2004年 訪日外客数・出国日本人数の動向
【訪日外客数】
2004年の訪日外客数は二桁増の約614万人
年計で初の600万人台を突破
2004年の訪日外客数は、前年比17.8%増(926,180人増の6,137,905人)となった。2004年の訪日外客数は、年間で史上初の600万人台に達した。目的別では、「観光客」は同25.7%増の3,839,661人、「商用客」は同7.9%増の1,383,117人となった。なお、訪日外客全体に占める「観光客」のシェアは62.6%と、1970年の大阪万博開催年(66.2%)に次ぐ高さとなった。
官民連携によるビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)事業と、JNTO・地方自治体・民間企業による外客誘致活動が繰り広げられた結果、2004年の訪日外客数は飛躍的に増加した。VJCの重点市場は当初、韓国、台湾、米国、中国、香港であったが、2004年4月以降、欧州地域(英独仏)が加わった。これらの市場に対する宣伝の強化が訪日客増につながったと考えられる。訪日外客の誘致活動が功を奏し、7月には単月で訪日外客数が史上初の60万人を記録した。
また、入国制度の緩和も、訪日外客増に大きく貢献した。2004年は、訪日外客の誘致・宣伝活動に呼応すべく、訪日査証発給等の緩和措置が取られた。香港人に対する訪日査証免除(4月)を皮切りに、韓国人・中国人訪日修学旅行参加者への査証免除(3月・9月)、中国人訪日団体観光旅行の査証発給対象地域拡大(9月)、台湾人訪日修学旅行参加者への査証発給手数料免除(9月)などが実施された。これらの措置は、対象市場の消費者に歓迎され、日本との心理的距離感も縮まった。香港では、香港人の訪日査証免除に合わせて宣伝活動も強化された。
さらに、中国人訪日団体観光旅行を取り扱う日中双方の指定旅行会社が大幅に追加(9月)され、訪日旅行商品の販売網が拡大されたことと、日本路線への新規参入航空会社による販売促進等として、香港で2004年4月から割安の団体運賃が設定され、訪日ツアーが人気を呼んだことも、訪日外客増にプラスに作用した。
上述の訪日外客増の要因を支えた背景として、東アジアの好景気や円安ユーロ高の進行が大きく後押ししたことは否定できない。東アジアでは好景気が追い風となり、外国旅行が極めて好調に推移し、訪日旅行者も増加した。また、円安ユーロ高が進行したことにより、ヨーロッパからの訪日客にとっては、訪日旅行がしやすい環境になった。
米国からの訪日客にとっては、円高の進行で、むしろ実質的に訪日旅行が割高となったものの、日本の消費者物価が安定していることが、円高による旅行経費の上昇を和らげる結果となった。欧米諸国では、2003年に新型肺炎(SARS)が流行した際、アジア旅行を手控える傾向が強まったが、これが解消され、2004年には訪日客増を後押しする結果となった。
2004年は、国内各地で外国人が多数参加する大型国際会議やインセンティブ・ツアー(報奨旅行)(→注参照)が相次いで開催された。また、日中・日台間を結ぶ新規航空路線が多数開設され、台湾・香港・韓国から北海道などへのチャーター便が多数運航された。更に、空港⇔都心間の移動時間の短縮が人気を呼び、羽田空港⇔金浦空港(韓国・ソウル)の定期チャーター便は搭乗率が約80%を記録するなど、訪日旅行の増大に寄与した。
注:「AIAインセンティブ」(大阪・3,800人)、「国泰人寿保険公司2004年グランプリ大会」(大阪/神戸/京都・3,350人・4月)、「第12回国際磁気共鳴医学会年次大会」(京都・4,500人・5月)、「国際ロータリー2004国際大会」(大阪・11,000人・5月)、「韓国アムウェイリーダーシップ・セミナー」(宮崎・6,000人・11月)、「第59回JCI世界会議福岡大会」(福岡・5,000人・11月)
2004年は上述のとおり、訪日旅行のプラス要因が多く挙げられるが、マイナス要因としては自然災害の発生が挙げられる。5月から10月までの間、19の台風が日本列島に接近・上陸し、しばしば暴風と豪雨に見舞われた。また、北陸の集中豪雨(7月)や、新潟県中越地震(10月)とその後に続いた余震が海外で報じられた。
[主要国・地域の動向]
地域別の動向を見ると、アジアからの訪日客数は前年比19.8%増(696,582人増の4,208,095人)、ヨーロッパからの訪日客数は12.0%増(78,030人増の726,525人)、北米からの訪日客数は15.7%増(125,478人増の923,836人)、オセアニアからの訪日客数は12.0%増(24,883人増の231,877人)となった。
訪日外客数・総数(上位10位)
訪日外客数・観光客(上位10位)
(※ 関連資料を参照してください。)
◆韓国 ~「訪日観光客」が初の100万人台を記録~
2004年の韓国人訪日客数は、前年比8.8%増(129,139人増の1,588,472人)、訪日外客数全体に占める割合は25.9%と国別でトップを記録した。韓国人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して増加し、首位の座を不動のものとした。目的別では、「観光客」は同13.1%増の1,037,483人、「商用客」は同1.8%増の374,442人となった。韓国人訪日客の増加は特に「観光客」によるものである。「観光客」は初の100万人台を記録した。
