風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

風塵社的花見2019(3)

2019年04月03日 | 出版
パスタを食べ終え、嗚呼、小腹が空いたなあと思いつつレジに向かう。するとレジのうえに、護国寺やら近くの花見の名所が記されているカードが置かれていた。そこにあった播磨坂というところは知らない。お金を払いながらお店の人に、「この播磨坂ってどこですか?」とたずねると、「春日通をまっすぐ進んでいって、小石川植物園に向かう坂です」とのことで、小生もようやくわかった。「文京区の桜祭りをやっているところですよね」「そうです」
お店を出て、そのまま不忍通を東に下っていく。すると、JR大塚駅から後楽園に出る通にぶつかるのだが、その通の名称を知らない。ここでは、仮にA通としておく。そしてその通を1本東側に入ったところに小石川植物園がある。ところで、そのA通と先ほどの播磨坂がぶつかる交差点の角にはK印刷という大きな印刷所がある。日本で5本の指に入るくらいの売上規模を誇る会社だ。その関連会社もあるせいか、A通には印刷・製本系の小さな会社が多い。また、ある出版系の信用組合の文京支店もそのA通にあった(現在はなくなっている)。出版社もチョボチョボあるはず。
さらには、K印刷の戦前の労働争議の様子が、徳永直の『太陽のない街』で描かれているそうだ。『太陽のない街』はもちろんプロレタリア文学の名著として有名ではあるけれど、実は読んだことがない。したがって、「太陽のない街」と聞けば、冬の福岡の空を自然に思い起こしてしまう。寒かったなあ。福岡はさておき、『太陽のない街』の影響なのだろうか、A通にはセツルメント診療所なんていう、いかにもな名称の病院もある。現在でも共産党系の力は強いのだろうか。そもそも、いまだに共産党はセツルメント運動をしているのだろうか。そういえば、大島渚の『青春残酷物語』に、セツルメント運動に挫折した若い医師と看護士のカップルが登場していた(ように記憶している)。安保闘争のデモシーンが流れたりしていた映画だったけど、結局、小生にはよくわからない映画だった。大島映画にかぎらず、そうした映像系のリテラシーが低いのだろう。
A通をブラブラ歩いていくと、小石川植物園の北西端にたどりつく。園内にはたいした売店がないので、そろそろ酒でも買っておきたいところだ(あれ?園内禁酒だったかな?)。そこで、目に留まったコンビニに入ってウイスキーの小瓶でも買おうと向かいの通に入ってみる。すると、ロシア料理店やらカフェやら、お菓子屋さんと、また小洒落たお店ばかり。オジサンにはちょっと苦手なオーラが立ち込めていた。さっき少々小洒落たカフェでパスタを食ってきたところとはいえ、やはり、女性向けのお店には居心地の悪さしか感じない。酔っ払いながら山谷でも歩いていた方が、オジサン的には落ち着くのだろうか。
植物園の北西の角には東大の博物館があり、無料で入ることができる。以前、妻と行ったことがあったけど、どういうものが展示されていたのかを思い出せない。「ここってなにがあったっけ?」と妻にたずねると、「前に、Nくんと丸の内のKITTEでミュージアムを見学したでしょ。あんな感じじゃなかったかな」そういわれても、信州・池田町の日本酒というのを「こりゃ美味い」と、KITTE内の蕎麦屋でN氏と二人でガハガハ飲んで酔っ払ってしまい、それから見物したのでなにが展示されていたのかなんてよく覚えていないのだ。そのため、「だからここはどんなのが展示されていたっけ?」としつこくたずねると、「ホルマリン漬けとか、剥製とかあったでしょ」と、妻が呆れたような顔で答える。フーン、だんだん、そんなような気もしてきた。なにかの図面とかもあったんだっけな?忘れちゃったなあ。「でもここ、前も来たことがあるし、きょうは行かなくてもいいだろ」と妻に言うと「そうだね」
博物館入り口の脇に、「本日お茶会」という貼り紙があるのに気がついた。そこの脇の坂を登ったところに神社があり、花見なのでお茶会を催しているということだ。ところが、その「簸川神社」なる名称が読めない。ならば、確認しに行ってみるかとなる。東大博物館の脇の坂を登れば、すぐにその神社だ。入り口の掲示板を眺めて、簸川と書いて氷川なのだとようやく理解した。小石川植物園は、江戸中期に青木昆陽がサツマイモの試作をした場所として有名である。その隣りにある神社なのだから、簸川神社も江戸時代から地元の信仰を集めていたことだろう。でも、氷川神社って治水の神様じゃなかったのかなと考えつつ、この辺に川なんてあったけと思い巡らすものの江戸時代と現在では川の流れもちがうのかもしれない。
簸川神社の境内に上がると、足元に桜が広がっているようで気持ちがいい。ただし、開花率は85%くらいだろうか。まだ満開というほどでもない。お茶会はパスし、小石川植物園の入り口に向かうことにする。ところが、広い植物園の脇をテクテク歩いているうちに、植物園に入ろうという気持ちが徐々に薄れてきた。ようやくにして入り口にたどりつくと、10人ほどが並んでいる。「エー、いまからこんなか入る?」と妻にたずねると、「ウーン、どうしようかな」と妻も悩み始めた。

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