風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

金沢へ(3)

2018年10月26日 | 出版
人間は腹が減ると不機嫌になる動物である。特に妻の不機嫌とは向かい合いたくない。とにもかくにも、食堂を探すことがプライオリティNo.1である。しかし、日曜の午後の住宅街。そう簡単に観光客にとって都合のいい店など見つかるわけがない。都合がいいとは、チェーン店ではなく、地元のお店でできれば地元の名物なんかを出してくれるところという意味だ。大通りをブラブラ金沢文庫駅方面へと歩いていく。あちこちに巨大な団地やらマンションやらが建ち並んでいる。川では釣りをしている人の姿もある。公園ではガキどもが元気よく走り回っている。住みやすそうなところだとは思うけど、まさか、金沢八景からジョギングで通勤できるわけはないだろう。
そのうち、右手に警察署の交通標識の看板が見えてきた。その隣りは金沢区総合庁舎で、さらにその隣りは大きな消防署だ。そこが、区としての行政の中心になるのだろう。総合庁舎は三角形のモダンな形で、『ブレードランナー』のタイレル社のような雰囲気だ。その手前にもなにか建築中のようなので、また近未来なものでも造るのだろうか。
そこを通り過ぎると、しゃぶしゃぶチェーン店の木曽路のような和食屋さんがある。「和食、しゃぶしゃぶ」と出ている以上は、肉のきらいな小生でも食べれるものがあるんじゃないかと思う。「ここはどう?」と妻にたずねると、「なんだかチェーン店ぽくっていや」げな。オイオイ、腹が減っているんじゃないのかと思いつつも、妻の命令は絶対である。文句の一つでもいいたい気分ではあるけれど、お互いに不機嫌な状況でいさかいを起こしてもしょうがない。
そこを通り過ぎると、ようやく金沢文庫駅に向かう道になるようだ。駅前ならなんかないかなあと、とりあえずは駅を目指すことにする。駅前商店街に差し掛かるが、日曜なので休んでいるお店が多い。たまに開いているのは、焼肉やら焼鳥やらで困ったなあと思っているうちに商店街のはずれまで来てしまった。するとそこに、地球食堂なるなにやら不思議なネーミングのお店が看板を出しているではないか。店の外に出ているメニューを見ると、お魚系の定食屋さんのようだ。これはラッキーとそのお店に入ることにする。すでに13:30くらいだったろうか。
店内は満員に近く、空いているテーブルは入り口の手前の席のみ。そもそもが金沢文庫に来たことがないのでよく知らないが、人気のお店なのだろうか。店員さんに「ここでいいですか?」と空いている席を指しつつたずねると、「はい、どうぞ。いまお茶持っていきます」。待たずに入ることができ、ラッキーの二乗である。テーブルのうえに何枚も手書きコピーのお品書が置かれている。それをパラパラ見て、小生は焼サンマ定食に決定。北海道なんとか産のサンマとある。相州に来たからといって、相模湾の魚にこだわる必要などない。サンマを食べたいのだ。
妻がなんかの刺身定食を注文しようとしたら、「ごめんなさい。さっき売り切れちゃいました」。ヒャハッハハ。日ごろの行いが悪いせいである。ビールを飲みつつご飯が出るのを待っていると、そのお店は2階もあるようだ。うえから、観光客やら家族連れやらが降りてくる。そのうえ、ひっきりなしに新規のお客さんも入ってくる。お客さんが勘定の際、「ここは何時まで営業されているんですか?」とお店の人にたずねると、「ずっと営業していて、3時からは定食をやめてあとは飲み屋なんです」。ヘー、今度は酒を飲みに行こうかなあと考える。
そこで出てきましたサンマ定食。旬のサンマは、相州に限る(わけがない)。小鉢の刺身やら天ぷらがついていて、ビールを飲んでいるどころじゃない。おいしかったし、ヴォリュームは豊かで予は満足じゃ状態となる。妻も満足げな表情を浮かべている。わざわざ金沢文庫駅まで歩いてきたかいがあったというものだ。本当にまた来ようかなあ。海釣りなどしたことがないし、船に乗ってもゲロを吐くだけだろうからしたくもないが、相模湾も魚の豊富なところなのだろう。その近海で獲れた魚を出してくれるお店(かどうかは知らないけれど、ここではそうしておこう)にめぐり合うことができ、しかもビールの軽い酔いも合わせてハッピーな気分だ。金沢文庫でビールを飲みサンマを食べただけでハッピーになれるのだから、小生のハッピー係数はかなり低いのかもしれない。それもまたよかろう。
お腹が満ちたところで、ようやく称名寺へと向かうことにする。その前にまずはオシッコだ。駅ビルに行けばトイレくらいあるだろうと、金沢文庫駅に行ってみる。すると、セブンイレブンやら薬局やら、いろんなお店が入っていて利用者には便利なのだろうけれど、肝心のトイレは改札の内側のようだ。しょうがない。しばらく我慢することにしよう。いざとなったら、わが黄金水を金沢文庫の地に振りまくだけである。きっと豊かな土壌になることだろう。
駅から出て表示板で金沢文庫と称名寺の位置を確認する。なんだ、隣りあわせじゃないかと理解した。そのふたつがどういう関係性なのかをまったく知らないが、とにかく、バスで向かうほどの距離でもなさそうだと、妻と歩いて向かうことになる。

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