2004年には、日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞・雑誌、インターネット、各種イベント、ツアー造成などを通じて、韓国でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、韓国人訪日客が年間を通じて増加基調となった。韓国では、街歩き、大自然、温泉などの日本の観光魅力に加え、日本のゴルフ、スキー旅行がより注目されるようになった。
また、その他のプラス要因としては、韓国人訪日修学旅行参加者への査証免除(2004年3月)、週休2日制の普及、宮崎で開催されたインセンティブツアー(2004年11月)などが挙げられる。
一方、マイナス要因としては、新潟県中越地震とその後の余震、日本列島を通過した3つの台風(台風22号、23号、24号)など、2004年10月に集中した日本での自然災害が挙げられる。これらが韓国で報じられたため、訪日旅行が一時的に控えられる傾向が見られた。また、日本人訪韓客の需要が急増したことにより、韓国人訪日客向けの航空座席の確保が困難になるという現象が見られた。
◆台湾 ~台湾人訪日客数が初の100万人台を記録~
2004年の台湾人訪日客数は、前年比37.6%増(295,211人増の1,080,590人)、訪日外客数全体に占める割合は17.6%となった。2004年11月には、台湾人訪日客数が史上初の100万人台に達した。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して2位を保った。目的別では、「観光客」は同41.2%増の962,168人、「商用客」は同14.0%増の88,948人となった。「観光客」は1988年以降、15年間にわたり台湾人客が首位を占めていたが、2003年に初めて韓国人客に追い抜かれて以来、2位の状態が続いている。2004年には、日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞・雑誌、インターネット、各種イベント、ツアー造成などを通じて、台湾でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、台湾人訪日客が年間を通じて増加基調となった。
また、その他のプラス要因としては、台湾人訪日修学旅行参加者への査証発給手数料免除(2004年9月)と、日台間を結ぶ新規航空路線の開設、台湾からのチャーター便の運航が多数あったことが挙げられる。台湾では、寒冷地の大自然に憧れる傾向が強く、日本においては、特に大自然が広がる北海道に人気が高い。台湾から北海道へは、台北⇔札幌(新千歳)間に定期便が運航されているが、新千歳以外の北海道各地(函館、旭川、帯広、釧路)へ、厳冬期を含めてチャーター便が多数運航された。
2004年は、SARS流行時(2003年)に台湾人訪日客数が激減した反動によって、4~6月に前年同月比で三桁増を記録した。
一方、マイナス要因としては、新潟県中越地震とその後の余震、日本列島を通過した3つの台風(台風22号、23号、24号)など、2004年10月に集中した日本での自然災害が挙げられる。これらが台湾で随時報じられたため、訪日旅行が一時的に控えられる傾向が見られた。
◆中国 ~中国人訪日客数が40万人台から60万人台へ急増~
2004年の中国人訪日客数は、前年比37.3%増(167,227人増の616,009人)、訪日外客数全体に占める割合は10.0%となった。これまで中国人訪日客数は、40万人台(2002年:45万2千人、2003年:44万44千9人)が最多であったが、50万人台を飛び越えて一気に60万人台に達した。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して4位を保った。目的別では、「観光客」は2003年のほぼ2倍となる同97.6%増の189,692人、「商用客」は同46.8%増の141,204人となった。
2004年には、日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞、各種イベント、ツアー造成などを通じて、中国で訪日団体観光査証発給地域に的を絞って、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まった。また、中国都市部の急速な経済成長を背景に、中国人の外国旅行志向が高まり、日本もその恩恵を受けた。中国人訪日客が年間を通じて増加基調となった。
また、その他のプラス要因としては、中国人訪日修学旅行参加者への査証免除(2004年9月)、中国人訪日団体観光旅行の査証発給対象地域拡大(2004年9月)(→注参照)、日中双方の中国人訪日団体観光旅行取り扱い指定旅行会社数を拡大したこと(2004年9月)による訪日旅行商品の販売力強化などが挙げられる。
注: 従来の北京市、上海市、広東省に加え、遼寧省、天津市、山東省、江蘇省、浙江省を追加
2004年は、SARS流行時(2003年)に中国人訪日客数が激減した反動によって、5~6月には前年同月比で三桁増を記録した。
一方、マイナス要因としては、2004年9月以降、中国からEU諸国への観光旅行可能地域が大幅に拡大したことが挙げられるが、訪日旅行に及ぼした影響は大きくなかった。
◆香港 ~香港人短期滞在者の訪日査証取得免除が、香港人訪日客増に好影響~
2004年の香港人訪日客数は、前年比15.4%増(40,032人増の300,246人)、訪日外客数全体に占める割合は4.9%となった。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して5位を保った。目的別では、「観光客」は同19.0%増の271,492人、「商用客」は同7.5%減の24,205人となった。
