言わなければならない事は言わないと前には進まない

生活する中において言わなければならない事や、他の記事で共感したことなどを中心に。今その時の思いを表す。

日本ペンクラブ声明

2012-05-08 22:36:19 | 言いたいことは何だ
●日本ペンクラブ声明「国民皆番号法案は民主主義と市民の自由をおびやかす」
 
政府はいま、「社会保障と税の一体改革」の一環として、国民皆番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)を制定しようとしている。
これは、これまで国と地方自治体が所管ごとに収集してきた市民一人ひとりの税や社会保障に関する個人情報を、行政の効率を上げるためとして、住基ネットをベースに一元的にコンピュータ管理し、行政機関内で容易に利用できるようにしようというものである。
私たちは以前から住基ネットと個人情報保護の法制について、言論表現の自由の制約や市民的自由の萎縮につながることへの懸念を表明してきたが、実際、この二つが制度化されて以来、社会全体に「過剰反応」と言われるような雰囲気が醸成され、極端な匿名化が進む一方で、取材や学術調査に多くの困難が生じるようになった。
こうした弊害を放置したまま、その上に行政機関がよりセンシティブな個人情報を容易に利用できるようにする今回の法案の問題点は明らかである。
 
第一に、個々人の収入や税、疾病や介護といったプライバシーや内面にも関わる情報が行政機関によって一元的に収集・管理・利用されることの気味の悪さである。個人が個人である最低限の条件とも言うべき秘密を、行政の効率化のためにないがしろにすることは、今日の個人の尊厳と民主主義の否定と言わなければならない。
 
第二に、行政がこれらの個人情報を利用する目的が厳密に規定されていないため、目的外に使用される危険性が懸念されることである。
 
第三に、個人が自己に関する情報にアクセスする方法が閉ざされているため、その正確さを確認したり、間違っていた場合の変更要請もできないことである。OECD(経済協力開発機構)はこうした自己情報を自分で管理する権利を定めるよう求めているが、現在の法案はこの条件を満たしていない。
 
第四に、広範かつ詳細な個人情報の一元管理が社会にもたらすいっそうの萎縮効果と匿名化について、まったく顧慮されていないことである。先の個人情報保護法の制定後、政治家や公務員等の公的人物がこの法律を盾に情報提供や取材を拒否することが急増し、活発な報道・言論表現活動がしにくくなっている現状を考えれば、これはこの国の民主主義の将来をいっきに危うくする制度にもなりかねない。
 
以上により、日本ペンクラブは現在法案化されている国民皆番号制度に強く異議を申し立て、政府と国会に対し、慎重で十分な審議を尽くすよう求めるものである。
 
二〇一二年四月十九日
日本ペンクラブ会長     浅田次郎
同言論表現委員会委員長     山田健太
http://www.japanpen.or.jp/statement/post_294.html


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1 コメント

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Unknown (東大寺-123)
2012-05-09 15:07:00
震災の復興に適正な基金分配をお願いしたいですね。
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