司法修習備忘録

多忙な司法修習にめげず、最低月1回、メモを残そうと思います。

導入修習13日目

2015年12月18日 | 日記
1 和光菌は実在した
最近、風邪の人が多い。
かくいう私も風邪気味である。
慣れない環境(それもそれなりに劣悪な環境)でのストレス、実務修習地に赴任する準備の忙しさなど、理由はいろいろあるだろう。
将来の修習生の皆さんには、
「できる課題は早めにやる」(導入修習開始後に提出する課題についても、白表紙と一緒の箱に入っているなら、修習開始前に終わらせてしまう。その際、サッサと済ませる方法については後日書くつもり。)
「初日に気合いを入れ過ぎない」(むしろ居眠り上等くらいの感覚で問題ないと思われる)
「飲み会を断る勇気」(この点は私が唯一実行できた事項である)
以上3点をアドバイスしておきたい。
修習専念義務とかなんとか言っているが、修習に気合いを入れ過ぎて病に伏せってしまっては本末転倒である。

2 民裁 事前課題解説
DVDを鑑賞しつつ、教官が解説する、という、各クラス共通プログラムを延々消化していく。
予習は不要、というか、事前課題を解く過程で、事案はすでに検討済みであろう。
DVDとスライドが完璧に用意されているので、その方向に生徒を誘導するため、教官は四苦八苦しておられた。
空気を読むことの重要性を感じる瞬間である。
なお、これは教官の特性なのか、裁判官全体の傾向なのか判然としないのだが、教官は、生徒が「~~ということでしょうか?」と聞くのを大変嫌がっておられた。教官の誘導する方向の事物を的確に指摘し、「~~と考えます!」と断言するのが教官ウケする方法の一つと考えられる。

3 昼休み
B班は11時50分から昼休みに入った。午後も1時間民裁の講義が続くのに、なぜかこの時間に休みを取るのである。不思議なカリキュラムとしか言いようが無い。
ちなみにA班は12時50分から昼休みである。食堂が混まないように、という配慮なのだろう。この点だけは良く分かった。

4 民弁 執行保全1回目
白表紙の箱に一緒にプリントが入っているので分かることではあるが、普通に予習が求められる。
処分禁止の仮処分の具体例、と聞かれて、賃金仮払いと地位確認がさらっと出てこなかったのにはびっくりした。労働法選択者が少ないんだろうか。
ちなみに、この分野で覚えておくべきことは少ない。ただし、確実に覚えておかないと、集合修習起案の小問で痛い目を見る。
 (1) 保全の構造
  仮差押(法20)       →金銭支払請求訴訟→金銭執行
  占有移転禁止仮処分(法23Ⅰ)→明渡請求訴訟  →強制管理
  処分禁止仮処分(法23Ⅱ)  →登記請求手続訴訟→判決に基づく登記
   この3つの流れになるんだということを覚える
 (2) 保全命令申立の要件(法13)
  被保全権利
  保全の必要性
 (3) 債務者審尋の必要性
  仮の地位を定める仮処分(法23Ⅱ)だけは債務者審尋が必要。それ以外は任意的。
 (4) 債務者財産の探索
  探索段階ではとにかくいろんなものを上げてほしい(Brain Storming)。
  不動産を所有していなくとも、賃借している不動産があれば、敷金返還請求権の仮差し押さえを検討可能。ただし、基本的にそういう債務者は家賃も払っていないのが通常。よって期待薄。
  債務者の経済活動に与える影響を考慮して、固定的資産から順に攻めてほしい、というのが裁判所の要望
  (銀行預金のような流動的資産を仮差押してしまうと、ATMから金は下せないわ、不渡りは出るわで、債務者の生活が一瞬でフリーズしてしまう)
  会社であれば、登記簿上、支店が表示されている。支店の財産を抑えられないか検討。
  その他、HPや関係先聴取などあらゆる手段を使う。それでも手掛かりが無ければ、信用調査会社を使うという手もある。
 (5) 保全対象決定の際の考慮要素
  ①差押えの可能性(特定可能性、補足可能性)
  ②回収可能性(換価価値、保全余力)
  ③保全の必要性(債務者に与える影響)
  ④予想される担保の額(依頼者が調達できるか)
  ⑤債務者への影響(固定的資産から優先して押さえさせるのが裁判所の実務)
 (6) 仮差押解放金の決定における考慮要素
  仮差押対象物の価額(民事保全29頁を参照)
 (7) 強制執行を行う要件
  ①権利の存在(判決)
  ②執行力の現存(執行文)
  ③その他執行開始要件
 (8) 強制執行申立のための3点セット
  ①債務名義の正本(法25)
  ②執行文(法26以下)
  ③送達証明書(法29)
 (9) 債権執行において、差押段階で、執行が空振りに終わるか調査したい場合
  第三債務者の陳述の申立て(法147Ⅰ)
 (10) 債権執行において、第三債務者が任意に履行に応じない場合
  取立訴訟(法157)
  そのメリットについては法165参照
 (11) 債務者が、強制執行を止めたい場合
  強制執行停止の申立て(民訴法403)
  ただし担保金が高額(訴訟物(遅延損害金含む)の60~80%)

5 金曜日の歩道
和光市駅まで飲み会に向かう行列ができる。狭い道路を大量の人数がグズグズ動くものだから、自転車ユーザーが迷惑している。まあ、良好な生活環境の獲得だか何だか知らないが、そんなしょうもない目的のためにこんな狭い道にした和光市が一番悪いのだけれど。

6 飲み会
皆さん楽しまれたようで、何よりである。
私には何が楽しいのかさっぱり分からなかったが。

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