2004年には、日本の官民機関が連携して、新聞・雑誌、各種イベント、ツアー造成などを通じて、香港でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、香港人訪日客が年間を通じて増加基調となった。香港では、寒冷地の大自然に憧れる傾向が強く、日本においては、特に大自然が広がる北海道への旅行が注目された。
また、その他のプラス要因としては、香港人に対する訪日査証免除(2004年4月)(→注参照)と、それに合わせた宣伝活動の強化、香港⇔日本間の航空路線の拡充などが挙げられる。また、香港では、日本路線への新規参入航空会社の販売促進として、2004年4月から割安の団体運賃が設定され、訪日ツアーが人気を呼んだ。
注: 2004年4月1日以降、香港の旅券所持者に対して、90日以内の観光等短期滞在のための訪日査証取得が免除されることとなった。
一方、マイナス要因としては、2004年1~2月に、香港で景気回復の先行き不安から外国旅行の減少を招き、訪日旅行もその影響を受けたことと、円高の進行が挙げられる。また、2004年10月には、新潟県中越地震と3つの台風が日本を襲ったにもかかわらず、香港旅行業界では訪日旅行への悪影響は現れなかった。
2004年は、SARS流行時(2003年)に香港人訪日客数が激減した反動によって、4~7月には前年同月比で二桁増を記録した。また、航空会社がローシーズン対策として、航空券を香港において格安で卸し、旅行会社が日本・台湾・タイ・シンガポール行きのツアーを15~20%と大幅に値引きしたため、2004年6月に外国旅行が集中し、その反動が一時的に2004年8月に現れた。
◆東南アジア諸国 ~タイ、シンガポールからの「観光客」が急増~
2004年の東南アジアからの訪日客数は、フィリピンが前年比12.4%増(17,004人増の154,588人)、タイが同31.0%増(24,842人増の104,864人)、マレーシアが同10.8%増(7,076人増の72,445人)、シンガポールが同17.0%増(13,105人増の90,001人)、インドネシアが同14.5%減(9,378人減の55,259人)となった。インドネシアを除き、大幅な伸びが見られた。フィリピン人、シンガポール人訪日客数は年間で過去最高を記録した。
目的別では、「観光客」はフィリピンが前年比42.9%増の38,223人、タイが同43.8%増の63,017人、マレーシアが同8.7%増の38,263人、シンガポールが同20.1%増の62,930人、インドネシアが同4.3%減の22,809人となった。
東南アジア諸国で2004年にあった特筆すべき現象は、経済成長を背景に、タイ、シンガポールからの「観光客」が急増したことである。2004年には、両国とも「観光客」が史上初めて年間で6万人を超えた。日本の自然景観、伝統文化、食事、温泉、街歩き、ショッピングなどへの関心が高まりつつある。
2004年は、SARS流行時(2003年)に東南アジアからの訪日客数が減少した反動によって、3~6月に前年同月比で二桁増を記録した。
◆オーストラリア ~オーストラリア人訪日客数が年間で史上最高を記録~
2004年のオーストラリア人訪日客数は、前年比12.9%増(22,142人増の194,276人)、訪日外客数全体に占める割合は3.2%となった。オーストラリア人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では1995年以来、10年連続して7位を保った。目的別では、「観光客」は同18.0%増の143,988人、「商用客」は同1.1%減の32,414人となった。
2004年の訪日旅行のプラス要因としては、オーストラリアの好景気、豪ドル高円安による訪日旅行経費負担の減少などが挙げられる。
2004年は、SARS流行時(2003年)にオーストラリア人訪日客数が激減した反動によって、4~5月に前年同月比で大幅増となった。また、2004年9~12月まで、オーストラリア人訪日客数は前年同月比で二桁増となり、訪日旅行が更に拡大する兆しを示した。日本とオーストラリアの季節が逆である利点を生かして、近年、オーストラリアから日本へのスキーツアー(北海道ニセコ)が人気を集めており、オーストラリア人訪日客の増加に貢献している。
◆ヨーロッパ諸国 ~VJCが本格始動、ユーロ高も後押し~
2004年のヨーロッパからの訪日客数は、前年比12.0%増(78,030人増の726,525人)、訪日外客数全体に占める割合は11.8%となった。目的別では、「観光客」は同19.6%増の365,384人、「商用客」は同6.4%増の267,248人となった。
各国の内訳を見ると、英国が前年比7.6%増(15,161人増の215,704人)、ドイツが同13.6%増(12,726人増の106,297人)、フランスが同12.6%増(10,715人増の95,894人)、ロシアが同27.1%増(12,042人増の56,554人)、イタリアが同8.6%増(3,097人増の38,923人)、オランダが同17.1%増(4,307人増の29,434人)となった。目的別では、「観光客」は英国が前年比11.3%増の122,947人、ドイツが同25.9%増の44,470人、フランスが同20.8%増の46,851人、ロシアが同48.3%増の27,206人、イタリアが同19.9%増の19,060人、オランダが同32.5%増の14,493人となった。ドイツ人、フランス人、ロシア人、イタリア人、オランダ人訪日客数は年間で過去最高を記録した。
