風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

関が原へ(02)

2019年10月23日 | 出版
地上に出るとカフェ・ド・クリエが目に留まったので、そこで態勢を立て直すことにしようと向かいだした。すると、駅を出たところに立派なカメラをかまえた30代くらいの男が前方に向けてシャッターをパシャパシャ切っている。なにを撮影しているのかなとそちらに視線を移動したら、いかにもその筋の人たちという方々5、6人が小雨のなかを駅に向かって急いで歩いている。すると、カメラを持っていた男はと思い当たり、よせばいいのに後ろを振り向いてしまった。やはり、その男のとなりに立っている男性は「愛知県警」の腕章を巻いている。マル暴とは判明したものの、しかし彼ら、暴力団風のいでたちではなく、その頼りなさげな趣はどこかのカメラ小僧のようだ。おいおい、大丈夫か愛知県警という気がしてしまったというのが正直なところだ。
小生はヤクザ屋さんのことにさほど関心がないのではあるけれど、その業界の大物が出所されたことは報道で知っていた。そこでまず、だれであろうと満期出所したことがニュースなのかという疑義が生じる。無事にお勤めを終えた人がシャバに出てきた、それだけのあまりにプライベートなことをNHKまでもがニュースとして報じていた。ヤクザ屋さんは公人ではないのだから、そんなことはヤクザ屋さん向けの週刊誌で取り上げていればいいのであり、全国的にアナウンスすべき内容ではないはずだ。
次に、その人が出所したことでヤクザ屋さん業界内で緊張が高まるという理屈はわからなくもない。だからといって、マル暴が白昼堂々と彼らにカメラを向けることが許されるのだろうか(法的、倫理的に)。現状ではまだなにも起きていないというのに、すでに捜査・監視対象として彼らに接しているわけである。しかも、被写体がこれから起こるかもしれない事件なるものにどの程度関与するのか否かすら不明のはずだ。これでは、戦前の特高警察による要視察人制度となんら変わっていないということになる。マル暴にかぎらず公安もふくめたところで、警察制度のさらなる民主化を徹底すべきである(なぜここで公安を持ち出すのかといえば、彼らもデモや集会などで許可もなく撮影しているから)。
それはともかく、コーヒーショップにようやく腰を落ち着けてまずは一服。お次に小用をとトイレに行ったら使用中でやんの。しばしの我慢じゃ。リュックから詰碁の本を引っ張り出し、暇つぶしに考えてみることにする。隣の席ではTシャツ姿のオネーサン(30前後?)と50代半ば(?)というオジサンが、なにやら熱心に話しこんでいる。なんでもオネーサンの方は占い師のようで、オジサンが人生相談をしているようだ。こういうとき、ついつい聞き耳を立ててしまうのは、小生の悪い癖なのかもしれない。しかし小生にしてみれば、人間に対する関心がついつい湧き起こってしまうのだ。
オジサンにタロットを引かせてから、「タロットって、SFによく出てくるパラレルワールドを下敷きにしているんですよ。その別世界のあなたにはまた別の人生があり、それとの交錯点がいま引いたカードに現れているという考え方なんです。ですから、その絵柄の奇妙さには惑わされず、よく私の説明を聞いてくださいね」云々。オネーサンの口上、まさに詐欺師そのものだと感心してしまった。
そこでさらに、「どうも、いまのあなたは人間関係には恵まれていないようです。職場関係もそうですから、会社に残業代の請求をどうのこうのしようとしても、あなたについてくる人はいないでしょう。ご結婚に関してはもう少し先という感じでしょうか。1、2年では難しいように出ています」。おいおい、50過ぎのオヤジだぞ。どれほどの収入なのかは知らないが(残業代も出ないブラックに勤めているとしたら、さほどの給与ではないにちがいない)、結婚なんて普通に厳しいに決まっている。
そこで尿意がこみ上げてきたので再びトイレにチャレンジすることにしたものの、いまだトイレは使用中だ。しょうがないからトイレの前に立って順番を待っていると、その前の席では日本人の女の子(20代後半?ポッチャリ系)が韓国人男性(20代前半?イケメン系)に韓国語の個人レッスンを受けているところである。この女の子のリビドーはさておき、彼女のような熱心な韓流ファンが増えるだけで日韓関係は良好になるのだから、こういう女性が増えることを期待しておくことにしよう。
ところが、肝心のトイレはいつまで経っても開く気配がない。腹が立ってきたのでドアを蹴飛ばそうかと思ったものの、そのはずみでオシッコをもらしてでもしまったら末代までの恥である(小生に子孫はいないものの)。ならば我慢の限界に達する前に、駅のトイレを借用することにするかと店を出ることにした。そしてようやく、コンコース内のトイレでジョボジョボと吐き出すことができた。一服も終わり、小用も終わり、これにて心身の一統が完了したわけである。つまりはオフィシャルモードにようやく入れたということだ。おもむろにケータイを取り出して義姉に電話し、いまからそこの最寄駅に向かう旨を告げる。そして名古屋市営地下鉄の某駅まで向かうことになった。

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