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月々の活動のまとめ。

縦横比。

2009-12-15 19:00:00 | インポート

作品の画面サイズには西洋サイズで言えば、F(Figure:人物)、P(Paysage:風景)、M(Marine:海景)、S(Square:正方形)などの規定のサイズがありますが、僕の作品の多くはこの規定とは違う特殊サイズを使っています。
これにも理由がありまして、、、規定のF・P・Mなどのサイズは黄金比に基づいたきわめて西洋的な縦横比。重厚な額縁のついた油絵を思い浮かべていただければ想像がつきやすいかと思うのですが、西洋的な建築、例えば宮殿の大広間であったり、お城の廊下、暖炉のある部屋、、、などなどにしっくりくるサイズだと思うのです。円柱と円柱の間に肖像画、なんてシーンを見たこともあるのではないでしょうか。
対して東洋的なサイズといえば、掛け軸は縦長の形ですし、襖は一枚一枚は縦長で、それが4枚集まると横長の画面だったり、その襖の上にある欄間は横長、屏風は横長の画面に対して折れ曲がった縦長の面で構成されています。
で、前回もお話させていただいたように、日本文化の中で制作している僕としては、やはりF・P・Mなどの西洋的な画面よりも、、、たかが縦横比ではあるんですけども、できれば自分で作る作品の画面そのものも東洋的な形を探ってみたい、と思っています。

現在、日本家屋も少なくなってきて、襖や床の間、欄間のあるお部屋に住んでらっしゃる方は少ないのではないでしょうか。現在の建築では、窓枠やお風呂に代表されるユニットで建てられているものが多いように思います。ル・コルビジェは人間の体に合わせたモデュロールという概念を提唱しましたが、今の日本の建築ではどうでしょうか。
実はまだ僕が二十歳だった頃、少しだけ建築現場でアルバイトをさせていただいたことがあったのですが、今の建築資材は職人さんが扱いやすいサイズになっているんだそうです。ベニヤや石膏ボードは3尺×6尺(910mm×1820mm)のものが多く使われています。つまり、これを効率よく使うための寸法になっている住宅が多いはずなんです。
この尺寸を使って建てられている部屋に合うサイズの作品の縦横比が、西洋発祥のF・P・Mで果たして良いのかどうか。もちろんしっくりくるケースも多くあると思います。それでも、尺寸の部屋に合う作品の寸法もあるのではないでしょうか。

1つの家の中にフローリングの部屋もあれば、畳の部屋もあるのが今の多くの日本の家の姿だと思います。
例えばソファの置いてある後ろにある壁は、尺寸で作られた壁。
そこにしっくりとくる、今の日本に合う縦横比を提案したいなぁ、と思っています。



09_night_vehicle

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夜ののりもの / Night Vehicle
和紙、アクリル彩色、木枠張り / Acrylic paints on Japanese paper a sliding frame
727×1742mm
2009


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