ヨーロッパでは2004年4月に、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)が本格的に始まった。日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞・雑誌、各種イベント、ツアー造成などを通じて、英国、ドイツ、フランスでビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まった。
また、その他のプラス要因としては、円安ユーロ高が進行したことにより、訪日旅行がしやすい環境になったことが挙げられる。
ヨーロッパでは、SARS流行時(2003年)にアジア旅行を手控える傾向が強まったが、2004年にはこれが解消され、訪日客増を後押しした。
◆米国 ~米国人訪日客数が年間で過去最高を記録~
2004年の米国人訪日客数は、前年比15.8%増(103,932人増の759,753人)、訪日外客数全体に占める割合は12.4%となった。米国人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では1990年以来、15年連続して3位を保った。目的別では、「観光客」は同27.1%増の445,840人、「商用客」は同2.2%増の247,276人となった。
2004年には、日本の官民機関が連携して、新聞・雑誌、各種イベント、ツアー造成などを通じて、米国でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、米国人訪日客が年間を通じて増加基調となった。
また、その他のプラス要因としては、米国の景気上昇・企業業績の回復、日米間を結ぶ航空路線拡充に伴う供給座席の大幅増・航空運賃の低廉化などが挙げられる。
米国では、SARS流行時(2003年)にアジア旅行を手控える傾向が強まったが、2004年にはこれが解消され、訪日客増を後押しした。
2004年の訪日旅行のマイナス要因としては、円高の進行で訪日旅行が割高となったことが挙げられるが、日本の消費者物価が安定していることにより、旅行経費の上昇を和らげる結果となり、円高の進行自体が米国人の訪日旅行に大きな影響を与えることはなかった。
◆カナダ ~カナダ人訪日客数が年間で過去最高を記録~
2004年のカナダ人訪日客数は、前年比12.7%増(16,026人増の142,091人)、訪日外客数全体に占める割合は2.3%となった。カナダ人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では2003年以来、2年連続して9位を占めた。目的別では、「観光客」は同16.4%増の102,058人、「商用客」は同2.3%増の22,929人となった。
2004年の訪日旅行のプラス要因としては、2004年の経済成長率は2003年の約2倍を記録するなど、カナダ経済の成長が堅調であったことと、日加間を結ぶ航空路線拡充に伴う供給座席の大幅増・航空運賃の低廉化が挙げられる。
2004年は、SARS流行時(2003年)にカナダ人訪日客数が激減した反動によって、上半期を中心に前年同月比で急増するなど、変則的な傾向が見られた。
注)
1.「訪日外客」とは、国籍に基づく法務省集計による外国人正規入国者から日本に居住する外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことである。
(注:本資料の一時上陸者数等は、今後再集計が行われるため、若干修正される可能性がある。)
2.「観光客」とは、「短期滞在入国者」から「商用客」を引いた入国外国人で、「親族友人訪問」を含んでいる。
「その他客」とは観光、商用目的を除く入国外国人で、留学、研修、外交・公用などが含まれる。
3.中国の数値には、統計データ集計の都合上、香港、台湾の数値が含まれていない。
【出国日本人数】
2004年の出国日本人数は26.6%増の約1,683万人
年計で史上2番目の出国日本人数を記録
2004年の出国日本人数は、前年比26.6%増(3,534,782人増の16,831,112人)と大幅に増加した。2004年の出国日本人数は、過去最高であった2000年(17,818,590人)に次いで2番目に多かった。
出国日本人数は、2003年上半期に猛威を振るった新型肺炎(SARS)を始めとする感染症への不安や、テロによる旅行中の安全に対する不安、景気回復の遅れなどが複合的に作用したことにより、2003年3月以降、前年同月比で毎月減少し、このマイナス基調は2004年2月まで12か月間続いた。2004年3月には回復基調に転じ、2004年4月から12月までは、前年の落ち込みの反動も作用して、前年同月比二桁の伸びを示した。特に2004年10月は、10月としては過去最高を記録するなど回復が目覚ましかった。
2004年3月以降の出国日本人数の伸びは、円高の進行により海外旅行に割安感が働いたことに加え、一部で景気の回復が見られたことがプラス要因となった。また、ゴールデンウィークの曜日配列の良さ(2004年4月~5月)、アテネ五輪(8月)、韓国ブームなども出国日本人増に寄与した。
年齢別の動向では、男女とも全ての年齢層で増加した。また、港別の動向では、ほぼ全ての主要空港・海港で増加した。
[訪日外客数と出国日本人数の合計は約2,300万人と過去最高]
訪日外客数(約614万人)と出国日本人数(約1,683万人)を合わせた日本に関わる相互往来者数は2,297万人に達し、2000年の2,258万人を上回って過去最高となった。なお、外国人の訪日旅行(インバウンド)と日本人の海外旅行(アウトバウンド)を比較すると、1995年にはインバウンドがアウトバウンドの5分の1まで縮小していたが、2004年は3分の1(36.5%)まで改善された。
