こんばんは。Aokiです。
時代に関する考察は、どの観点で行うかにより、
ときに真逆な展開になることがあります。
そもそも当ブログ『ウイスキーの刻』で、
時代考察を行う必要があるのかといえば・・・
ある(と思う)のです。
私たちは、天空の国で暮らしているわけではありません。
また、ひとりひとりが、
単独で生きているわけでもないのです。
好むと好まざるとに関わらず、時代の恩恵を受け、
一方では、時代に翻弄されます。
“ウイスキーの刻”は不変だとしましても、
どの時代を生きるかにより、
その扉の在処は影響されるものと思われます。
その点を踏まえて、時代考察をしたいと思います。
「昭和」から「平成」を経て「令和」になりましたが、
人々の生活態様と価値観に大きな影響を及ぼしたものとして、
「テクノロジー」の変遷を考えてみましょう。
少し退屈な場面もあろうかと思いますが、
ご一緒にお考えいただけますと幸いです。
なお、『ウイスキーの刻』の趣旨を考えますと、
「テクノロジー」自体を精緻に展開するものではありません。
むしろ、そのフィルターが映し出す世界、暮らし、
そして未来に重きを置いております。
(本文中、敬称略にて失礼いたします。)
☆☆☆
まず、私にとっての『和暦』の意味合いをお伝えします。
非国民(今では死語?)と言われるかもしれませんが、
実は、私はあまり和暦に関心がありません。
日々、等しく大切な一日ですので、
ある塊をもって特別な名称にする必要はあまり感じておりません。
しかし、歴史考証や時代の考察を行う際には、
和暦や王朝名は便利だということは理解しております。
そこで、「昭和(以前も含め)」・「平成」・「令和」を、
象徴的に比較してみようと思った次第です。
1.テクノロジーによる生活の変化
■昭和
ウイスキー業界では、連続式蒸留機の登場が、
機械化の象徴だったように思います。
これは、1826年にロバート・スタインが原型をつくり、
1831年にイーニアス・コフィが改良の上、
特許(パテント)を取得したものです。
それまでの単式蒸留器は、読んで字の如く、
器であり、機械ではありませんでした。
以後、機械が産業の著しい成長の立役者として、
活躍した時代でした。
そして、昭和も後期に入り入りますと、
新たな芽吹きがありました。
コンピュータです。
コンピュータの登場は、物理的な機械文明から、
より高次な世界への扉となりました。
初期のスタイルは、コンピュータ=計算機
といったレベルでした。
大型のコンピュータ(ホストコンピュータ)による、
データの大量高速処理が象徴的です。
コンピュータの導入と進化の背景には、
学術的には時間の短縮があり、
営利団体においては、業務の効率化によるコスト削減
という理由があったようです。
当時のコンピュータは大型であり、高額でもありましたので、
一般家庭に普及することはありませんでした。
ここで意識すべきことがございます。
先ほど、「データ」と申し上げましたが、
当時は「情報」という概念は、
まだ捉え切れていない時代だったように思います。
やがて、パーソナルコンピュータ(PC)の普及により、
事業の場面では、一人1台のPCが当たり前になっていきました。
この頃になりますと、家庭でも手軽にPCを保有することが
可能になりました。
コンピュータは、「家庭にはない特殊なもの」から、
「程度の違いはあれ、誰でも手軽に関われるもの」に変わっていきました。
時を同じくして、エンターテイメントの世界も同様になりました。
芸能人は、かつては「スター」と呼ばれ、
高嶺の花、一般人とは別世界の人でしたが、
いつしか身近な存在になり、
ブラウン管による仕切りが次第に曖昧になっていきました。
一方的に見せるスタイルから、
視聴者と共につくる世界への転換が進み始めたのも
この頃だったように思います。
コンピュータも、通信技術の進化と連動し、
後の「IT革命」へとつながっていきます。
■平成
コンピュータは、単なるデータ処理の機械ではなく、
分析や表現のツールになることに加え、
より日常的に、小型になっていきました。
また、より複雑な工程を、
想定された範囲の環境に応じ、
対処できるようになりました。
スコッチ業界でも、
ウィリアム・グラント&サンズ社所有のガーヴァン蒸留所や、
ディアジオ社所有のローズアイル蒸留所といった「メガ蒸留所」が、
コンピュータ制御により、職員1~数名のみで
オペレーションを行っています。
この時代を象徴する技術として、
「通信」という手段が一方通行から双方向になり、
人間のコミュニケーションの中心的な役割を
担うようにもなっていきました。
