえてこの書面でそのことを避けて記さないのは、どういう理由だろう。
なお、輸入車についても、老舗輸入車ディーラーたるY社と、それ以外の輸入車ディーラーでは大きな乖離が生じているのが現実なのだが、何故そのことを隠すのかという思いで見てしまう。

3.対応単価イコールではないレバーレートということについて
この結論としては確かにその通りなのだが、どうもその説明が私の理解と異なるという思いで違和感を持つ。
つまり、この本では、対応単価はレバーレートの計算とは異なり、別の算法で算出されて、協定相手のディーラーとか指定工場と合意しているのだが、そもそもそれ以外の板金工場にとっては、意味ない話しだろう。ただし、ディーラーの下請け工場の立場としては、無視もできかねると云うところではないだろうか。
つまり、金額協定しているディーラーとか指定工場以外の板金工場にとっては、対応単価とレバーレートを別のこととして意識する意味は何処まであるのだろうか。このことは、実際問題として、一般の板金工場の対応単価にしてもレバーレートについて、必ずしも法的にディーラー工場単価が最上位に位置しなければならないことを示している訳でもなく、ディーラーより高いレバーレート単価を主張して認めている事例もあると承知している。
なお、レバーレートは自社の原価計算を行いその原価に世間一般として妥当となる利益を乗せて請求するのは自由だが、その商品を買うか買わないかは買い手の自由と云う資本主義の原則もあり、買い手の損保が車両の所有者の了解を求めた上の前提で、該当工場のサービス提供購入を断念し、別の工場での購入を促すという事態はあり得る。つまり、売り手は自由に価格決定権はあるが、買い手にも所有者との合意を求めた上であるが、買う買わないの事由はあると云うのが自本主義の原則となる。

4.まとめ
このプロトリオス社というのは、板金業界が購読者となっている業界書籍だと思うのだが、何故か記して来た様なトヨタとか老舗輸入車Y社の料金設定の矛盾に触れぬのだろうか。それと、対応単価とレバーレートは違うことを強調するのは間違いではないものの、あたかも対応単価を致し方ないものの如く記す姿勢は、どちらの視点で記しているのだろうか、いささか逆転した思考が働いている様にも感じてしまう。
今回は書評といっても、一般的な本というより、特定業社のアンケート集約報告書というべき体裁の書だ。出版は、予て自動車板金業界紙としてBSR(ボデーショップリポート)などの出版をして来たプロトリオス社が出版している税込み¥5500と結構高価とも感じる書だ。高価な理由は、販売数にあり、特定業社向けの少量出版だから割高になるということが想像できる。なお、出版社にはこういう云い方は失礼となるが、こんな内容で¥5500を取るのを、到底その価値を認められず、自らら購入することは考えられないが、たまたま知り合いの板金事業主より借りて見ることができた次第で、その中で感じたことを記録したい。


1.こういう集計行為を行うことの意義
業界団体相手にする出版社として、何かと全体が俯瞰しにくい中で、この様なアンケート集約を行うことの意義はあると思うところで、賛意は感じるところだ。ただし、その集約内容とかについて、あえて読者が望んでいたり、業界として現実を知らしめる意味での集計を意図的に避けているという偏向を感じてしまう。
この意図的な集計を避けているの具体例は、良い悪いではなく、板金工場の置かれた事業環境として、旧来から知られている形態として下請け体質と云うことがある。つまり、工場の工員別の分布を集計するだけでなく、ディーラーおよび中古車事業者、整備工場等の下請けとしての依存性とか、損保指定工場の依存性を示す集計が何故なされていないか。この前提を基本に据えて、各種分析が初めて意味を持ってくると思うところだ。
2.対応単価全国事情
そもそも私が知る現状として、損保と対応単価で個別協定しているのは、各国産車ディーラーおよび指定工場くらいだと認識している。輸入車については、対応単価では異なるが単価として事実上認めているは老舗Y社だけだろう。しかも、近年、国産ディーラーについて、トヨタおよびダイハツ以外のディーラーでは、明らかにトヨタ協定単価より高い対尾単価の要求を損保は受けており、このことは必ずしも金額協定ができていないことを証明しているだろう。つまり、各県で、トヨタダイハツ以外の多くのディーラーでの単価は、大雑把ではあるが1千円程度高い相場感で請求がなされており、それについて、損保側は必ずしも容認している訳ではない様だが、かなり歩み寄った個別事案の損害見積として金額協定を行っているのが現状だろう。プロト社はこのことを知らない訳もなく、あえてこの書面でそのことを避けて記さないのは、どういう理由だろう。
なお、輸入車についても、老舗輸入車ディーラーたるY社と、それ以外の輸入車ディーラーでは大きな乖離が生じているのが現実なのだが、何故そのことを隠すのかという思いで見てしまう。

3.対応単価イコールではないレバーレートということについて
この結論としては確かにその通りなのだが、どうもその説明が私の理解と異なるという思いで違和感を持つ。
つまり、この本では、対応単価はレバーレートの計算とは異なり、別の算法で算出されて、協定相手のディーラーとか指定工場と合意しているのだが、そもそもそれ以外の板金工場にとっては、意味ない話しだろう。ただし、ディーラーの下請け工場の立場としては、無視もできかねると云うところではないだろうか。
つまり、金額協定しているディーラーとか指定工場以外の板金工場にとっては、対応単価とレバーレートを別のこととして意識する意味は何処まであるのだろうか。このことは、実際問題として、一般の板金工場の対応単価にしてもレバーレートについて、必ずしも法的にディーラー工場単価が最上位に位置しなければならないことを示している訳でもなく、ディーラーより高いレバーレート単価を主張して認めている事例もあると承知している。
なお、レバーレートは自社の原価計算を行いその原価に世間一般として妥当となる利益を乗せて請求するのは自由だが、その商品を買うか買わないかは買い手の自由と云う資本主義の原則もあり、買い手の損保が車両の所有者の了解を求めた上の前提で、該当工場のサービス提供購入を断念し、別の工場での購入を促すという事態はあり得る。つまり、売り手は自由に価格決定権はあるが、買い手にも所有者との合意を求めた上であるが、買う買わないの事由はあると云うのが自本主義の原則となる。

4.まとめ
このプロトリオス社というのは、板金業界が購読者となっている業界書籍だと思うのだが、何故か記して来た様なトヨタとか老舗輸入車Y社の料金設定の矛盾に触れぬのだろうか。それと、対応単価とレバーレートは違うことを強調するのは間違いではないものの、あたかも対応単価を致し方ないものの如く記す姿勢は、どちらの視点で記しているのだろうか、いささか逆転した思考が働いている様にも感じてしまう。