we love philippine
【訪日外客数】
2004年の訪日外客数は二桁増の約614万人
年計で初の600万人台を突破
2004年の訪日外客数は、前年比17.8%増(926,180人増の6,137,905人)となった。2004年の訪日外客数は、年間で史上初の600万人台に達した。目的別では、「観光客」は同25.7%増の3,839,661人、「商用客」は同7.9%増の1,383,117人となった。なお、訪日外客全体に占める「観光客」のシェアは62.6%と、1970年の大阪万博開催年(66.2%)に次ぐ高さとなった。
官民連携によるビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)事業と、JNTO・地方自治体・民間企業による外客誘致活動が繰り広げられた結果、2004年の訪日外客数は飛躍的に増加した。VJCの重点市場は当初、韓国、台湾、米国、中国、香港であったが、2004年4月以降、欧州地域(英独仏)が加わった。これらの市場に対する宣伝の強化が訪日客増につながったと考えられる。訪日外客の誘致活動が功を奏し、7月には単月で訪日外客数が史上初の60万人を記録した。
また、入国制度の緩和も、訪日外客増に大きく貢献した。2004年は、訪日外客の誘致・宣伝活動に呼応すべく、訪日査証発給等の緩和措置が取られた。香港人に対する訪日査証免除(4月)を皮切りに、韓国人・中国人訪日修学旅行参加者への査証免除(3月・9月)、中国人訪日団体観光旅行の査証発給対象地域拡大(9月)、台湾人訪日修学旅行参加者への査証発給手数料免除(9月)などが実施された。これらの措置は、対象市場の消費者に歓迎され、日本との心理的距離感も縮まった。香港では、香港人の訪日査証免除に合わせて宣伝活動も強化された。
さらに、中国人訪日団体観光旅行を取り扱う日中双方の指定旅行会社が大幅に追加(9月)され、訪日旅行商品の販売網が拡大されたことと、日本路線への新規参入航空会社による販売促進等として、香港で2004年4月から割安の団体運賃が設定され、訪日ツアーが人気を呼んだことも、訪日外客増にプラスに作用した。
上述の訪日外客増の要因を支えた背景として、東アジアの好景気や円安ユーロ高の進行が大きく後押ししたことは否定できない。東アジアでは好景気が追い風となり、外国旅行が極めて好調に推移し、訪日旅行者も増加した。また、円安ユーロ高が進行したことにより、ヨーロッパからの訪日客にとっては、訪日旅行がしやすい環境になった。
米国からの訪日客にとっては、円高の進行で、むしろ実質的に訪日旅行が割高となったものの、日本の消費者物価が安定していることが、円高による旅行経費の上昇を和らげる結果となった。欧米諸国では、2003年に新型肺炎(SARS)が流行した際、アジア旅行を手控える傾向が強まったが、これが解消され、2004年には訪日客増を後押しする結果となった。
2004年は、国内各地で外国人が多数参加する大型国際会議やインセンティブ・ツアー(報奨旅行)(→注参照)が相次いで開催された。また、日中・日台間を結ぶ新規航空路線が多数開設され、台湾・香港・韓国から北海道などへのチャーター便が多数運航された。更に、空港⇔都心間の移動時間の短縮が人気を呼び、羽田空港⇔金浦空港(韓国・ソウル)の定期チャーター便は搭乗率が約80%を記録するなど、訪日旅行の増大に寄与した。
注:「AIAインセンティブ」(大阪・3,800人)、「国泰人寿保険公司2004年グランプリ大会」(大阪/神戸/京都・3,350人・4月)、「第12回国際磁気共鳴医学会年次大会」(京都・4,500人・5月)、「国際ロータリー2004国際大会」(大阪・11,000人・5月)、「韓国アムウェイリーダーシップ・セミナー」(宮崎・6,000人・11月)、「第59回JCI世界会議福岡大会」(福岡・5,000人・11月)
2004年は上述のとおり、訪日旅行のプラス要因が多く挙げられるが、マイナス要因としては自然災害の発生が挙げられる。5月から10月までの間、19の台風が日本列島に接近・上陸し、しばしば暴風と豪雨に見舞われた。また、北陸の集中豪雨(7月)や、新潟県中越地震(10月)とその後に続いた余震が海外で報じられた。
[主要国・地域の動向]
地域別の動向を見ると、アジアからの訪日客数は前年比19.8%増(696,582人増の4,208,095人)、ヨーロッパからの訪日客数は12.0%増(78,030人増の726,525人)、北米からの訪日客数は15.7%増(125,478人増の923,836人)、オセアニアからの訪日客数は12.0%増(24,883人増の231,877人)となった。
訪日外客数・総数(上位10位)
訪日外客数・観光客(上位10位)
(※ 関連資料を参照してください。)
◆韓国 ~「訪日観光客」が初の100万人台を記録~
2004年の韓国人訪日客数は、前年比8.8%増(129,139人増の1,588,472人)、訪日外客数全体に占める割合は25.9%と国別でトップを記録した。韓国人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して増加し、首位の座を不動のものとした。目的別では、「観光客」は同13.1%増の1,037,483人、「商用客」は同1.8%増の374,442人となった。韓国人訪日客の増加は特に「観光客」によるものである。「観光客」は初の100万人台を記録した。
