風塵社的業務日誌

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諏訪行(3)

2014年07月28日 | 出版
というわけで、うなぎ屋さんに入る。お昼時を過ぎているせいか、お客さんは誰もいない。奥からおばあちゃんが出てきて、足が悪いので、奥の方の席に着いてくれと言う。それで、一番奥の座敷席に入る。メニューを見つつ店内を見渡したら、「三河産うなぎ」というポスターが貼られている。
それで、ようやく納得。諏訪のうなぎなんて、これまで聞いたことがなかったのだ。諏訪湖から流れ出す天竜川の河口で養殖されているうなぎが諏訪に運ばれ、それでうなぎ屋さんがさかんになったということなのだろう。
我々はおとなしく、ビールとうな重の梅をお願いする。三河産のうなぎとはいえ、炭火焼の香ばしさがただよい、美味しいうな重であった。安曇野とはまたちがう食文化があるのだなあと実感する。
ようやく腹も落ち着いたところで、諏訪湖へと向かってみることにする。そのうなぎ屋さんから少し歩けば、もう諏訪湖である。諏訪湖のいいところは、湖全体が一望に見渡せることである。琵琶湖や霞ヶ浦となると、広すぎて全貌を視界に納めるということはできない。ところが諏訪湖の場合、「ああ、湖が広いなあ」と全体的に実感できるところによさがあると、小生は勝手に思っている。
しかし、空は急にどんよりと曇ってきて、湖面も暗くなってきた。妻に時間を聞けば、15:00近い。妻が「早く宿にチェックインしよう」と言い出す。もう少しポケーと湖面を眺めていたかったけれど、雨に祟られるのは歓迎しない。宿へと向かうことにした。
宿の隣にコンビニがある。宿に入る前に、コンビニに入り、真澄の四号瓶とチェーサー代わりの水を購入。コンビニを出るとどしゃ降りになりつつある。あわてて宿に駆け込むことになる。夕食の時間がどうの、風呂の時間がどうのという細かい説明を受けるのは妻にお任せし、部屋に入るなり、小生は真澄を開けてみることにする。
久しぶりに飲んだ真澄であるが、やはり、小生の口に合うものではない。甘ったるさが、どうにも好きになれないのだ。どうやら、小生は真の日本酒党にはなれないのだろう。やむなし。
窓外を眺めると、急などしゃ降りに、傘を差さない人が湖畔をあわてて走っている。早々に宿に入ってよかったとわが身の幸福を祝しつつ、真澄をちびちびなめることにする。「しかし、困ったなあ。予定をどうしよう」と妻と話をするものの、この大雨では出かけるわけにもいかない。
そこで窓を開けてみたら、外の空気があまりにひんやりしているのでびっくりした。とても、7月の気温とは思えない。さすがは信州である。いささか信州ばなめっとったねえと、信州人たる小生も反省することにする。
そこで、小生がまだ高校生のとき、確か6月だったと思うけれど、松本駅のホームでぶるぶる震えているサラリーマン二人組に遭遇したことを思い出した。「寒いねえ」「寒いですねえ」と、スーツ姿の二人が言い合いながら、早く新宿行きの特急が来ないかなあという風情であった。そんな会話を聞きながら、「そんなに寒いか?」とボロをまとった小生は思ったものであるけれど、いやあ、信州は寒いわ。久しぶりで、すっかり忘れておりました。
特にやることもなく、ポケーとテレビと窓外を眺めつつ、だらだら酒を飲んでいたら、だんだん酔っ払ってきた。どうも真澄は妻の口にも合わないらしく、飲み干すのは小生の責任のようだ。それもまたやむなし。
そのうち、陽が差してくる。どうやら雨が上がりそうだ。それならば、近隣でも探索にでも行くべえと、宿を出ることにした。まずは近くの高島城に行ってみることにする。フロントに道順をたずねたら、目の前の道をまっすぐ行けばすぐですよとのこと。
雨上がりの田舎道を歩いていく。時折、対向車が通るのだけれど、こいつら、そろいもそろって歩行者をよけるのが下手すぎる。あまりに下手なのでおかしくなり、対向車が見えるとわざわざ車道側に少し出張ってみたら、反対車線に完全に入り込んで歩行者をかわしていく。ドライバーをからかういやな歩行者で、どうもすみません。
徒歩10分もかからず高島城に到着。最近になって再建された、3F建てのこじんまりとした天守閣である。300円を払って中へと入る。「な~んや、こりゃ。こっちはくさ、天下の名城松本城ば、毎日仰ぎよったとばい」などと乱暴なことを言ってはいけない。ここはここで、諏訪氏の情念が凝縮している場所なのだ。それに比べて、松本城はドラマ性が乏しい。
内部の掲示を見て勉強になったのは、そのお城が健在であった当時は、諏訪湖に面していたということである。つまり、近世に入って諏訪湖もずいぶん埋め立てられて現在の大きさになっているのであるけれど、その昔は形状もずいぶんとちがっていたことだろう。
3Fまで上がると、外のベランダに出られる。出てみると、涼しいどころか、肌寒い風が吹いている、長袖のシャツを着てきてよかったなあと思ってしまう。諏訪は涼しくていいところだなあと感じ入ってしまった。
(諏訪のことを書くのに段々飽きてきたので、続きはないかもしれない)

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