カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

Hello, My Name means Me

2019-02-17 23:00:00 | スポーツその他


DDTグループ、2月の両国2連戦が終わりました。

昨年3月の両国大会でアナウンスがあったときから、
私はすでに仕事の予定があり頭を抱えましたが、
念入りに念入りにどうにか土曜日だけでも空けられるように、
丁寧に丁寧に仕事を移譲し、2.16マッスル両国大会のみ、
無事観戦することができました。

本日2.17のDDT両国大会も職場で仕事をしながら
こっそりDDT UNIVERSEでチラチラ観戦していて、
映像だけで見る試合の模様がとても面白かった…の、ですが。

正直、
昨日のマッスル両国大会があまりにも素晴らしすぎて、
完全なる放心状態で、中々色々なことが頭に入ってこない状況にあります。

何故そこまでのことになっているのか。
それは一つの出来事に端を発していて。

大会のメインイベントが、アントーニオ本多vsDJニラだったこと。

その感動を思い出すだけで、未だに涙が溢れてくるのです。



マッスル両国大会の素晴らしさは、
今現在の私のテンションだと、
どこから語り始めても止め処ありません。

RHYMESTER宇多丸のあまりにも美しい開会宣言というパフォーマンス、
第一試合として引退試合を戦ったペドロさんの52歳にしての充実の試合ぶり、
“プロレスラー・青木真也”の正しい使い方、
マッスルにおけるヤス・ウラノ&大石真翔&大家健のユーティリティぶり、
大きくなって帰ってきた酒井一圭と純烈、
そして、スキャンダルにより去った仲間を“無かったこと”にしない描写、
純烈に入りたい征夫さんのカッコよさと可愛らしさ、
“アントーニオ本多・クラシック”渡辺哲の圧倒的表現力、
山里亮太の場の空気を維持する能力、
クロちゃんの素晴らしいリングセンス…etcetc








語りたいポイントを上げ始めたら、
それこそ枚挙に暇がない。

でも、何より恐ろしかったのは、凄かったのは、
これだけの圧倒的熱量のある前半を、
自分たちのこだわり…“マッスルだからできる両国メインイベント”という形で、
普段どおりの自分たちをさらけ出すことで、
さらに莫大なエネルギーを生み出したこと。


…いや、
正直、あれなんです。
正面側最前という一番テンション高い席にいたので、
何となく興行全体の雰囲気とかイマイチ掴めてなくて、
あのメインに対して会場がどのように捉えていたのか、
全く正確に把握してないんです。


でも。
“マッスルだからできる両国メイン”のメインイベンターに、
アントーニオ本多が指名されたこと。

そして、その対戦相手がその日試合をしていないマッスルメイツ…
というか、“彼”の影がその時点でリングにあった時点で、
涙が溢れて止まらなくなりました。




マッスル坂井は、このマッスル両国メインイベントについて、
前述の通り“マッスルにしかできない両国メイン”とすること、
“知名度がなく、あまり勝たない、けど、いいレスラー”…
アントーニオ本多を(ブルー・オーシャン戦略として)メインイベンターとすることを、
得意のパワーポイントで発表していきます。
そして、問題のメインの対戦相手として、
自分たちと非常に関わりの深い、
“週プロ選手名鑑にもオファーが来てほしくないからという理由で載せていない、
年に2、3回しか試合をしない、面倒くさい男”
…リングに現れた…というか、
いつの間にかリングに佇み続けていた男に、ピンスポットを当てました。



「ニラちゃん。…ニラちゃん、
両国メインでアントーニオ本多と戦うため、
リングに上がってくれますか?」

「もう上がってますー」




リングに佇み続けていた男・DJニラは、
アントーニオ本多と両国メインイベントで対峙することを
独特の調子で、しかし、全くの躊躇なく受け入れた。

やっぱり、涙が止まらなかった。













この興行、特にこの試合については、
多くのプロレスラーがやっぱり溢れる言葉を抑えきれず、
様々な言葉を発しています。

個人的には、大会終了直後にTwitterとツイキャスで語っていた、
我闘雲舞代表・さくらえみ選手の試合に関するコメントが、
とても印象的で、かつ、しっくりきました。