2004年には、日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞・雑誌、インターネット、各種イベント、ツアー造成などを通じて、韓国でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、韓国人訪日客が年間を通じて増加基調となった。韓国では、街歩き、大自然、温泉などの日本の観光魅力に加え、日本のゴルフ、スキー旅行がより注目されるようになった。
また、その他のプラス要因としては、韓国人訪日修学旅行参加者への査証免除(2004年3月)、週休2日制の普及、宮崎で開催されたインセンティブツアー(2004年11月)などが挙げられる。
一方、マイナス要因としては、新潟県中越地震とその後の余震、日本列島を通過した3つの台風(台風22号、23号、24号)など、2004年10月に集中した日本での自然災害が挙げられる。これらが韓国で報じられたため、訪日旅行が一時的に控えられる傾向が見られた。また、日本人訪韓客の需要が急増したことにより、韓国人訪日客向けの航空座席の確保が困難になるという現象が見られた。
◆台湾 ~台湾人訪日客数が初の100万人台を記録~
2004年の台湾人訪日客数は、前年比37.6%増(295,211人増の1,080,590人)、訪日外客数全体に占める割合は17.6%となった。2004年11月には、台湾人訪日客数が史上初の100万人台に達した。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して2位を保った。目的別では、「観光客」は同41.2%増の962,168人、「商用客」は同14.0%増の88,948人となった。「観光客」は1988年以降、15年間にわたり台湾人客が首位を占めていたが、2003年に初めて韓国人客に追い抜かれて以来、2位の状態が続いている。2004年には、日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞・雑誌、インターネット、各種イベント、ツアー造成などを通じて、台湾でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、台湾人訪日客が年間を通じて増加基調となった。
また、その他のプラス要因としては、台湾人訪日修学旅行参加者への査証発給手数料免除(2004年9月)と、日台間を結ぶ新規航空路線の開設、台湾からのチャーター便の運航が多数あったことが挙げられる。台湾では、寒冷地の大自然に憧れる傾向が強く、日本においては、特に大自然が広がる北海道に人気が高い。台湾から北海道へは、台北⇔札幌(新千歳)間に定期便が運航されているが、新千歳以外の北海道各地(函館、旭川、帯広、釧路)へ、厳冬期を含めてチャーター便が多数運航された。
2004年は、SARS流行時(2003年)に台湾人訪日客数が激減した反動によって、4~6月に前年同月比で三桁増を記録した。
一方、マイナス要因としては、新潟県中越地震とその後の余震、日本列島を通過した3つの台風(台風22号、23号、24号)など、2004年10月に集中した日本での自然災害が挙げられる。これらが台湾で随時報じられたため、訪日旅行が一時的に控えられる傾向が見られた。
◆中国 ~中国人訪日客数が40万人台から60万人台へ急増~
2004年の中国人訪日客数は、前年比37.3%増(167,227人増の616,009人)、訪日外客数全体に占める割合は10.0%となった。これまで中国人訪日客数は、40万人台(2002年:45万2千人、2003年:44万44千9人)が最多であったが、50万人台を飛び越えて一気に60万人台に達した。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して4位を保った。目的別では、「観光客」は2003年のほぼ2倍となる同97.6%増の189,692人、「商用客」は同46.8%増の141,204人となった。
2004年には、日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞、各種イベント、ツアー造成などを通じて、中国で訪日団体観光査証発給地域に的を絞って、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まった。また、中国都市部の急速な経済成長を背景に、中国人の外国旅行志向が高まり、日本もその恩恵を受けた。中国人訪日客が年間を通じて増加基調となった。
また、その他のプラス要因としては、中国人訪日修学旅行参加者への査証免除(2004年9月)、中国人訪日団体観光旅行の査証発給対象地域拡大(2004年9月)(→注参照)、日中双方の中国人訪日団体観光旅行取り扱い指定旅行会社数を拡大したこと(2004年9月)による訪日旅行商品の販売力強化などが挙げられる。
注: 従来の北京市、上海市、広東省に加え、遼寧省、天津市、山東省、江蘇省、浙江省を追加
2004年は、SARS流行時(2003年)に中国人訪日客数が激減した反動によって、5~6月には前年同月比で三桁増を記録した。
一方、マイナス要因としては、2004年9月以降、中国からEU諸国への観光旅行可能地域が大幅に拡大したことが挙げられるが、訪日旅行に及ぼした影響は大きくなかった。
◆香港 ~香港人短期滞在者の訪日査証取得免除が、香港人訪日客増に好影響~
2004年の香港人訪日客数は、前年比15.4%増(40,032人増の300,246人)、訪日外客数全体に占める割合は4.9%となった。国・地域別訪日外客数では1999年以来、6年連続して5位を保った。目的別では、「観光客」は同19.0%増の271,492人、「商用客」は同7.5%減の24,205人となった。
