風塵社的業務日誌

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NHK三昧

2013年02月12日 | 出版
三連休。その前の木曜日から土曜日までヘビーに酒を飲み続け、毎日毎日二日酔いとなる。さすがに日曜日の朝は、酒のことは思い出したくもない。気持ちが悪いので、ひたすら寝ている。ようやく昼前に布団から這いずり出し、遅い朝飯にありつくことにする。その後、囲碁を観戦。元本因坊対現本因坊の対決は、最後に現本因坊のパワーが炸裂し現職の勝利。ウーン、若さとか勢いの違いなのだろうか。よくわからん。
観戦している途中、妻は用事があるとかでいずこかへ出かけていく。観戦後、小生も散歩にでも出かけようかと思ったけれど、その程度の気力もわかない。日曜午後のつまらないTV番組を観ながら、意識は半分寝ている。すると夕方、NHKが再放送で『終戦 なぜ早く決められなかったのか』を放映し出した。そういえば、本日は建国記念の日などという噴飯もののハタ日だったなあと思い出しつつも、その日に敗戦特集を再放送するNHKの粋な計らいに少し笑ってしまう。
関心のあるテーマでもあり、ついつい観始めてしまう。戦況は絶望的な状況にあるというのに、天皇の前で軍部も政府も降伏と言い出せないのはどうしてだったのか、というのが内容のメインだ。組織内部の反対派のことを想定して(この場合は主戦派)、思い切った決断を打ち出せないまま、時間だけが過ぎていき、戦況はますます悪化していく。姜尚中氏が、「ある意味有能な人たちであるだけに、組織を根底から覆す思い切ったことができなかったのじゃないか」という趣旨の発言をされていたが、その側面は確かに強かっただろう。
面白くていい番組であったけれど、一つ不満だったのは、明治憲法における政治システムが、全体の意思決定をしにくい構造になっていることの説明がもう少しほしかった点だ。つまり、明治憲法というのは、表向きは天皇親政である。しかし、これでは天皇が全責任を負うということであり、少しでも失政があれば天皇制そのものが打倒対象となることを意味してしまう。ところが、実際はそうではなく、政府なり枢密院なり軍部は、それぞれが天皇に対する輔弼責任を持つという構造にしているから、失政を犯してしまった場合、それぞれの担当者が辞職することで輔弼責任を全うし、天皇が責任を負うことを免れるようにしていた。
さらに、元老(明治の元勲)というものが、憲法に規定されない形で政治に容喙できるような構造となっている。具体的には次の首相を推薦するなどが元老の役割で、キングメイカーとして政治に重大な影響を及ぼしてきたのだ。ところが、最後の元老と呼ばれる西園寺公望が1940年に90歳で病没してしまうと、その立場に就ける者は誰もいなくなってしまった。つまり、政治と天皇とを結びつける役割を果たす者が、敗戦時には不在だったわけである。
そうすると、内閣は内閣だけで天皇に輔弼責任を果たし、軍部は軍部だけでということになってしまう。それぞれを統合する立場は天皇だけになってしまう。つまり、天皇が政治責任を果たさなければならないわけであるから、そうすると「根底から覆す」などということには誰もがビビッてしまうわけだ。こうした、制度上の欠陥にももう少し踏み込んでくれたら、さらに面白かったと思った。
それで、番組が終わりかけて来たころに妻が帰ってくる。「あんた、私の言いつけやっといた!」とか、帰ってきた早々からうるさい。「なんだよ、今いいとこなのに、邪魔しやがってこのクソが!」と思わざるをえないのだけれど、適当にあしらっておくことにする。それで、最後、元外務官僚だったかが、「終戦という言葉はぼくが考えたんだ」と証言していたのが、大変、興味深かった。「降伏」という言葉を使うと、回りを刺激するばかりなので使えない。それで「終戦」という言葉を発明して、降伏工作を進める前提を作ったというような趣旨だったと思うけれど、そこは妻の妨害策動に遭っていたので、もしかしたら間違って聞いているのかもしれない。
というわけで、その日は酒を抜いて、早々にまた寝ようとしたのであるけれど、酒を飲んでいないせいか、ウトウトしていたら目が覚めてしまった。乾燥肌で背中がかゆい。かゆみを緩和する飲み薬(睡眠導入剤?)を皮膚科でもらったことがあるけれど、会社に置きっぱなしだ。しかも、腹まで減ってきた。
しょうがないから起き出してみたけど、本を読もうという意欲がわかない。再び、ボケーとTVを見始めた。三連休の谷間の日曜の深夜。やっている番組はスポーツニュースばかり。一通りボケーと見て、Eテレにチャンネルを回したらライオンの生態を放送している。ライオンちゃんねえと思いつつ、腹を満たすためうどんを食べることにする。冷蔵庫に残った野菜を適当に切ってぶっこんで、味噌を適当に入れて、最後に卵を落とし、腹巻流味噌煮込みうどんの出来上がり。
ライオンちゃんを見ながらうどんをすすっていたら、寝てたはずの妻が起き出してきやがった。内心、一人にさせといてよという気がしないでもない。するとそこに、『スーパープレゼンテーション「あなたの常識は古い!金でやる気は生まれない」』という番組が始まった。おそらく米国ものを買ってきた番組だと思うけれど、誰かがあるテーマについてプレゼンするという番組だ。で、その回のスピーカーはダニエル・ピンクという、米国の作家で、以前はアル・ゴアのスピーチ・ライターも務めていたというおっさん。
ところが、この番組、なかなか面白い。「なんだかスタンダップ・コメディみたいだねえ」と妻も感心している。テーマは、21世紀において社員のやる気をいかに引き出すのかということで、アメとムチでやる気を引き出すのは20世紀のやり方だったという内容。あちこちにジョークを交えていて、本当におかしいし、主張している内容も大変興味深い。最近のEテレはなかなかやるなあと素直に感心した。

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