天上の月影

勅命のほかに領解なし

『天台四教儀』を読む(13)

2018年08月13日 | 勉強日誌
第一章 五時五味及び化儀四教
 第一節 前四時・化儀四教
  第一項 頓教
    第一 華厳時(第一時)

 【本文】
第一に頓教とは即ち華厳経なり。部・時・味等に従って名づけて頓と為(す)ることを得。所謂る如来、初めて正覚を成じ寂滅道場に在(いま)す。四十一位の法身の大士及び宿(すく)世(せ)に根熟せる天龍八部、一時に囲繞して雲の月を籠(かご)めるが如し。爾の時、如来、盧(ろ)舎(しゃ)那(な)の身を現じて円満修多羅を説きたまふ。故に頓教と言ふ。若し機に約し教に約すれば、未だ権を兼(かぬ)ることを免(まぬが)れず。謂く初発心時便成正覚等の文は円機の為に円教を説くなり。処処に行布次第を説くは、則ち権機の為に別教を説くなり。故に部に約して頓と為し、教に約して兼と名づく。

 【講述】
 これより化儀四教を明かします。最初に頓教について述べる一段です。「第一に頓教とは即ち華厳経なり」といわれています。「頓教」の「頓」には頓初と円頓の二義があります。ここでは二義を含めて「頓教」と名づけています。本文に引かれる『華厳経』の「初発心時便成正覚」等の説は頓初の義であり、「円満修多羅を説きたまふ」の文は円頓の義です。その「頓教」は「即ち華厳経なり」と押さえられています。『華厳経』の漢訳については前に述べました。『大方広仏華厳経』といいます。「妙華をもって玉台を荘厳するが如し」という譬喩によって『華厳経』と名づけられたのです。釈尊成道三七日の間、菩提樹下の金剛宝座の上で大機のために説かれた大乗の教を指して『華厳経』とします。
 「部・時・味等に従って名づけて頓と為(す)ることを得」は「頓」とする理由です。「部」とは部帙の意で、釈尊最初の三七日の説法を華厳一部の経とします。「時」とは後述する「先に高山を照らす」という『華厳経』三照の譬喩の第一時です。「味」とは『涅槃経』五味の譬喩の第一味です。いずれも初めから直に大乗を説くことを表現しているので、「頓」とする理由となります。一代教の部門(諸経典)の上からも、五時の上からも、五味の上からも、それぞれ「頓教」と位置づけることができるといっているのです。
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