天上の月影

勅命のほかに領解なし

『天台四教儀』を読む(16)

2018年08月16日 | 勉強日誌
 第一時

 【本文】
此の経の中に云く、譬へば日出でて先づ高山(こうぜん)を照すが如しと〈第一時〉。

 【講述】
 「此の経の中に云く」の「此の経」は『華厳経』です。いまは晋訳の「宝王如来性起品」を指します。そのなかに「譬えば、①日出でて先づ一切の諸の大山王を照し、②次に一切の大山を照し、③次に金剛宝山を照し、④然る後、普ねく一切の大地を照す」(『大正新脩大蔵経』九・六一六頁中)と説かれています。これを「華厳四照の譬喩」といいます。このうち、①の大山王は普賢菩薩のような大機に配し、②大山は声聞、③金剛宝山は縁覚、④大地は必ずこの世界において成仏すべき一切の衆生(決定善根の衆生)と配しています。これを天台では後述する『法華経』「信解品」の「長者窮子の譬喩」(『大正新脩大蔵経』九・一六頁下~一七頁中)の文に引きあてて三照とするのです。すなわち大山王を高山、大山と金剛宝山を合わせて幽谷、大地を平地とします。しかもその上で『涅槃経』五味喩に合うように、平地を食時・寓中・正中の三に分けます。そうすると、高山・幽谷・食時・寓中・正中の五時を数えることができます。これをもって「譬へば日出でて先づ高山(こうぜん)を照すが如しと〈第一時〉」というのです。すなわち『華厳経』は普賢菩薩のような大機が受ける教えとして、たとえば太陽が出ればまず初めに高山を照らすようなもので、最初の第一時の説法であるといっているのです。
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