風塵社的業務日誌

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塀の中の民間化

2015年08月21日 | 出版
例によって、極北の地の友人からの手紙の転載。(腹巻)

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 暑中お見舞い申し上げます。お元気ですか。
 梅雨は明けたけど、日本列島は暗黒の時代に急転化する底冷えのする夏のようです。
 安倍一派の暴走は止まるところを知らないようですね。ラジオニュースで閣僚たちや安倍の答弁を聞いていると、表皮細胞でしか思考も反応もしていないというか、マインドコントロールされた人の受け答えのようで、一国をこんなに強引に、何が何でも戦争をする国へ追い落とそうとしている人間の言葉とは感じられない。なぜ、何のために、いかなる情勢があって、ここまで人々の反対も、歴史の教訓も踏みにじって強行しなければならないのか、彼らが感情も名前も、友人や家族もある一人ひとりの人間なんだということが信じられなくなりそうです。
 「〓〓(某ミニコミ名)」7/6号に「『わが軍』こそ安定した雇用主」という短文が載っている。戦争法案には徴兵制がない(憲法違反だからと安倍一派)という答弁と労働者派遣法に関わって筆者は〈安倍はこう嘯いているようだ。「わが軍こそ最も安定した雇用主。兎にも角にも安定した生活を望むなら迷わずわが軍へ」〉とまとめている。この間の一連の流れの構造がよく理解できた。
 それにしても、戦争をするしか生き延びる方策も能力もない国にする。祖父の失態の名誉を挽回したい過去に縛られて、安倍はその先に何を目指しているのだろうか。安倍には守るべき隣人たる「未来人」はいないのだろうか。
 
 さて、塀の中も安倍一派に負けず劣らずの旧体制志向ですが、四月に幹部職員が交替になって六月には着々と「変更」が告知され始めました。一例は、6/17、これまで有料で行っていた「歯石除去」(私は有料でやれることも知らなかったのですが)が中止になりました。理由は、「現在140人が治療待機中で約4ヶ月間待ちの状態(全在監者630人くらい)。四月から医者を一人増員したが、間に合わないため(医者は月1回か2回くらいしか来ない)」というもの。
 6/19には「朝の出役前、居室での交談を禁止する。出役前は全員ドアに向かって座って待機すること」というもの。
 6/25、居室内の備品、私物の配置様式変更指示。――問題は新配置では、幅160㌢の部屋でテレビ台40㌢と布団幅105㌢を一列に置かなければならず、トイレシンクへの通路幅は約15㌢。その間を通ってトイレへ出入りするたびに、私はつまづいたり布団やテレビ台にひっかかったり、危なくて仕方がない。そのことを指摘しても、「決まったことだから変更できない。布団は決まったとおりに置いて(TV台は固定していて動かせない)、トイレに行くたびにいったんずらせばいい」と。
 刑務所の幹部に昇進した職員というのも人の子だから、何か自分が決定権といえるようなものを持てるようになったら、それなりに自分の「才覚」を行使してみたいのだろうなと思えます。「人(先人)のやること(例えば、布団は横に置かないで縦に置くとか)には理由がある」という教訓も、「決定権の魅力」には勝てないようです。
 6/30告知、「次回捜検時に保管私物量がオーバーしている者には〝イエローカード〟を発行する。3週間以内になおオーバーしている者には〝レッドカード〟を発行し、強制廃棄または宅下げを行う」というものです。旧来も「オーバー者は〝不良居宅〟」として減点されてきましたが、イエロー・レッドカードの導入と強制廃棄は「新案」です。これって「私有財産権の侵害」とかにはならないのでしょうか。こんな調子です。
 以前から問題の「自弁購入品」の値段ですが、この間わかったことでは、例えば「ジョンソン社のベビーパウダー」140㌘、薬局で200円前後と思われるものが410円。「デンターシステマ」130㌘は300円前後のものが512円とあまりに差がありすぎます。また、しょっちゅう値段の変更(必ず上がる)、商品の変更(必ず高かろう悪かろうになる)が行われ、ますます在監者の生活は厳しくなります。当局は「今は民間委託だから私たちには何とも言えない」という立場ですが、「民営化」とは?(ちなみに民営化された刑務所戻りの再犯率というのもここ以上だとか……)
 そんなこんなでこの夏も受刑者当該、のんびりとマイペースというわけにはいかない様子です。
 「外はそれどころじゃあないよ!」でしょうが、95日間も延長された国会で、安倍一派はまだまだ悪巧みを進めることでしょう。マスコミにもう一つしっかりしてもらわないと、この国は80年前を繰り返すしかなくなってしまいそうです。みんなご自愛を、元気に、共に!

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