IT(Information Technology 情報技術)という無機質なものから、
コミュニケーションという生物的な色合いが濃くなりました。
そのため、「IT」の進化形として
「ICT(Information and Communication Technology)」
という言葉が使われるようになりました。
データと情報も混然一体となり、
各人、各団体がそれぞれ情報収集する時代から、
世界中の膨大なデータ(ビッグデータ)や情報を
活用する環境が生まれてきました。
他者が持っていない「情報」を保有し、
活用することがビジネスの成功の鍵となっていた「昭和」に対し、
収集すべき「情報」の質が問われる時代へと移行していったのです。
そして、「情報」を持っているだけではなく、
いかに効果的に「発信」するかが重要視されるようになりました。
■令和
5G、AIの実用化、スマートシティ、キャッシュレス、
スマホの定着、SNS・・・
これらが創り上げつつある未来は、
コンピュータや通信が、もはや人間の道具ではなく、
人体の一部と化している世界です。
映画「ターミネーター」をイメージされた方も
いらっしゃると思いますが、
タイムマシン以外は、その世界に近いかもしれません。
タイムマシンだけは、多次元の理論展開が必要であり、
単純に同一次元の過去や未来に行くというわけにはいかないでしょう。
☆☆☆
ざっくりとした時代考察でしたが、
各時代を一言で示すとすれば、以下のようになろうかと思います。
・昭和
「コンピュータ創世記」
~データ処理の時代~
・平成
「通信技術との融合によるコミュニケーション期」
~情報意識の時代~
「オペレーション管理・制御等の進展期」
~代替労働の時代~
・令和
「人間とのボーダーレス進行期」
~生物以外の疑似人格形成時代~
明日は、『価値の変遷』を取り上げたいと思いますが、
「鶏が先か卵が先か」と同様に、
「テクノロジーが先か価値観が先か」
という視点でも考えていただきたいと思います。
そして、このテーマがどこに繋がるのかは、
やがて明らかになります。
★★★
このシリーズでは、ふたつのキーワードを
意識しておく必要があります。
「表しかないコインは存在しない。」
「肉体の限界を超える乗り物は、
肉体を破壊するリスクも搭載している。」
このご説明は、後ほどさせていただきます。
Z.Aoki
時代に関する考察は、どの観点で行うかにより、
ときに真逆な展開になることがあります。
そもそも当ブログ『ウイスキーの刻』で、
時代考察を行う必要があるのかといえば・・・
ある(と思う)のです。
私たちは、天空の国で暮らしているわけではありません。
また、ひとりひとりが、
単独で生きているわけでもないのです。
好むと好まざるとに関わらず、時代の恩恵を受け、
一方では、時代に翻弄されます。
“ウイスキーの刻”は不変だとしましても、
どの時代を生きるかにより、
その扉の在処は影響されるものと思われます。
その点を踏まえて、時代考察をしたいと思います。
「昭和」から「平成」を経て「令和」になりましたが、
人々の生活態様と価値観に大きな影響を及ぼしたものとして、
「テクノロジー」の変遷を考えてみましょう。
少し退屈な場面もあろうかと思いますが、
ご一緒にお考えいただけますと幸いです。
なお、『ウイスキーの刻』の趣旨を考えますと、
「テクノロジー」自体を精緻に展開するものではありません。
むしろ、そのフィルターが映し出す世界、暮らし、
そして未来に重きを置いております。
(本文中、敬称略にて失礼いたします。)
☆☆☆
まず、私にとっての『和暦』の意味合いをお伝えします。
非国民(今では死語?)と言われるかもしれませんが、
実は、私はあまり和暦に関心がありません。
日々、等しく大切な一日ですので、
ある塊をもって特別な名称にする必要はあまり感じておりません。
しかし、歴史考証や時代の考察を行う際には、
和暦や王朝名は便利だということは理解しております。
そこで、「昭和(以前も含め)」・「平成」・「令和」を、
象徴的に比較してみようと思った次第です。
1.テクノロジーによる生活の変化
■昭和
ウイスキー業界では、連続式蒸留機の登場が、
機械化の象徴だったように思います。
これは、1826年にロバート・スタインが原型をつくり、
1831年にイーニアス・コフィが改良の上、
特許(パテント)を取得したものです。
それまでの単式蒸留器は、読んで字の如く、
器であり、機械ではありませんでした。
以後、機械が産業の著しい成長の立役者として、
活躍した時代でした。
そして、昭和も後期に入り入りますと、
新たな芽吹きがありました。
コンピュータです。
