風塵社的業務日誌

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Sunday Morning

2008年06月29日 | 出版
昨夜は寝苦しい蒸し暑さで、早く雨が降らないものかと願っていたら、早速のドシャ降りでうんざりする。人間とは身勝手なものだ。7:00くらいに起床。日曜の朝である。

以前、飯島愛が何かのバラエティ番組で、土曜の夜遊んで早朝に帰ってテレビをつけると、「囲碁なんかやっていて、全然意味がわからないからむかつく」旨の発言をしていて、ついつい笑ってしまったことがあるが、そのテレビ東京の「スーパー早碁」も終わってしまって数年経つ。こちらにとっては、眠れない土曜の夜の楽しみだったので、とても残念だ。確かに、将棋とちがって、碁石の1個1個にはまったく意味(黒と白しかない)がないから、ルールを知らない人が囲碁番組を見たら、疎外感が強いんだろうな。飯島愛も引退して暇だろうから、囲碁くらい覚えれば、人生の彩りが増えることだろう。

で、新聞を見ると、「朝日」の読書欄は本日もつまらない。今回のトップは、『ホロコースト』(芝健介著、中公新書)と『アウシュビッツの沈黙』(東海大学出版会)と来たもんだ。先日、『ホロコースト』は店頭でパラパラと見たけれど、時代性をまったく失った内容にガッカリしていたところで、それが紹介されているからさらにガッカリする。
『アウシュビッツの沈黙』は手に取ったことがないから、読書欄の紹介記事を読んだだけの情報しかないけれど、両者共に「ホロコースト」が過去完了として分析されていて、しかも遠いヨーロッパで起こった話であるから、日本人の当事者性がまったく欠落している点が、大いに不満である。要するにこれは、日本人が痛みを全然感じなくてすむ、純粋に「学術的な」話なのだ。
前者については、手塚治虫が『アドルフに告ぐ』で描いたように、被抑圧者がのちに弾圧者に転じ、その弾圧は現在進行形で繰り広げられている。大殺戮を経験したはずのユダヤ人がパレスチナ人を大殺戮し、ゲットーの中で生まれ育ったユダヤ人が、分離壁を築いてゲットーの中にパレスチナ人を押し込めているという悲劇を前にすれば、ヒトラーがバルバロッサ作戦さえ発動しなければ(スターリンもユダヤ人根絶には積極的だろうし)こんな状況が生まれなかったのにと、皮肉の一つも言いたくなるはずだ。
後者に関しては、当時、日本は何をしたのかということに目を背けさせる効果を生むのではないか(著者の意図しないところで)と、いささか危惧する。古い話で恐縮だが、松本零士の『宇宙戦艦ヤマト』の敵役は、デスラー(ヒトラー)とかドメル(ロンメル)、ゲール(ゲーリング)などナチス・ドイツの面々なので、これは大日本帝国海軍(戦艦大和)がナチスと戦争するアニメである。しかし、だれもそこに痛みやバカバカしさを感じず、地球人(つまり日本人)は愛と勇気をもって戦ったということになってしまう。極論かもしれないが、日本人が「ホロコースト」のみを取り上げようとすることは、『宇宙戦艦ヤマト』と同じ効果を生むことにならないだろうか。
1960年の新聞紙面ならば(もっと前か)、こういう素朴な書籍が紹介される必然性もわからなくはないが、イスラエル国内においてすら、「新しい歴史派」がパレスチナへの弾圧を批判しているという21世紀になって、ユダヤ人弾圧だけを取り上げるのはいささか近視眼的にすぎるだろう。いまや『夜と霧』は、イスラエル建国神話の錆びついた補強材にすぎないのだ。
したがって、太田龍大先生ならば、「朝日」はユダヤの陰謀に加担していると激怒されることであろうが、小生はそこまで誇大妄想を抱いていないので、研究者が仲間内で誉めあいをしているだけなんじゃないの?と、少しうがって見ることにする。その研究者には、「翻訳ばかりに熱中していないで、たまには新聞くらい読みなさいよ」と言っておこう。
しかし、こちらがオジサンだけに、例示しているマンガが古すぎるね。
オバマ氏が欧州中東歴訪へ 安全保障政策で意見交換(共同通信) - goo ニュース
合衆国次期大統領は、早速イスラエルロビーに支配されている。

8:30前に家を出て会社に向かう。後楽園駅からラクーアの中を通っていると、若い女の子が30人ほど一列に並んでいる。このあと、誰かのサイン会もあるのだろうか。まあ、小生には関係のないことなので、雨のなか、会社へと急ぐことにする。
さてさて、本日もまたお仕事である。

韓国反政府デモ 過激化、新聞社を襲撃(産経新聞) - goo ニュース
お隣りはさすがに熱い!日本も産経新聞社を襲撃すべきか!?

夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録
霜山 徳爾,V.E.フランクル
みすず書房

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