天上の月影

勅命のほかに領解なし

『天台四教儀』を読む(17)

2018年08月17日 | 勉強日誌
 第一乳味

 【本文】
涅槃に云く、譬へば牛(ご)従り乳(にゅう)を出(いだ)すが如しと。此れは仏従(よ)り十二部経を出(いだ)すなり〈一に乳味〉。

 【講述】
 「涅槃に云く」は前に述べた『涅槃経』聖行品の五味譬です。五味は①乳味・②酪味・③生酥味・④熟酥味・⑤醍醐味でした。①乳味にあたるのが『華厳経』です。それを「譬へば牛(ご)従り乳(にゅう)を出(いだ)すが如しと」というのです。牛がまず最初に乳を出すようであるということです。「牛」は仏にあたります。そこで「此れは仏従(よ)り十二部経を出(いだ)すなり〈一に乳味〉」といいます。「十二部経」は仏の所説の教法を内容・形式によって十二に分類したものです。後に出る「九部経」を小乗経とするのに対して大乗経をあらわします。その「十二部経」とは、①長行で散文です。②重頌は長行で説いた内容を重ねて詩文で説くことをいいます。③授記は仏が将来において弟子が成仏すると証明することです。④孤起は重頌以外の独立した讃文をいいます。⑤無問自説は弟子の問いを待たずに仏がみずから説法することです。以上は文章や説法の形式上の区別になります。⑥因縁は事柄の来由を説くことです。⑦譬喩は喩えを説くことです。⑧本事は他者の過去世における事実を説くものです。⑨本生は仏の過去世における事実を説くものです。⑩方広は広く道理や真理を説くことです。⑪未曾有は神通などの奇跡を説くことです。⑫論議は問答往復して理論の究明をすることです。これら⑥因縁以下は説法の内容に関する区別になります。そしてこのなかから、⑩方広と⑤無問自説と③授記を除いたのが「九部経」です。これは大乗の側から小乗を非難した内容といえます。すなわち小乗は中道真如を語らないので⑩方広がなく、また小乗は仏の本懐でないから⑤無問自説がありません。そして小乗には一切衆生に仏性があることを説かないので③授記がないということです。いまは十二部経の大乗経であることを示し、五味でいえば乳味にあたるといって、『華厳経』が頓教であると明かすのです。
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