天上の月影

勅命のほかに領解なし

『天台四教儀』を読む(10)

2018年08月10日 | 勉強日誌
 【本文】
八教と言ふは頓・漸・秘密・不定・蔵・通・別・円(てん)なり。是れを八教と名づく。頓等の四教は是れ化儀なり。世の薬方の如し。蔵等の四教を化法と名づく。薬味を弁ずるが如し。

 【講述】
 ここは「八教」の名目を示します。「八教」とは化儀の四教と化法の四教のことです。「化儀の四教」の「化儀」は化物の儀式のことで、衆生を教化する方法をいいます。釈尊一代の衆生教化の説法形式を四種に分けた頓教・漸教・秘密教・不定教のことです。本文に「頓・漸・秘密・不定」とあるのがそれです。「頓」は頓教です。「頓」の字は「ただちに」という意味で頓速・頓初のことです。頓教は直に仏の自内証の通りをただちに説かれた教をいいます。華厳の三七日の説法です。「漸」は漸教です。「漸」の字は「ようやく」と読み、漸教は小乗の人を浅より深へ、小より大へと次第順序を調整して導く説法方法です。仏は華厳時において自内証の法門をそのまま説かれたので、劣機の者には少しも理解できませんでした。そこで仏はそのような機根の衆生に対して調整をとりながら、漸漸(だんだん・次第次第に)に衆生を導き、低い所から高い所へと誘引するように説法されました。このような説法の方法を漸教というのです。鹿苑時・方等時・般若時がこれにあたります。「秘密・不定」は秘密教と不定教です。これは前の二教における大機には頓説し、小機には漸説するというのは通常の手段ですが、それに反して小機に大教を説き、大機に小教を説くというような非常手段を用いることをいいます。そのなかで同じ法座においても、同一の説法を聴きながらも聴衆同士が異なって聞いたり(同聴異聞)、その説法から受ける利益に不同があったり(得益不同)する場合があります。これを聴者同士が互いに相い知らない時を秘密不定教(秘密教)といい、互いに相い知っている場合を顕露不定教(不定教)といいます。
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