植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

実りおくれていた奥地のヤナギイチゴを利用したサラダ

2009-08-12 19:50:44 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
野菜サラダに、完熟したヤナキイチゴの集合果を散らしたら、不思議な味を愉しむことができた。

ヤナギイチゴ Debregeasia edulis (Sieb. et Zucc.)Weddell(ヤナギイチゴ属)
本州(関東南部~近畿南部),四国,九州,琉球,台湾,中国に分布。
暖帯の南部から亜熱帯の北部にかけて,海岸地方の湿っぽい常緑樹林の林縁,渓流ぞい,ときに,ゆるく傾斜した荒地にはえ,どこにでもある種ではないが,ところどころで,2-3mの高さに茂っている落葉潅木。

葉は披針形-線状長楕円形, 縁に細鋸歯があり,長さ 7-15㎝, 風が吹くたびに葉が翻って, 白綿毛の密生した葉の裏がちらちら見える。

花は4-5月,雌雄異株。雌花の花被片は,壷形に合着して子房を囲む。
 
子房は成熟して,痩果になり,花被は多汁質の果皮となり,合着して痩果を包む。
これが多数集まった複合果は,径 5-7㎜,6月ころ,橙黄色に熟れる。

《食用事情》
果実は, コウゾの実のように,ねっとりして甘みがあり,薬草的なクセのある味。複合果全体が軟らかく,野菜サラダに散らし入れて,彩ったり,冷や汁に浮かべたり,ゼリー固めをつくる。