天上の月影

勅命のほかに領解なし

『天台四教儀』を読む(6)

2018年08月06日 | 勉強日誌
 【本文】
五時と言ふは、一に華厳の時、二に鹿苑の時〈四阿含を説く〉、三に方等の時〈維摩・思益・楞伽・楞厳三昧・金光明・勝鬘等の経を説く〉、四に般若の時〈摩訶般若・光讃般若・金剛般若・大品般若等の諸般若経を説く〉、五に法華涅槃の時なり。是れを五時と為し、亦は五味と名づく。

 【講述】
 先に「五時八教」といった、まず「五時」が連ねられます。第一時は「華厳の時」、第二時は「鹿苑の時」、第三時は「方等の時」、第四時は「般若の時」、第五時は「法華涅槃の時」です。釈尊一代五十年の説法を、しばらく年月をおって縦に五分し、釈尊がこの世に出て教化の直接の対象である声聞・縁覚の二乗である鈍根者をして、次第に調熟して、ついに仏道を成ぜしめるに至る始終の教化の意で、この五分が「五時」です。
 第一時の「華厳の時」は『華厳経』が説かれた時です。釈尊が菩提樹下で成道後、最初三七日すなわち二十一日の間に大乗法を説かれた経典とされます。この経に説かれたことは仏教の極理であり、大乗中の極点であるので、根本法輪ともいいます。この経には法尒(ほうに)恒説(ごうせつ)の華厳と、結集(けつじゆう)流伝の華厳ということがあります。法尒恒説の華厳とは、この宇宙をもって一大華厳経と見なすものであって、結集流伝の華厳とは、仏滅後に仏弟子等がその遺法を編集して今日に伝わる、いわゆる経典です。この結集流伝の華厳経は、中国に漢訳されたものが多く、その重要なものに三部あります。①東晋の仏陀跋陀羅訳の六十巻本で、旧訳・晋訳・六十華厳と呼ばれます。②唐の実叉難陀訳の八十巻本で、新訳・唐訳・八十華厳と呼ばれます。③唐の般若三蔵訳の四十巻本で、後訳・四十華厳と呼ばれます。説処についていえば、旧訳は七処八会、新訳は七処九会となっています。七会とは人間界において三ヶ所、天上界において四ヶ所で、説法の会を重ねること八会ないし九会であったということです。そして後訳は「入法界品」だけの訳です。
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