風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

風塵社的忘年会2020

2020年12月26日 | 出版
某日、コロナなんて関係なく、弊社忘年会を予定していた。ところがその前日の夕刻、「遅れますが行きます。よろしく」なるメールが、あるばばさまから届く。あれぇ~、なんのこっちゃ?と考えていて、もしかして忘年会の日を間違えているのではないかと思い当たった。すぐにばばさまのスマホに電話したもののつながらない。地下鉄にでも乗っているのだろうか。「もしかして勘違いしていませんか。忘年会は明日ですよ」というメールだけは入れておいたけれど、それから10分もしないうちにばばさまが現れた。
宴会の用意などなにもなく、雑然とした社内に小生一人酒を飲んでいる姿を見て、「パーティはどうしたの?」とばばさまがたずねてくる。「やっぱ、メール行き違いになっちゃいましたか。忘年会、明日ですよ」と伝えると、「エーッ!」だって。こっちがエーッだよという気分でもあるが、せっかく駆けつけてくれたわけである。「それじゃあ、また明日」と追い返すわけにもいかないだろう。二人して忘年会前夜祭を始めることになった。それにしても、日を間違えるとはそそっかしいばばさまであることよ。
翌日の忘年会、「その日はダメ」と言っていた旧友のS社S氏から、「本日ですが17時に顔出します。長居せずに撤退します。よろしく」なるメールが入る。S氏も参加とはもちろん大歓迎だ。とはいえ、S氏と某地方紙お勤めのK氏とは、先日社内で呑んだばかりであった。S氏とは学生時代からの腐れ縁である。短い期間だけど、小生の住んでいた寮の一室で、S氏と同棲していたこともあった。
その日の朝一に御徒町のYで買ってきたブリを切り分けて宴会の準備は終わり、仕事も適当にこなし、17時近くなったのでそろそろS氏も来るかなあと酒を呑み始めようかとしたら、J社社長T氏がまずはご来社。「みんな集まる前に一局打たない?」とT氏がお誘いしてくれるものの、そろそろS氏も来てしまうことだろう。「いや、それがごめんなさい。囲碁を知らない奴がもう来ちゃうのよ。正月明けに囲碁の会を予定しているので、Tさんも来ませんか」と誘っておく。そして、囲碁の代わりに「これがめちゃめちゃ面白いんですよ」と柳時熏先生のYouTube Channelを紹介する。するとTさん、食い入るように見始めた。
そこにS氏ご来社。「早く帰るって、きょうはどうしたん?」とたずねたら、「子どもが大学受験で、コロナなんて持ち帰ったらかみさんにぶっ殺される」げな。そりゃそうだ。「人がだいたい集まったら鍋を始めるんだけど、それまで、そこに並べているのを適当に食べて、適当に酒を呑んでくれ」と、式次第を説明しておく。「きょうはどういう人が集まるの?」と聞かれて、「このへんの出版仲間がメインで、ひとり、うるさいばばさまがやって来る」と答えておく。そうこうするうちに、F社社長、D社社長ほかがボツボツ集まり始め、ばばさま含め8名での密な忘年会となる。
S氏、アルコールが入って気分がよくなってきたようだ。長居しないとか言っていたくせに、ボルテージが上がっていく。J社T氏、S社の下請けの制作の仕事が最近回ってきたらしい。そこで「実は、S社の文庫の仕事をしているんですけど、ルビの振り方がよくわからないんですよ」とS氏にたずねた。そこでS氏の解説によると、S社の場合、ある難字が30P以上間隔が空いて出てきたときはルビを振ることになっているそうだ。へー、知らなかった。小生の場合、全体の初出だけに振るとか、各章の初出に振るとかで、こうしましょうと決めているわけではない。しかし、30P間隔なんてルールを決めていたら、校閲部の苦労はいかばかりだろうか。
コロナでどうかと思っていたが、S社、今年はさほど悪くなかったらしい。力のある作家さんの作品がそれぞれ厚く売れたそうである。それはなによりだ。本が売れなければ書店さんが成り立たない→書店さんが厳しければ取次(書籍の問屋)さんの厳しさもより増すことになる→取次さんにしてみれば、足かせとなっている零細出版社には死んでほしい、ということになる。そのデフレスパイラルに陥らないためには、自社でヒット作を出す、もしくは業界全体が潤うことが必須条件となる。S社がそこそこならば後者の条件がなんとか満たされたわけであり、桶屋が儲かる的に弊社にとってもうれしい話だ。
話し上手のS氏からは大手出版社なりの苦労話がいろいろと飛び出し、そのたびに笑いに包まれていく。こうして楽しく酒を飲んでいたら、小生も酔っ払ってきた。21:00過ぎだろうか。「ここで中締めにしましょうか」ということで、一度お開きとした。ところが、そこから先の記憶がほとんど残っていない。S氏とF社社長とF社OGのIさんとばばさまとで呑んでいたのだろうか、アレェ、だれと一緒にいたのかすらハッキリしない(S氏は帰ったんだっけなあ)。記憶がまったくぶっ飛んだまま帰巣本能だけで帰宅し、とにかく布団にもぐりこむことになった(ようである)。

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