風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

チリビーンズ(1)

2016年04月05日 | 出版
早いものだ、いつの間にか4月になっていた。つい先日まで寒さに震え上がっていたというのに、すでに桜が満開となっている。季節の移り変わりが早すぎる。一方、こちらはやることがてんこ盛り。仕事もしなければならないが、酒も飲まなければならない。酒飲んで酔っ払ってポヤーンとしていたら、今年も1/4が終わっていたというわけだ。そういえば、3月末に支払っておかなければならいものや、請求書の作成もあったのだけれど、ポヤーンとしたまま忘れていた。明日には処理しておこう。
そんなある土曜日に、某件があって旧友のN氏が関西からご来社いただくことになる。本当はこちらから関西に出向かなければならない用件なのに、Nくんには悪いことをしてしまった。なんでも3月中は、週末には講演やらセミナーやらで忙殺されていて、しかも学校の行事もあるしということでまったく身動きがとれない状態にあったらしい。忙しいことはなによりだ。お国のために粉骨砕身働いてもらおう。
しかしその一方で、ようやく休日の取れた週末にわざわざお越しいただくのだから、小生はただただ申し訳ないという気持ちになってしまう。そこで、せめてもの罪滅ぼしに、手料理くらいは用意しておこうという気分になった。N氏のお見えになる前夜、妻に「あした、N君が来るってさ」と伝えると、「じゃあ、私も風塵社に行く!」「あのなあ、来るったって用事があるわけで、遊びに来るわけじゃないんだぞ」「どうせそんな用事すぐ終わって、お酒飲むだけでしょ」とふざけたことをぬかしやがる。しかし、さほどはずれてはいない未来予測ではある。当然ながら、小生としてもN氏と酒を飲むことを楽しみにしている。
「面倒くさいなあ。こいつも来るのかぁ」と内心で思いつつも、何を作ろうかなあと考える。1年ほど前にN氏と二人でお茶の水で飲んだとき、「ぼくは最近テキーラにはまっているんだよ」と似つかわない(?)ことを言っていたから、じゃあ、チリビーンズでも作ろうかと思い至った。しかも、ベーコンだ豚肉だなんて入っていないベジタリアン度100%のチリビーンズだ。あとは温野菜とパンとチーズとワインでもあれば十分だろう。そのうえ、小生のぼんやりとした記憶では、N氏は味にはうるさくないはずだ。
なにを作るかだいたいのイメージはできた。そこではたと気がついたのであるけれど、これまでの人生において、小生はチリビーンズなるものを食したことがあったのだろうか。あったようなないような、はなはだ曖昧な記憶しかない。あったとしても、給食に出てきたチリビーンズもどきを本物と誤解している可能性もある。どんな味かわからないんじゃ困ったなあ。そこで妻に、「チリビーンズってどこかに売っているところある?」と聞いてみたら、「市ヶ谷に有名なお店があるらしいよ」げな。そのためにいまさら市ヶ谷まで出かけるはずがない。
クックパッドを見ればなんとかなるだろうと考え、某土曜日、おもむろに出社。早速クックパッドでチリビーンズのレシピを見てみる。すると、なんだかよくわからない説明が書いてある。こちらのオツムが悪いのだろう。そのレシピを理解する努力は放棄することにする。要するに、にんにくと玉ねぎをみじん切りにしてから炒め、そこに大豆とトマトの缶詰をぶち込んでから最後にチリソースをたらし、あとは煮込んでいけばそれらしい料理になるのではないだろうかと想像する。イマジンこそが世界を変えるのだと、昔だれかが歌っていたなあ。
ところが、どの素材も社内にはない。食材が揃っている出版社というのも尋常ではないだろう。それはさておき、上野の吉池に食材を求めに行くことにした。ところが、チリソースを買うときにためらいが生じる。この一瓶を使い切ることがあるのだろうか、と。これから作るチリビーンズの出来不出来に関係なく、チリソースをそうそう他の料理に使うわけがない。そうすると、この先数年はわが社の冷蔵庫内で眠ってしまう可能性もある。しかし、それもこれもN氏のためだ。ええい、ままよと、思い切って購入することにした(と大げさに述べるほどの金額ではない)。
あれやこれやとやらなければならない仕事は文字通り山積しているのに、重い荷物を担いで本郷の坂を上り会社にもどってみれば、早速料理をしてみないことには気持ちが落ち着かない。何品か作りたいところではあるけれど、コンロの火口は1個しかない。非効率かもしれないが、とにかく懸案のチリビーンズにチャレンジしてみよう。にんにくと玉ねぎを炒め、そこに適当に切ったマッシュルームを投入。缶詰の大豆とトマトをぶち込んでから、ついでに鷹の爪も入れておく。少し煮立ってきたところで、みじん切りにしたパセリを投入し、あとは塩とコショウで味付け。
味見をしてみて、なかなかいい味になっているではないかと判断し、チリソースを適当に流し込んでみる。再び味見してみると、かなり甘ったるくなっているので、味噌を少量入れておくことにする。そこからはひたすら煮込むだけだ。(続く)

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