風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

目が痛い

2014年06月04日 | 出版
社内のPCの入替え作業はほぼ終了。あとは旧PCを捨てるだけである。どうせたいしたデータなんてものは残っていないにせよ、それなりに中味をクリーニングしてから捨てるべきなのだろう。その作業をいつかやろうと思い、事務所の片隅に旧PCが転がっている。そこで、その「いつ」がいつやって来るのだろうか。
しかし、PCを入れ替え、ディスプレイも替えてみたところまではよかったが、新しいディスプレイが明るすぎるのか目が痛い。長時間ディスプレイを見ていると、眼球の上のほうが突然締め付けられるようになる。これが始まると、ディスプレイなんて見ていられない。明度を下げて、長時間の使用に耐えられるようにカスタマイズしないとしょうがない。
ディスプレイのせいかどうかはわからないが、日中、暗い社内から明るいところに出ると、世界がぼやけて見えるようになってしまった。特に、少し離れた看板の文字が読めない。「いつからこんなに視力が落ちてしまったのだろう」と不思議に思うけれど、「いつから」っておそらく最近のことだろう。困ったなあ。
ディスプレイの設定を変えて、保護フィルムを貼らないと、長時間の使用はできそうにない。そこで疑問なのは、デザイナーさんとかイラストレーターさんといった、PCで色物の仕事をされている方は、ディスプレイの設定をどうされているのだろうか。
一般の人にはなかなかわからない話なのであるけれど、4C(4色、RGBでもCMYKでも)のデータの場合、ディスプレイ上で見ているものとプリンター出力したものと、印刷の仕上がりがどれも微妙にちがうのである。それぞれの制作原理がちがうのだから、仕上がりも変わってしまうのは致し方ない。そのため、こちらとしてはディスプレイのくせを早く飲み込んでおく必要がある。つまり、ディスプレイ上でこのくらいの赤の色ならば、印刷するとこうなるだろうというものだ。そのため、実際の印刷に少しでも近くなるように、ディスプレイにも補正をかける。
しかし、そのうえにフィルムを貼ってしまったら、元の木阿弥である。補正にはなんの意味もなくなってしまう。そこで、カラーを中心に仕事をされているかたがたは、再びディスプレイに補正をかけるのだろうか。それとも、だいたいのイメージと出力で進めているのか、またはもっと別の方法で4Cの調整をされているのだろうか。どうしているのだろう。
幸でもなく不幸でもなく、小生の場合は色物をさほど得意としていないから、色物を扱う場合は基本的にY印刷に投げてしまい、あとは「よきにはからえ」方式である。そこでよく起きるトラブルが、「このデータをそのままに印刷してくれ」とデータを預かり、それをそのままY印刷に渡し、仕上がりをクライアントに見せると、「こんな色じゃない!」と激怒される場合である。
小生の視点からだと、それはクライアントが知らなすぎるのである。先ほど述べた、ディスプレイとプリンター出力と印刷がそれぞれ別物だということを知らないがゆえに起きる事故なのだ。ただし、納品してからクライアントにそんなことを説明しても、先方は納得してくれない。そのため、データと同時に出力見本を、必ず預かることにしている。
色の問題というのは、本当に面倒くさい。赤が出すぎているとか、人の顔色に緑がかっているとか、見た目の印象をもとに判断するわけなので、なにか基準があるわけではない(素人さんの場合)。したがって、どこをどうしたいのか、こちらにはよくわからないことがある。
あるとき、プロのデザイナーさんとクライアントさんとの間に入っている方との3人で色校正をどうするか決めることになった。間に入っている方は「思っていたよりも色が沈んでどうのこうの」というようなことをおっしゃる。そういうのはしょせん印象論なので、「ああ、そうですかあ」と適当に相槌を打っておく。デザイナーさんはさすがによくわかっている方で、写りの悪かった画像を2枚ほど補正をやり直して差し替えただけで終わってしまった。
そういうときに、「ああ、さすがはプロだなあ」とこちらは感心してしまう。印刷すればどういう結果になるのかをよく知っている人だから、プロのデザイナーなのである。印刷というものは紙に刷ることが多い。そうすると、紙質によって印象もずいぶんと変わってくる。原則的に、それは紙見本を見てどういう仕上がりになるのかをイメージして用紙を選択するのであるけれど、見本を見ただけでその後のすべてが見通せる人は少ない。経験でそこを補うしかないのである。
ところが、世の中には自称デザイナーという人もいて、こいつらはやっかいである。印刷現場をほとんど知らないのだろう、あるデータを作れば、それがイメージどおりに印刷に反映されると思い込んでいる。したがって、印刷された仕上がりを見ると、「こんなんじゃない!」とバカげたことを言い出すやつが昔いた。さすがに、そういう連中は淘汰されていることだろう。

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