天敵

友人Ｔは地バチ（黒スズメバチ）を好物とすることから地バチの天敵だ。地バチには"ハチクマ！（タカ科の猛禽類）”という怖い天敵が存在するんだとか・・・その意味で言うと、Ｔは人間界のハチクマとも言える。
少し前のこと、その人間の顔をしたハチクマの八っつぁん（Ｔのことね）がね、バイクに乗りオイラん家にやって来たんですな。
バイクを降りたＴの表情はと言うと、普段の仏頂面とは打って変わり妙に顔がほころんでいるような？「八っつぁん、何か良いことあった？」
もどかしげにヘルメットを脱いだＴは「へっへっへ・・・ついに地バチの巣を見つけたでぇ～」と言うと満面の笑みを浮かべた。「ハハ～ン、ヨダレが出ていたのはそのせいなのね？」

　　　稀少な"ミヤマクワガタ"


上のミヤマクワガタは、他にも何箇所か地バチの巣を探そうぜと言うことで、この後オイラも一緒に近くの山へと同行した折偶然見つけたものだ。
オイラが子供の頃、このミヤマクワガタのことを"オバケ"と呼んで、その辺に行けばゴロゴロいたものだが、最近見かけなくなって久しい。
ミヤマクワガタと言うと、いつの日だったかは忘れたがマツタケ採り名人で雑学に長けるＴちゃんが面白いことを言っていた。
「ミヤマクワガタは、オレん家の方では"マクラショイ"って言うんだぜ。頭の天辺を見てみな、枕を背負っているように見えるだろ」ってね。
成程マクラショイとは上手いネーミングだが、更にＴちゃんは続ける。「最近このミヤマクワガタが稀少で高値で売買されていて、型のいい奴だと一匹２～３千円もするらしいぞ」と仰る。
「何故、ミヤマクワガタが減っているか知ってるか？」とオイラに尋ねるのだが、「オイラ学者ではないから知らない」と答えると、「それはな、イノシシが増えたせいだ。イノノシシが地中をひっくり返して幼虫をぜ～んぶ食っちまうからだ」
地バチには八っつぁん、ミヤマクワガタにはイノシシちゃんの天敵・・・そんでもって、オイラの天敵はカミさんだったりして・・・

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