2004年には、日本の官民機関が連携して、新聞・雑誌、各種イベント、ツアー造成などを通じて、香港でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、香港人訪日客が年間を通じて増加基調となった。香港では、寒冷地の大自然に憧れる傾向が強く、日本においては、特に大自然が広がる北海道への旅行が注目された。
また、その他のプラス要因としては、香港人に対する訪日査証免除(2004年4月)(→注参照)と、それに合わせた宣伝活動の強化、香港⇔日本間の航空路線の拡充などが挙げられる。また、香港では、日本路線への新規参入航空会社の販売促進として、2004年4月から割安の団体運賃が設定され、訪日ツアーが人気を呼んだ。
注: 2004年4月1日以降、香港の旅券所持者に対して、90日以内の観光等短期滞在のための訪日査証取得が免除されることとなった。
一方、マイナス要因としては、2004年1~2月に、香港で景気回復の先行き不安から外国旅行の減少を招き、訪日旅行もその影響を受けたことと、円高の進行が挙げられる。また、2004年10月には、新潟県中越地震と3つの台風が日本を襲ったにもかかわらず、香港旅行業界では訪日旅行への悪影響は現れなかった。
2004年は、SARS流行時(2003年)に香港人訪日客数が激減した反動によって、4~7月には前年同月比で二桁増を記録した。また、航空会社がローシーズン対策として、航空券を香港において格安で卸し、旅行会社が日本・台湾・タイ・シンガポール行きのツアーを15~20%と大幅に値引きしたため、2004年6月に外国旅行が集中し、その反動が一時的に2004年8月に現れた。
◆東南アジア諸国 ~タイ、シンガポールからの「観光客」が急増~
2004年の東南アジアからの訪日客数は、フィリピンが前年比12.4%増(17,004人増の154,588人)、タイが同31.0%増(24,842人増の104,864人)、マレーシアが同10.8%増(7,076人増の72,445人)、シンガポールが同17.0%増(13,105人増の90,001人)、インドネシアが同14.5%減(9,378人減の55,259人)となった。インドネシアを除き、大幅な伸びが見られた。フィリピン人、シンガポール人訪日客数は年間で過去最高を記録した。
目的別では、「観光客」はフィリピンが前年比42.9%増の38,223人、タイが同43.8%増の63,017人、マレーシアが同8.7%増の38,263人、シンガポールが同20.1%増の62,930人、インドネシアが同4.3%減の22,809人となった。
東南アジア諸国で2004年にあった特筆すべき現象は、経済成長を背景に、タイ、シンガポールからの「観光客」が急増したことである。2004年には、両国とも「観光客」が史上初めて年間で6万人を超えた。日本の自然景観、伝統文化、食事、温泉、街歩き、ショッピングなどへの関心が高まりつつある。
2004年は、SARS流行時(2003年)に東南アジアからの訪日客数が減少した反動によって、3~6月に前年同月比で二桁増を記録した。
◆オーストラリア ~オーストラリア人訪日客数が年間で史上最高を記録~
2004年のオーストラリア人訪日客数は、前年比12.9%増(22,142人増の194,276人)、訪日外客数全体に占める割合は3.2%となった。オーストラリア人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では1995年以来、10年連続して7位を保った。目的別では、「観光客」は同18.0%増の143,988人、「商用客」は同1.1%減の32,414人となった。
2004年の訪日旅行のプラス要因としては、オーストラリアの好景気、豪ドル高円安による訪日旅行経費負担の減少などが挙げられる。
2004年は、SARS流行時(2003年)にオーストラリア人訪日客数が激減した反動によって、4~5月に前年同月比で大幅増となった。また、2004年9~12月まで、オーストラリア人訪日客数は前年同月比で二桁増となり、訪日旅行が更に拡大する兆しを示した。日本とオーストラリアの季節が逆である利点を生かして、近年、オーストラリアから日本へのスキーツアー(北海道ニセコ)が人気を集めており、オーストラリア人訪日客の増加に貢献している。
◆ヨーロッパ諸国 ~VJCが本格始動、ユーロ高も後押し~
2004年のヨーロッパからの訪日客数は、前年比12.0%増(78,030人増の726,525人)、訪日外客数全体に占める割合は11.8%となった。目的別では、「観光客」は同19.6%増の365,384人、「商用客」は同6.4%増の267,248人となった。
各国の内訳を見ると、英国が前年比7.6%増(15,161人増の215,704人)、ドイツが同13.6%増(12,726人増の106,297人)、フランスが同12.6%増(10,715人増の95,894人)、ロシアが同27.1%増(12,042人増の56,554人)、イタリアが同8.6%増(3,097人増の38,923人)、オランダが同17.1%増(4,307人増の29,434人)となった。目的別では、「観光客」は英国が前年比11.3%増の122,947人、ドイツが同25.9%増の44,470人、フランスが同20.8%増の46,851人、ロシアが同48.3%増の27,206人、イタリアが同19.9%増の19,060人、オランダが同32.5%増の14,493人となった。ドイツ人、フランス人、ロシア人、イタリア人、オランダ人訪日客数は年間で過去最高を記録した。
