天上の月影

勅命のほかに領解なし

『天台四教儀』を読む(23)

2018年08月30日 | 勉強日誌
 第二時

 【本文】
若し時に約すれば則ち日(ひ)幽谷を照すなり。〈第二時〉

 【講述】
 これは『華厳経』の三照喩によって鹿苑時が第二時であることを示します。「若し時に約すれば」というのがそれです。「日(ひ)幽谷を照すなり」という「日(ひ)」は太陽です。太陽が昇って「幽谷」を照らすのです。「幽谷」とは華厳の説法の後に最も機根の劣った小機に阿含の法を説くことを譬えたものです。「〈第二時〉」は第二時にあたるということです。

 第二酪味

 【本文】
若し味に約すれば則ち乳従り酪を出すなり。此れは十二部経従り九部の修多羅を出すなり。〈二に酪味〉

 【講述】
 第二時である鹿苑時を『涅槃経』の五味の譬えに配当すると酪味になることを示します。「若し味に約すれば則ち乳従り酪を出すなり」というのがそれです。酪味とは『華厳経』の説法で少しも利益を得ることのなかった声聞たち、小乗の機根に対して、仏が『阿含経』を説かれたことを意味します。華厳を乳味というのに対して鹿苑時を酪味といったのです。「此れは十二部経従り九部の修多羅を出すなり」という「十二部経」は前に述べたように大乗の経であり、「九部」は小乗の経です。「修多羅」は契経、また経といいます。契経といったときは理に契い、声聞・縁覚・菩薩の機にも契う経という意味になります。経といったときは織物の縦糸のことで、仏の真理が一貫して常住不変であることを意味します。いずれにしても九部経です。仏は大乗の経である十二部経より小乗の経である九部経を出すといって、鹿苑時の所説をあらわしているのです。「〈二に酪味〉」は第二味の酪味にあたるということです。
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