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石川セリ/楽園

2005年07月21日 13時12分15秒 | JAPANESE POP
石川セリといえば、70年代前半のフォーク時代から活動しているベテラン・シンガーで、あのちょっと退廃的で官能的なヴォーカルは「何を歌っても石川セリ」みたいなところもあるが、70年代がフォーク~ニュー・ミュージック風な音楽であったのに対し、80年代はロック寄りなAOR、90年代の武満ソングと、音楽的にはかなりいろいろ変わっている。このアルバムは彼女が1985年に出した、80年代石川セリのラストを飾る作品だ(90年代半ばに突如復活するまで引退状態になる)。

 この時期の石川セリは井上陽水と歩調を合わせるように、非常に渋いAOR路線に傾斜していく訳だけれど、このアルバムはそれまでの3作とはかなり色彩の異なり、極彩色のようなポップさとまるで夏の太陽が燦々と降り注ぐようなムードがアルバム全体に横溢し、まさに夏向きとしかいいようがない仕上がりの作品となっている。この時期の彼女は大村憲司の編曲で歌うことが多く、このアルバムでもほぼ全面的に彼のアレンジによっているが、YMO経由と思われるテクノ風なリズムにソリッドなギターを中心した厚くシャープな切れ味のサウンドは相変わらずだとしても、石川セリ共々このくらい明るいのも珍しいのではないだろうか。

 曲はどれも非常に良い。作家陣には友部正人、かしぶち哲郎、森雪之丞、坂本龍一、糸井重里、大沢誉志幸、大村憲司、矢野徹といった豪華で多彩なメンツが揃っているものの、「甘い苦いをかみ分けた大人の夏」といったキーワードできれいに揃っているのは、ひょっとするとあらかじめそうしたコンセプトがあった上で、曲が依頼されたのかもしれないが、それにしたってここまで季節感のようなものが統一された上で、バラエティに富んでいるというのはけっこう凄いことなのではないか。主な曲を拾ってみる。

 1曲目の「パノラマ・ヘブン」はまさに極彩色の天国的世界を歌い、石川セリ・ワールド満開という感じ。3曲の「永遠の1/2」と7曲目「水無月のカルメン」は大沢による典型的なサマー・ポップなんだけど、石川セリが歌うと独特な陶酔感のようなものがあるのはなんとも妙。坂本の「フロッタージュ氏の怪物狩り」は、ちょっと「音楽」を思わせる脱色されたポップ感覚を持った作品、玉置による9曲目「昔イタリア」はいかもに歌謡曲的なメロディアスさとちょっと大人向けのファンタジーみたいな詩がいい。ラストの「あやかしのはな」はやはり坂本作品でこれは「戦メリ」風な東洋エギシズム路線。こういうちょっと陰鬱な曲を歌った時の彼女のアシッドな幻想味は本当に独特。

 ということで、このアルバム、さすがに最近は実際にとりだして聴くことは少なくなってしまったが、毎年暑い季節にになると、決まってどこからともなく頭の中で聴こえてくる作品である。今日は久しぶりに聴いてみた。
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1 コメント

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パノラマヘブンの歌詞 (ギョカイ)
2018-10-02 06:26:08
こんにちは
このアルバムについて長くコメンタリーしてありがとうございます、楽しみながら読みました。
私はの母語は日本語ではありません。
だからこのアルバムに載っている「パノラマヘブン」という曲の歌詞を聞き取れません。
どうか、歌詞を書いてくれませんか?
本当に助かります、聞き取れなかった部分をネーティブな人しか聞き取れないと思いますので。。。
ありがとうございます。
ギョカイより

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