コンピュータの登場は、物理的な機械文明から、
より高次な世界への扉となりました。
初期のスタイルは、コンピュータ=計算機
といったレベルでした。
大型のコンピュータ(ホストコンピュータ)による、
データの大量高速処理が象徴的です。
コンピュータの導入と進化の背景には、
学術的には時間の短縮があり、
営利団体においては、業務の効率化によるコスト削減
という理由があったようです。
当時のコンピュータは大型であり、高額でもありましたので、
一般家庭に普及することはありませんでした。
ここで意識すべきことがございます。
先ほど、「データ」と申し上げましたが、
当時は「情報」という概念は、
まだ捉え切れていない時代だったように思います。
やがて、パーソナルコンピュータ(PC)の普及により、
事業の場面では、一人1台のPCが当たり前になっていきました。
この頃になりますと、家庭でも手軽にPCを保有することが
可能になりました。
コンピュータは、「家庭にはない特殊なもの」から、
「程度の違いはあれ、誰でも手軽に関われるもの」に変わっていきました。
時を同じくして、エンターテイメントの世界も同様になりました。
芸能人は、かつては「スター」と呼ばれ、
高嶺の花、一般人とは別世界の人でしたが、
いつしか身近な存在になり、
ブラウン管による仕切りが次第に曖昧になっていきました。
一方的に見せるスタイルから、
視聴者と共につくる世界への転換が進み始めたのも
この頃だったように思います。
コンピュータも、通信技術の進化と連動し、
後の「IT革命」へとつながっていきます。
■平成
コンピュータは、単なるデータ処理の機械ではなく、
分析や表現のツールになることに加え、
より日常的に、小型になっていきました。
また、より複雑な工程を、
想定された範囲の環境に応じ、
対処できるようになりました。
スコッチ業界でも、
ウィリアム・グラント&サンズ社所有のガーヴァン蒸留所や、
ディアジオ社所有のローズアイル蒸留所といった「メガ蒸留所」が、
コンピュータ制御により、職員1~数名のみで
オペレーションを行っています。
この時代を象徴する技術として、
「通信」という手段が一方通行から双方向になり、
人間のコミュニケーションの中心的な役割を
担うようにもなっていきました。
IT(Information Technology 情報技術)という無機質なものから、
コミュニケーションという生物的な色合いが濃くなりました。
そのため、「IT」の進化形として
「ICT(Information and Communication Technology)」
という言葉が使われるようになりました。
データと情報も混然一体となり、
各人、各団体がそれぞれ情報収集する時代から、
世界中の膨大なデータ(ビッグデータ)や情報を
活用する環境が生まれてきました。
他者が持っていない「情報」を保有し、
活用することがビジネスの成功の鍵となっていた「昭和」に対し、
収集すべき「情報」の質が問われる時代へと移行していったのです。
そして、「情報」を持っているだけではなく、
いかに効果的に「発信」するかが重要視されるようになりました。
■令和
5G、AIの実用化、スマートシティ、キャッシュレス、
スマホの定着、SNS・・・
これらが創り上げつつある未来は、
コンピュータや通信が、もはや人間の道具ではなく、
人体の一部と化している世界です。
映画「ターミネーター」をイメージされた方も
いらっしゃると思いますが、
タイムマシン以外は、その世界に近いかもしれません。
タイムマシンだけは、多次元の理論展開が必要であり、
単純に同一次元の過去や未来に行くというわけにはいかないでしょう。
☆☆☆
ざっくりとした時代考察でしたが、
各時代を一言で示すとすれば、以下のようになろうかと思います。
・昭和
「コンピュータ創世記」
~データ処理の時代~
・平成
「通信技術との融合によるコミュニケーション期」
~情報意識の時代~
「オペレーション管理・制御等の進展期」
~代替労働の時代~
・令和
「人間とのボーダーレス進行期」
~生物以外の疑似人格形成時代~
明日は、『価値の変遷』を取り上げたいと思いますが、
「鶏が先か卵が先か」と同様に、
「テクノロジーが先か価値観が先か」
という視点でも考えていただきたいと思います。
そして、このテーマがどこに繋がるのかは、
やがて明らかになります。
★★★
このシリーズでは、ふたつのキーワードを
意識しておく必要があります。
「表しかないコインは存在しない。」
「肉体の限界を超える乗り物は、
肉体を破壊するリスクも搭載している。」
このご説明は、後ほどさせていただきます。
Z.Aoki