ヨーロッパでは2004年4月に、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)が本格的に始まった。日本の官民機関が連携して、テレビ、新聞・雑誌、各種イベント、ツアー造成などを通じて、英国、ドイツ、フランスでビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まった。
また、その他のプラス要因としては、円安ユーロ高が進行したことにより、訪日旅行がしやすい環境になったことが挙げられる。
ヨーロッパでは、SARS流行時(2003年)にアジア旅行を手控える傾向が強まったが、2004年にはこれが解消され、訪日客増を後押しした。
◆米国 ~米国人訪日客数が年間で過去最高を記録~
2004年の米国人訪日客数は、前年比15.8%増(103,932人増の759,753人)、訪日外客数全体に占める割合は12.4%となった。米国人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では1990年以来、15年連続して3位を保った。目的別では、「観光客」は同27.1%増の445,840人、「商用客」は同2.2%増の247,276人となった。
2004年には、日本の官民機関が連携して、新聞・雑誌、各種イベント、ツアー造成などを通じて、米国でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)を繰り広げた。その結果、訪日旅行への関心が高まり、米国人訪日客が年間を通じて増加基調となった。
また、その他のプラス要因としては、米国の景気上昇・企業業績の回復、日米間を結ぶ航空路線拡充に伴う供給座席の大幅増・航空運賃の低廉化などが挙げられる。
米国では、SARS流行時(2003年)にアジア旅行を手控える傾向が強まったが、2004年にはこれが解消され、訪日客増を後押しした。
2004年の訪日旅行のマイナス要因としては、円高の進行で訪日旅行が割高となったことが挙げられるが、日本の消費者物価が安定していることにより、旅行経費の上昇を和らげる結果となり、円高の進行自体が米国人の訪日旅行に大きな影響を与えることはなかった。
◆カナダ ~カナダ人訪日客数が年間で過去最高を記録~
2004年のカナダ人訪日客数は、前年比12.7%増(16,026人増の142,091人)、訪日外客数全体に占める割合は2.3%となった。カナダ人訪日客数は年間で過去最高を記録した。国・地域別訪日外客数では2003年以来、2年連続して9位を占めた。目的別では、「観光客」は同16.4%増の102,058人、「商用客」は同2.3%増の22,929人となった。
2004年の訪日旅行のプラス要因としては、2004年の経済成長率は2003年の約2倍を記録するなど、カナダ経済の成長が堅調であったことと、日加間を結ぶ航空路線拡充に伴う供給座席の大幅増・航空運賃の低廉化が挙げられる。
2004年は、SARS流行時(2003年)にカナダ人訪日客数が激減した反動によって、上半期を中心に前年同月比で急増するなど、変則的な傾向が見られた。
注)
1.「訪日外客」とは、国籍に基づく法務省集計による外国人正規入国者から日本に居住する外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことである。
(注:本資料の一時上陸者数等は、今後再集計が行われるため、若干修正される可能性がある。)
2.「観光客」とは、「短期滞在入国者」から「商用客」を引いた入国外国人で、「親族友人訪問」を含んでいる。
「その他客」とは観光、商用目的を除く入国外国人で、留学、研修、外交・公用などが含まれる。
3.中国の数値には、統計データ集計の都合上、香港、台湾の数値が含まれていない。
【出国日本人数】
2004年の出国日本人数は26.6%増の約1,683万人
年計で史上2番目の出国日本人数を記録
2004年の出国日本人数は、前年比26.6%増(3,534,782人増の16,831,112人)と大幅に増加した。2004年の出国日本人数は、過去最高であった2000年(17,818,590人)に次いで2番目に多かった。
出国日本人数は、2003年上半期に猛威を振るった新型肺炎(SARS)を始めとする感染症への不安や、テロによる旅行中の安全に対する不安、景気回復の遅れなどが複合的に作用したことにより、2003年3月以降、前年同月比で毎月減少し、このマイナス基調は2004年2月まで12か月間続いた。2004年3月には回復基調に転じ、2004年4月から12月までは、前年の落ち込みの反動も作用して、前年同月比二桁の伸びを示した。特に2004年10月は、10月としては過去最高を記録するなど回復が目覚ましかった。
2004年3月以降の出国日本人数の伸びは、円高の進行により海外旅行に割安感が働いたことに加え、一部で景気の回復が見られたことがプラス要因となった。また、ゴールデンウィークの曜日配列の良さ(2004年4月~5月)、アテネ五輪(8月)、韓国ブームなども出国日本人増に寄与した。
年齢別の動向では、男女とも全ての年齢層で増加した。また、港別の動向では、ほぼ全ての主要空港・海港で増加した。
[訪日外客数と出国日本人数の合計は約2,300万人と過去最高]
訪日外客数(約614万人)と出国日本人数(約1,683万人)を合わせた日本に関わる相互往来者数は2,297万人に達し、2000年の2,258万人を上回って過去最高となった。なお、外国人の訪日旅行(インバウンド)と日本人の海外旅行(アウトバウンド)を比較すると、1995年にはインバウンドがアウトバウンドの5分の1まで縮小していたが、2004年は3分の1(36.5%)まで改善された。
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