涼麻が行く ~白犬ウエスティの のんきな生活~

ウエストハイランドホワイトテリア(ウエス、ウエスティ、白犬)の涼麻(りょうま)のことを中心にいろいろと

庚申塔ウォーク#80

2021年07月07日 19時29分00秒 | 庚申塔

飯田橋駅から7〜8分で「筑土八幡神社」

五叉路に鎮座しています。

階段の中腹に新宿区内最古の石造鳥居がありますが、もうひとつ注目すべきは麓の標柱(しめばしら)

2本の柱の間に棒が渡されていて、道切りあるいは結界を張るような役割を担っています。通例では、しめ縄が渡されることが多いようです。

 

社殿は朱色ではなく、産鉄神である八幡神社としてベンガラ(=主成分が酸化鉄)色

 

お百度石と並んで庚申塔

 

この庚申塔は、新宿区立新宿歴史博物館によれば、寛文四年(1664年)造立とのことです。

二猿で構成されていて、極めて珍しい像容とされています。

 

上方に瑞雲つき日月。

 

雄猿は背伸びして桃の枝を手折っているか、あるいは雌猿のために引き寄せている感じです。雄猿の表情が奔放で とてもかわいらしい。

 

しゃがんだ雌猿は桃の葉がついた実を手にしてしている。

四谷心法寺の庚申塔では、三猿とともに二枚の葉がついた桃の実が刻されていました。このときの記事で、三尸の駆除法として、桃の葉のしぼり汁一升を飲む(「本草綱目」)という説を紹介しました。

その後、「月刊しにか」(陰陽五行特集、1999年12月号)を読んでいたら、五行に配される五菓というのがあって、木火土金水にそれぞれ5つの果実(季、杏、棗、桃、栗)が当てられているのです(「五行大義」第三巻)。五本木庚申塔のときに、「庚申」という干支は同じ五行が並ぶ「金・金」であること(12種類ある「専一」のうちのひとつ)を説明しましたが、五行と五菓の関係性からも「金」=「桃」という繋がりが浮かび上がってきます。

 

あらためて全体像。雄猿の左腕と雌猿の顔面が欠損しているのが残念ですが、

ここで、雌猿をじゃんけんのグー、雄猿をパーと見立てると、二猿の構成は中国武術の挨拶「抱拳礼」に思えてきます。「抱拳礼」は、右手の拳を左手の掌で包むことで敵意のないことを示すわけですが、同時に「太陽と月」を表しているのだそうで、そうなると、庚申塔に欠かせない「日月」がここにも描かれていることになります。

陰陽の対比から、雄猿が口を開けているのであれば、雌猿は口を閉じていたのではないかなどと、想像が膨らみます。

多層的な物語性があるとともに、二猿のバランスも良い、たいへん凝った造りの庚申塔です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国鉄コンテナ | トップ | いとかぼちゃ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

庚申塔」カテゴリの最新記事