団体でも両選手上がっていて、関わりの深いさくらさんは、
興行の素晴らしさをツイキャスで1時間に渡り語り続け、
この試合…
いや、この試合を両国メインに実現させたマッスル坂井に対し、
「おこがましくも嫉妬している」とTwitterに綴り、
ツイキャスでは、「ちょっと、いや、ちょっとどころではない嫉妬」を覚えたと語りました。

その要因というかなんというか、
両国メインに立つ二人は、あまりにもありのまま。

独特の動きでヘッドロックを抜け出すアントーニオ本多、
全く“コシ”のない受け身のDJニラ、
成功しないDJタイム、成功しないラ・ケブラーダ、
「え?そんな伝わり辛いことやるの?」とさくらさんをも思わせたDJにらのリバース足4の字固め…

いつものアントーニオ本多であり、いつものDJニラとして戦っていました。
でも、その一方で、リングでの間合いや、立ち振る舞いは、
「メインイベンターに許された立ち振る舞い」(さくらさんツイキャスより)
であったこともまた、強調しておきたいところです。

二人のシングルマッチは初めてではなく、
過去の「マッスル」でも、何故か大会のダークマッチという形で実現しています。
その試合でアントーニオ本多はマイクを持ち、
「お前が前の団体を“なんだコレ?”って形でいなくなって」モヤモヤしてしたこと、
でも、マッスルのダークマッチという形のながらリング上で再会できたことを、

「神様からの贈り物だと思ってます。ありがとう。また、何処かで逢おうな。」




もしかしたらマッスルという枠組みを逸脱していたかもしれない、
DJニラという選手への思いを語っていました。



私は昨日の試合についてどういう空気感だったのか、
冷静な判別はできないんですけれど、
でも多分きっと、殆どの人に伝わったんだろうと信じてます。

そして恐らく。

二人とも、両国メインを戦うに相応しいことを、
プロレスラーとしてずっとずっと続けてきた。
けれど、それに相応しい場が、状況が、舞台がなかった。
でもそれを、マッスルは、“マッスルにしかできない両国メイン”という形で実現した。

…それはなんて尊い“神様からの贈り物”なんだろう。





RHYMESTER宇多丸さんの開会宣言は、
唐突に始まったことのようで、その実、
この日の全てを集約していました。

宇多丸さんは、マッスルが行われることについて、
映画「ロッキー」を「負け犬達のワンスアゲイン映画」として引き合いに出しつつ、
「ロッキー」を評した映画評論家・荻昌弘監督の言葉を引用されました。

「これは人生“する”“しない”の分かれ目で、“する”という方を選んだ、勇気ある人々の物語です。」



「人生は一瞬一瞬が選択の連続だ」
「今までしてきた全ての選択は、過ちじゃなかった」

アントーニオ本多選手のフォロワーであり、友人である、
トランザム✳ヒロシ選手のインスタグラムからの引用です。

開会宣言冒頭で「ロッキー」を引き合いに出した宇多丸さんは、
さらにその続編である「クリード」について言及して言葉を紡ぎます。
クリードの戦う意義。
それは、「“過ち”ではないと、しょうめいすること」。
そして、再びまたここでマッスルが行われることは、存在証明なのだ、と。





マッスル坂井は、アントーニオ本多とDJニラを
“マッスルにしかできない両国メイン”に“する”ことを選択した。

アントーニオ本多は、そしてDJニラは、
そのままのプロレスラーとして、ありのまま、戦うこと、
“する”ことを選択した。

かくして、“する”ことを選んだ彼らの勇気は、
過ちではなかったことが証明…
いや、たとえ証明されなかったとしても、
見届けるという、“する”という選択をした観客が、
誰しもが証明する。してみせる。



両国国技館メインイベントという舞台で、
二人のプロレスラーが、そして興行を紡いだ全員が果たした、
存在証明。

その在り様があまりに眩く、
あまりに満たされていたことを、
ここに綴り、記憶に刻みたいと思いました。


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